歌舞伎 仮名手本忠臣蔵2009年11月02日 22:27

歌舞伎座
お休みの日に歌舞伎座さよなら公演「吉例顔見世大歌舞伎」を観劇してきました。演目は「仮名手本忠臣蔵」です。

恥ずかしながら歌舞伎は初めてです。お詳しい方はもっともっと幾重にも味わえるのでしょうけれど、それでも、役者と舞台の色彩と構図の美しさ、決め事と思われる一つ一つに通された様式の心地よさ、役者や浄瑠璃と呼ばれる三味線の弾語りの声の響き、拍子木や衣擦れの音の生々しさ、小道具に使われたお香の香しさ、幕間に頂く菓子の味、、五感をフルに刺激されました。

また、イヤホンで聴くガイドが素晴らしかったです。お芝居のすじや役者のこと、装束や踊りの見どころなど、一つ一つの解説に味があり、教養があるということの心地よさを感じました。
教養の有る大人になりたいものです。

江戸の三色2009年11月04日 15:05

定式幕 歌舞伎座
定番の、という意味で「定式幕」というそうです。お馴染の三色は「黒」「柿」「萌葱(もえぎ)」です。劇場によって順番が異なったり、萌葱が白だったりするとのこと。起源は幕府から頂いた褒美の帆布とか、、はい、全て受売の情報です。

この定番の三色を改めて見ましたら、いわゆる湘南カラーとともに、意外にもアラビアやアフリカの国旗から、大地と太陽のイメージもしました。きっと奇抜で目立って粋なカラーリングだったんでしょうね。

芝居の中では「浅葱(あさぎ)」「黒」「赤」の三色が派手さと品の両方があってとても美しかったです。いつかどこかで使いたいな、と思ったりしました。


過去記事:三色
http://dmc.asablo.jp/blog/2008/12/22/4019379

秋空2009年11月05日 22:17

秋空 夕焼け
昨日の横浜の夕空です。

空にレンズを向けるのが好きで、雲や夕陽の写真が沢山あります。雲の形も面白いですし、色彩も奥深くて、時に魅入ってしまうものもあります。
空の写真を見ていると旅したくなりますね。

落ち葉2009年11月06日 13:00

山紅葉 落葉
ここのところ見上げた写真が続きましたので、今日は足下の写真を。。

山もみじの紅も落ち葉になるとくすんだ色になりますね。
秋の燃え立つような色彩でもなく、冬の静謐な無彩色でもなく、湿った砂利との対比が静かな印象です。
暖かい服装をして北風の中を、寒い寒いといいながら歩きたい、そんな風に思いました。

グローバル2009年11月09日 21:28

日本のメーカーのデザイン戦略は、ここ数年来グローバルに軸足を移行しつつありましたが、この一年では特にその変化が激しかったと実感しています。この傾向は暫く続くのでしょう。

グローバル戦略といいましても、各市場にあわせて多数展開するものもあれば、一つの製品をどの市場にも通用するものとして仕上げるものもありました。
そのなかで強く感じたのは「日本ローカルがグローバルに通じる」という視点です。

日本とグローバルの対比で、よく引き合いに出されるものに携帯電話の市場があります。いわく、独自の仕様と行政による囲い込みが世界の中で特異な市場を生み出してしまったと。
多くの議論がある所ですが、デザインの実感としては日本の携帯電話の海外での評判が高いと感じたことが複数(EU・中国)ありました。
また日本ローカルな炊飯器のデザインが、中国で非常な人気になった事も目の当たりにしました。

日本市場全体の抱える問題も、各市場の個別の事情も、突き詰めて行けば世界に通じるヒントがある、ということの示唆なのだと思っています。

「好きな未来」2009年11月10日 19:47

「何を創るべきか」
ものを生産して売るものにとってこの問いかけは永遠ですね。アイデアがなく途方に暮れることもありますが、逆に複数の選択肢から難しい判断を伴うこともしばしばです。

特に売上に関わること、つまり売れるかどうかは最大の関心事で、作るかどうか、そのデザインにするかどうかの大きな基準となります。ここを外せば未来がないのですから当然のことですね。
でも大切なのはただ売れればいい、という短絡的な考えでは判断を誤ってしまう、ということです。

私は、「好きな未来」を感じられるかどうかが大切だと思っています。その製品がある未来は好ましいだろうか、そのデザインのある未来が好きだろうか、、そうイメージすることで短絡的な思考に陥ることを防いでくれるのですね。


過去記事:まっとうなことを正々堂々と
http://dmc.asablo.jp/blog/2009/10/13/4630645

サバイバー2009年11月11日 21:52

長寿のお年寄りを敬意を込めて「サバイバー」とよぶそうです。
はるか永い人生の闘いに「勝ち残ったもの」という捉え方がいかにも米語らしい響きを感じます。

話は変わりますが、ファッションは機能的でスポーティなものが増え、女性の美しさも筋肉質になってきているそうです。男性も女性も現在の理想体系の維持には日常生活の運動だけでは不可能だそうで、美しくあるためには鍛えなければいけないのです。
これはもしかしたら「生存能力」の表現とも思えます。「生き残る強さ」が求められる時代ということなのでしょう。

体験化で素早く 言語化で深く2009年11月12日 23:37

ある先生は、子供に円周率を教えるのに図で描いて教えるのではなく、茶筒に紐を巻いて見せるそうです。その紐の長さが茶筒のどこの長さと、どのような関係にあるか、子供達はすぐに理解出来るそうです。
「百聞は一見に如かず」ですものね、目に見えるという事は素早く伝わって行きます。
面白いのは同じ「目に見える」でも、図示と茶筒では結果が異なると言う事です。体で感じる事に意味があるのでしょう。

アイデアを比較したり目標のイメージを共有したりと、デザインだけでなく、開発において視覚化の役割はとても大きいです。
そのプロセスにおいては「体に感じる事」も含めた視覚化、つまり体験化を通すことで、素早く考えを進めることが出来ます。

一方で、もの事を正確に伝えたり、意味を与えたり、目的を示唆したり、、言語化の役割はとても重要です。これは意外と忘れられがちなことでもあります。

体験化と言語化等と硬い表現になってしまいましたが、絵にして名前を付ける、プロトタイプを作ってコンセプトを立てる、ということです。
どちらかに片寄る事の危うさを忘れては行けないでしょう。

出会う力2009年11月13日 23:55

今日は、一度の出会いを豊かな愛情で強い絆へと育む、そんなお力を持った素敵な方のお話を伺う事が出来ました。

日本の質のいいTシャツとオーガニックコットンに情熱を注がれておられる久米繊維工業の久米信行社長です。柔らかくて響きのいいお声で、その秘訣を教えて下さいました。
それは「相手のことを良く知る」ということです。

早速実践したく、ブログを拝見しました。
http://kume.keikai.topblog.jp/index.html

ブログから久米社長のお人柄と出会いに大切にされるお心が溢れております。
「いまは「意」をもって行動する人が少ない」とおっしゃっていましたが、久米社長の「意」がひしひしと伝わって来ました。

また、「志」を軸に物事を進めて行ける時代だともおっしゃっていました。仕事を自らのライフワークとしてとことん突き詰めて行く力強さに感銘を受けております。

久米繊維工業
http://T-GALAXY.com/

茶刀2009年11月16日 18:26

茶刀 昆明 龍鳳房オリジナルハンドメイド
我が中国茶の師匠、古田土先生は軽快なトークで人を笑わせるのが大好きなサービス精神たっぷりのチャーミングなお方です。

お茶への情熱はなみなみならないお方で、先日も大陸の奥まで茶樹を求めた旅に行かれておられました。写真はお土産に頂いた「茶刀」です。雲南省昆明は龍鳳房の手作りで、持ち重りのするの逸品です。
先生、ありがとうございます!

小さめのタクト(指揮棒)くらいの大きさで、茶の塊をほぐすのに用います。これは針状ですが、その名の通り刀のようなものもあります。この小さい道具一つにも沢山の意匠があり、工夫が施されていて文化の厚みを感じます。機会があればデザインして見たいと思う物のひとつですね。

雲南は茶の発祥地で、古くから黒茶と呼ばれる固めて微生物醗酵させたものを遠く西域まで通商しておりました。野菜の貴重な地域ではお茶は健康に欠かせないもので、今でもこれをミルクティーにして飲んでいるそうです。

ちなみに、「運んでいるうちに発酵が進んでしまい、中国では半発酵の烏龍茶がヨーロッパでは全発酵の紅茶になった」というのは間違いだそうです。
先生はお茶に関する事なら何でも知っていらして、お茶の話の種は尽きないのです。

古田土先生ブログ
http://nomarukumederu.cocolog-nifty.com/weblog/
http://putiputi.chalefang.com/
dmc.
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