整える2009年06月08日 22:17

ルールを統一し、要素を減らし、バランスを取り、ラインを揃え、強弱をつけ、メッセージを明確にする。。
デザインを詰めて行く段階は「整える」という作業が多くなります。
シンプルで洗練されたデザインを標榜しているものでしたら、ここのところは最も肝心な作業かもしれません。

話は飛びますが「素因数分解」という数学の世界の方法があります。高校で習った方も多いと思いますが、ある数を、単純な数のかけ算に置換る作業の事です。

デザインを整える作業を行っていると、一見複雑なものでも案外単純な要素の組合せで成り立っていたりするものですが、この「単純な要素の組合せで成り立つ」姿がこの「素因数分解」を連想させます。
でも、デザインは数学のように割り切れる部分と、どうしても割り切れない部分がある方がよさそうです。
抽象的な表現で恐縮ですが、割り切れない部分が「そのデザインにとって絶対に欠かせない要素」であり、それ以外の要素は最小限で、それらの組合せによって重層的に見えるものが美しいと感じています。

ところで、「これ(素因数分解)は実生活の役に立つのかなぁ・・」と思いながら学んでいた記憶がありますが、現代の暗号技術にとってとても重要なアルゴリズムだそうです。
「何に使えるか分からない」基礎的な知識や技術が、後世のためには必要なのですね。

ファイン、アノニマス、それから。2009年06月09日 10:08

昨日は「整える」について書きましたが、よく整っている事は日本製品の大きな特徴でもあるようです。

10代で渡米して以来30年近くアメリカに住む知人がいるのですが、彼が帰国の度に感心するのは、スーパーに並ぶ農産物の質の高さだそうです。曰く「林檎でも桃でも、日本のものは色、形、味、全てファインで素晴らしい」と。
そういえば、日本の林檎農家の作る林檎は世界の憧れ、という記事を読んだ事がありました。林檎に限らず、桃、さくらんぼ、メロン、マンゴーなどなど、世界一を冠した果物が沢山ありますね。
彼だけでなく欧米の方は日本の工業製品に対して「ファイン」を感じるそうで、これは実感の湧く所です。

また、100円ショップ、無印、ユニクロなどが外国旅行者のお土産に人気だそうですね。先日もパリに住む知人が一時帰国するお土産に「ユニクロの靴下」をリクエストされたと言っていました。安くて質が高くデザインもいい、と評判だそうです。
これらのお店の商品に共通しているのは「アノニマス(匿名)」なことですね。真の意味での匿名ではありませんが、少なくとも使う人はデザイナーやブランドを意識する必要のないことがは大きな商品価値の一つと言えるでしょう。

ファイン、アノニマス。
これらは日本の消費者が求めたからこそ、と言われているそうですが、私は送り出す側の「誠実さ」が為しているものと思っています。
この誠実さが世界での競争力なのだとすれば、日本のデザインがすべき事は、その誠実さを裏切らないだけではなく、ともに響きあうような価値を創造することなのでしょう。私もそのような仕事を担いたいと思っています。

梅雨入り2009年06月10日 14:25

ハワイ 椰子の樹
今日、横浜は梅雨入りしました。
日が長いこの時期は、雨雲も陽光が抜けてうっすら白いです。雨の水気と白い光りが風景を柔らかくさせるのが好きです。

とはいえ、湿気の中に長くいるとやっぱり爽やかな空気が恋しくなりますね。ハワイの写真をとり出して心地よい木陰を思いました。
今年はカラッと爽やかな夏になりますように。

太陽の色2009年06月11日 10:09

夕陽 ハワイ
日の丸の赤い丸は言うまでもなく太陽の象徴ですが、太陽の色が赤いと感じるのは日本やバングラディシュなどの湿気が多い気候の地域に限られています。世界の多くの地域で、太陽は黄色です。
湿気が太陽光の青みを吸収して赤く見えるのですね。
(この事実は以前、デジタルハリウッドの南雲先生が、ご講演の導入部で紹介されていました。光の物理的性質と人間の生理反応についての興味深いご講演でした。)

太陽に限らず、色や形の意味が風土によって大きく異なりますので、小さなアイコンを一つ描く場合でも気をつけています。

写真は昨日に引続きハワイで撮ったものです。モニターを通すとオレンジ色に見えますが、私は金色に感じていました。
朝陽の柔らかい色も、昼の眩しい陽射しも、南国の太陽は金色が似合いますね。。

過去記事:ゲーテの失敗
http://dmc.asablo.jp/blog/2009/03/13/4175010
過去記事:色の記憶
http://dmc.asablo.jp/blog/2008/11/24/3973958

「美しい『花』がある。」2009年06月12日 15:25

美しい「花」がある。「花」の美しさといふ様なものはない。

作家小林秀雄氏の有名な一節です。解釈を受け付けないものこそが美しい、という氏の思想が率直に伝わって来ます。

私などはこの言葉の前にはただただ黙するしかありませんが、賛否をあわせて多くの著名な方が様々に論じられていますので、「美」についての一つの究極の表現なのでしょう。

ただ、氏はそう言いながらも、「花」の美しさを何とか言葉に表そうと、生涯を通して格闘されている様にも思えます。ですから、この言葉は氏が自分自身と対峙すべきテーマとして打ち立てたのかも知れません。。

さて、デザインにおいての「美」とは、どういう物なのでしょう。このテーマも様々な論があることと思いますが、私は経験的には以下の様に感じています。

「デザインは美を目的にするとは限らない」
「美しさのないものはいいデザインとは言えない」

これを「解釈」してみますと、以下の様にも捉えられます。

1)美を目指さなくても、いいデザインは美しくなる
2)美しいことは前提で、その上にデザインがある

1と2は発想が逆ですが、いかがでしょう。。
私は「どちらもそう言うことなのだろう」くらいに大きく捉えて、デザインを良くして行く事に励んで行ければと思います。
dmc.
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