読書2009年07月03日 13:08

今日、電車の中で目が見えないと思しき女性が、小型のキーボードの様なものを操作していました。目を閉じて首をかしげながら鍵盤の上を指が滑る姿は、さながら音楽を奏でているようです。
でもそれはよく見ると、鍵盤のような所に点字が表示される機械でした。調べてみますと、それは「Braille Memo Pocket」という、点字の電子手帳のようなものでした。

以前、図書館のボランティアで本の読み上げをテープに録音されている方のお話を伺ったことがありますが、できるだけ感情を込めないように読むのだそうです。その方が、聴く側が自由に感情移入出来るからとのこと。
この話を伺った際、「読む」ことと「聴く」ことでは鑑賞の質が大きく違うのだな、と感じたことを覚えています。「見る」「聴く」は、対象に委ねる部分が大きいのですが、「読む」は感性に委ねる部分が大きく、主体的に読まなければならないからですね。
UIデザインにおいても、この質の違いは大切な視点だと思います。対象物に委ね過ぎたデザインより、使う人の感性を引き出す様なデザインをしたいですね。

さて、彼女はメール、それとも物語でしょうか。何を読んでらしたのかは分りませんが、指を滑らせる動きは、まさしく「読書」の姿でした。


Braille Memo Pocket
http://www.kgs-jpn.co.jp/b_bmpk.html
dmc.
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