景色 ― 2009年01月13日 02:03
最近の工場人気で、湾岸の石油プラントを船で見学するツアーまであるそうです。工場や団地が観賞の対象になる背景には、日本的な「日常の非作品への愛着」があるという説も。
説の真偽はさておきまして、「工場が美しい」という感覚を私も持っています。個人的なお話で恐縮ですが、学生の頃、石油プラントの夜景をおさめた写真がある新聞社のコンテストに入賞しました。鉄工、材木加工、印刷などの町工場が並ぶ町で育ったからだと思いますが、懐かしさとは別の感覚で美しさを感じます。
話は変わりますが、プロダクトの造形モチーフは、自然なものだけでなく人工的な建造物を感じさせるものも多いですね。特に近年は増加している印象です。例えばスポーツカーは、草原を走る伸びやかな筋肉よりも宇宙を飛び交うロケットのパワフルなエンジンや構造物を感じさせるものも多いです。
これは一つの大きな流れと考えられます。その理由もいくつか心当たりがあります。ブランドイメージとなる造形を繰り返すことで、抽象性を獲得しようとすればそれは一つの必然でもあります。何より技術革新が造形の変化を導いています。
写真はどちらかお判りになりますか?
正解は鳥海山の北麓に広がる秋田県の仁賀保高原です。草原と風力発電の組み合せは、もう私たちにはすっかり馴染んだ優しい景色となっていますね。
説の真偽はさておきまして、「工場が美しい」という感覚を私も持っています。個人的なお話で恐縮ですが、学生の頃、石油プラントの夜景をおさめた写真がある新聞社のコンテストに入賞しました。鉄工、材木加工、印刷などの町工場が並ぶ町で育ったからだと思いますが、懐かしさとは別の感覚で美しさを感じます。
話は変わりますが、プロダクトの造形モチーフは、自然なものだけでなく人工的な建造物を感じさせるものも多いですね。特に近年は増加している印象です。例えばスポーツカーは、草原を走る伸びやかな筋肉よりも宇宙を飛び交うロケットのパワフルなエンジンや構造物を感じさせるものも多いです。
これは一つの大きな流れと考えられます。その理由もいくつか心当たりがあります。ブランドイメージとなる造形を繰り返すことで、抽象性を獲得しようとすればそれは一つの必然でもあります。何より技術革新が造形の変化を導いています。
写真はどちらかお判りになりますか?
正解は鳥海山の北麓に広がる秋田県の仁賀保高原です。草原と風力発電の組み合せは、もう私たちにはすっかり馴染んだ優しい景色となっていますね。
テクスチャーの連続 ― 2009年01月14日 11:48
いくつもの並んだ写真がゆっくりとズームアウトしていき、写真のモザイクはやがて別の写真になる、という視覚効果をご覧になった事はありますか?インターネットでは、文字を並べて絵にしたもの(アスキーアート)はお馴染ですね。
一つ一つはそれぞれの見え方があり、それらが集まって別のものに見える視覚体験はいつも面白いものです。
森を上空から見ると苔の様に見えますが、その距離によって「葉」「樹」「森」とそれぞれの質感、肌理(テクスチャー)を感じます。それぞれは違う意味愛を持ちながら連続しています。
著名な知覚心理学者ジェームス・ギブソンは、このテクスチャーの連続性を「入れ子」に例えました。ご存知の方も多いと思いますが、彼は「見えるとは」を追求し、デザイナーにとって重要な「アフォーダンス」という概念を提唱しました。
スケールによって意味あいが変わるという事実は、デザインを行う際にもとても意義深いです。移動や操作によって物との距離が刻々と変わるのですから。
デザインによって自然に空間や装置の意味付けを知り、促された行為を重ねて行くことで思い通りの結果が得られる。こういう体験を、優れたデザイナーは見事なアイデアで美点に昇華しながらデザインしています。
写真は瓦と土を重ねた壁です。瓦にも土にもそれぞれのテクスチャーがありますが、全体で一つの「壁」テクスチャーになっています。
一つ一つはそれぞれの見え方があり、それらが集まって別のものに見える視覚体験はいつも面白いものです。
森を上空から見ると苔の様に見えますが、その距離によって「葉」「樹」「森」とそれぞれの質感、肌理(テクスチャー)を感じます。それぞれは違う意味愛を持ちながら連続しています。
著名な知覚心理学者ジェームス・ギブソンは、このテクスチャーの連続性を「入れ子」に例えました。ご存知の方も多いと思いますが、彼は「見えるとは」を追求し、デザイナーにとって重要な「アフォーダンス」という概念を提唱しました。
スケールによって意味あいが変わるという事実は、デザインを行う際にもとても意義深いです。移動や操作によって物との距離が刻々と変わるのですから。
デザインによって自然に空間や装置の意味付けを知り、促された行為を重ねて行くことで思い通りの結果が得られる。こういう体験を、優れたデザイナーは見事なアイデアで美点に昇華しながらデザインしています。
写真は瓦と土を重ねた壁です。瓦にも土にもそれぞれのテクスチャーがありますが、全体で一つの「壁」テクスチャーになっています。
鏡の三角錐 ― 2009年01月15日 11:15
MIRROR BOX ― 2009年01月16日 12:03
レコード ― 2009年01月19日 10:41
先日、ある方からレコードを譲り受けました。クラシックに詳しい知人には評判のコレクションとのことです。
久しぶりにレコードプレーヤーの針を落とすと、懐かしいノイズとともに驚きの素晴らしい演奏が納められていました。レコード一枚の時間がとてもゆったりとしていて、とても豊かなものを感じました。
驚いたことに、11歳と9歳の娘が「いい音!」「大好き!」と聞き入るのです。物珍しさなのかと問いましたらそうではなく、「生で聞いているみたい」「ぱちぱちしているのが落ち着く」と。
レコードの音を、恐らく初めて耳にした子供の素直な印象は、往年のアナログファンのようなものでした。
偏見なく聞き比べられる環境で、多数の意見をとるとデジタルとアナログの差はないそうですが、「味」というものも世代を超えて存在するのですね。興味深いです。
久しぶりにレコードプレーヤーの針を落とすと、懐かしいノイズとともに驚きの素晴らしい演奏が納められていました。レコード一枚の時間がとてもゆったりとしていて、とても豊かなものを感じました。
驚いたことに、11歳と9歳の娘が「いい音!」「大好き!」と聞き入るのです。物珍しさなのかと問いましたらそうではなく、「生で聞いているみたい」「ぱちぱちしているのが落ち着く」と。
レコードの音を、恐らく初めて耳にした子供の素直な印象は、往年のアナログファンのようなものでした。
偏見なく聞き比べられる環境で、多数の意見をとるとデジタルとアナログの差はないそうですが、「味」というものも世代を超えて存在するのですね。興味深いです。
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