「絶望の国の幸福な若者たち」2012年08月09日 23:05

「絶望の国の幸福な若者たち」
若き社会学者、古市憲寿さんによる「絶望の国の幸福な若者たち」、とても興味深く読みました。13歳の娘も盗み読みしていたらしく「これ面白いね」と言っていました。

2010年の時点で20代の70.5%が現在の生活に満足していて、その満足度は他のどの世代よりも高く、過去の20代と比較しても高い、、。格差、貧困、ワーキングプアなどネガティブなワードだけが飛び交う現在の日本の中で、20代の生活における満足度は過去最高という奇妙な状況、これはいったいどういうことなのでしょうか。。

著者自身26歳で「若者」にカテゴライズされやすい年令であるためでしょうか、まずこの言葉の起源や現代での定義を学者らしいアプローチで紐解いて行きます。その中で現代の「若者」という世代で切る群像が既に錆びついたものであること、誰かが「若者」と呼ぶ時にはそれぞれの立場によって期待されるものがあることなどが明示されます。
そして、「ムラムラする若者」という現代のアウトラインを紹介して、若者目線で「日本」を見直していきます。

タイトルもさることながら、本文も冷めた皮肉の語り口がゆるく続くという、ある意味判りやすい若者然とした佇まいですが、その奥に何か光るものを感じ、最後まで興味はつきませんでした。


あちこちに「確かにそうかもなぁ」という所も多く、著者一押しの「ムラムラする若者」のくだりは、現在の「○○離れ」と言われているような消費行動を裏付ける心理としては最も判りやすい説明の一つだと思います。
更に幸福を「経済」と「承認」の二つの要素に分け、食べるものがあって誰かに承認されれば幸福であり、「貧困は未来」「承認は現在」の問題だから、娯楽に満ち気軽に承認が得られる今は「絶望の国の幸福な若者」であるとの断言には頷いてしまいました。

現状を近過去との比較で嘆く大人を冷笑しつつ、冷めた目線でその大人たちの残した社会現状をよしとする若者たちの未来に希望はあるのか、、。著者は控目ながら「なんだか悪いものではない気がしてくる」という一節を終盤に入れていました。

先日の「中国化する日本」とあわせて読むと、大きな流れに飲み込まれる大人の横で、その流れの中をヘラヘラとゆるく笑いながら楽しんでいる風に漂う若者が想起されます。
「一億総若者化の時代」という著者の見方からしますと、どうやら私もヘラヘラ笑っている側のようですね。(笑)
dmc.
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
「デザインの言葉」 by Fumiaki Kono is licensed under a Creative Commons 表示 - 継承 3.0 非移植 License.