流用と飛躍2013年04月16日 14:14

子供の頃に教わった「鳥の骨は飛ぶために空洞が多い」という説明は半分嘘だそうです。
鳥の祖先、恐竜が誕生した時の地球の酸素濃度は薄く、ために全身で呼吸するシステム(気嚢)が産み出されました。気嚢は骨の隅々にまで及ぶため、骨は軽く丈夫になりました。その後たまたま空も飛べるようになった鳥にとって「身体の軽さ」も優位だったため、より軽量化された、、というのが現代のシナリオです。

「鳥の骨は軽いので飛ぶ事に役立っている」とは言えても、「飛ぶために軽くなった」と言うのには疑問符がつくのです。
「たまたま飛べるようになった」というのも一方的な見方なのかも知れませんが、他の目的で獲得したものが別の目的で活用されるというのは、進化の説明では良く伺うパターンです。
例えば、魚の浮袋が空気呼吸をする肺に進化したり、口呼吸のために繋がった経路が声帯になったり、、。
これって、面白いと思うんですよね。

バイオミミクリーは「ある目的に対する最適なシステム」を生物に求める態度ですが、その進化の過程まで模倣しようと思いますと、既存のシステムの「流用」が、全く新しい行動獲得への「飛躍」になっているという見方ができるかも知れません。

デザインを行う場合をふり返ってみますと、「応用」はあっても「流用」って案外少ないかも。これはデザインの原点(の一つ)が、機能発想(Form takes function)だからかも知れません。
しかし「特異点」「イノベーション」が求められるところでは、この「流用」は可能性がとてもありそうです。
ふむ、今後大いに流用に注力しよう、とひとりごちました。

過去記事「恐竜はなぜ鳥に進化したのか」
http://dmc.asablo.jp/blog/2010/09/24/

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