墨田区2009年10月26日 16:05

スカイツリーを臨む
先週末、ご縁あって墨田区の工場と商店街の視察に参加させて頂きました。墨田区は物作りの拠点として都心に近いながら、住職一体の街として活気があります。その元気の秘密を拝見させて頂こうとの主旨です。

コーディネイトして下さった墨田のある方から、道々お伺いしたお話がとても印象に残りました。それは「横の繋がり」です。

昔ながらのご近所付き合いで、繋がりの深さは他を越えていて、例えば道具や材料まで貸借をしているとのこと。また自社で請けられないような仕事も他社に回して、結果的に大きな会社と同じようなワンストップの受注ができているとのこと。

受注組合やLLPという枠組みがありますが、信頼関係をベースにしたレスポンスの良さは、一朝一夕では出来ないことでしょうね。これはやはり墨田区の強さの秘訣なのでしょう。

話は飛躍しますが、先日紹介させて頂いた本の話を思い出しました。スペイン、フランス、オスマントルコといった大国に囲まれながらイタリアの小さな都市国家はそれぞれの道を探るのですが、ジェノバ、フィレンツェなどの栄えた都市国家は、国内の有力な名門同士の抗争も絶えませんでした。唯一ベネツィアだけが仲間割れをせず皆が国益を守ることで故に独立を通した、との事です。

今どの業界も大きな企業を構成する動きが盛んですね。その変化の中では小さな独立体は前途多難です。墨田区のお話を伺って、ベネツィアの逸話が現実味を帯びたイメージで巡っております。
dmc.
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