「ありあまるものを無駄にすること」2010年01月22日 19:41

フリー
クリスアンダーソン著「フリー <無料>からお金を生みだす新戦略」を読みました。この本は日ごろ公私共にお世話になっている、スピードハンド株式会社の広瀬幸泰社長に「デフレにずるずる負け続けながらも現実を認めようとしないビジネスマンの心を再び戦闘モードに変えてくれるか、少し光明を感じる本です」とご紹介いただきました。

これまでも存在した「無料」と、現代の「無料」は根本的に異なるがそれを踏まえた新たな戦略が必要だと唱えて、具体的には「フリーミアム」という戦略を紹介しています。

話が飛びますが、「湯水のように使う」と言う言葉があります。無駄遣いを表した言葉ですが、「水が無限にあっていくらでも使えると思っているのは日本人だけだ」とどなたかが言っていました。
水のように生命の維持に必要なものの類いであっても、ありあまるほどに恵まれれば無駄遣いするようになる、ということなのでしょう。

今、ネットには沢山の情報があります。私の知りたい「真空管アンプのつくり方」といったマニアックな情報でも、少し前なら時間と労力を必要としましたが、今では検索すれば以前よりも深く広く知る事が出来ます。
私にとって重要な情報とみなさまにとって必要な情報は全く違うかもしれませんが、それらが等しく存在しているのがネットです。これはネットの情報は増加し続けているからこそ可能な事だそうで、もし、ネットの記憶容量が限られているとしたら、私の知りたいアンプの情報は早々に削除されているかも知れませんから。

本書ではこの「ありあまっている」状態を「潤沢」と呼んでいますが、記憶容量が潤沢なため、それまでは「無駄」と見なされかねなかった情報(例えば真空管アンプのつくり方)も存在出来るわけですね。
著者が提唱して広まった「ロングテール」も、ネットの商品棚はコストが無視出来るほど安いから商品棚から降ろす必要がないという状況から生まれたそうです。

また本書では「無駄遣い」を奨励しています。今湯水のように使えるのがネットですね。すでにタダと無駄遣いの溢れた世界になっています。これを読み解くために「非貨幣経済」「評判」等、「ネットのタダは本当に無料」が納得出来ない私のような人を啓蒙する内容になっています。

なぜタダで使えるのか、フリーミアムとは何か、は本書をお読み頂くとして、「ありあまるものを無駄にする」という感覚のパラダイムシフトに沢山ヒントがあるように感じました。


フリー <無料>からお金を生みだす新戦略
http://www.freemium.jp/book

スピードハンド株式会社
http://www.speedhand.co.jp/

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