未知の知2011年09月26日 23:59

ソクラテス「無知の知」のもじりですが、未知を知ることへの人々の思い、情熱を感じる事がここのところ続いています。

19世紀末、ケルビン卿によるニュートン力学の勝利宣言がなされた。その時点でニュートン力学で説明出来ないのは「黒体輻射の実験」と「マイケルソン=モーレーの実験」の二つであり、それもいずれ解明されるだろうと。しかし、この二つの実験は、やがて量子力学や不確定性原理、相対性理論といった20世紀の物理学が出来する切掛となっていく。。
物理の歴史は大学時代に学びましたが、歴史と言うものは常にそうですが、必ず塗り替えられて行くものですね。
その後の素粒子と宇宙の姿は何度も仮説が出されその度に大きく変更されているようです。

先週末、もし事実であるならば物理学の歴史を大きく塗り替える発表がありました。ご存知の方も多いと思いますが欧州合同原子核研究所(CERN)が「超高速のニュートリノを観測した」というニュースです。
発表までに1万5千回も実験を繰返し、あえて解釈を行わずに、世界中から傍証を求めるという発表は、その結果の重大さを表しています。

報道では「これでタイムマシンが実現?」などという言われ方をしていますね。もしかしたら矛盾だらけのビッグバン宇宙論を書替える理論を打ち立てるかも知れませんし、素粒子観測のあり方を根本から変えてしまうのかも知れません。
詳しいことは判りませんが、少なくとも物質と時間の関係性に新たな謎を投げかけたことは確かなのでしょう。この後の展開に注目しています。

その少し前には人工光合成回路の成功のニュースもありました。用が明らかなことから不明なことまで、さまざまな未知への挑戦が続いているのが頼もしいです。
そして、冒頭の二つの実験だけでなく、素因数分解、非ユークリッド等々、その時は何の役に立つのか判らないことであっても、必ずいつか大きな価値を発揮する、ということも私たちは沢山経験しています。

未知がある限り未来はもっと開けて行く、、そんな楽天的な未来観で未知に向かって行きたいと思います。
dmc.
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