知性のありか 「植物はそこまで知っている」2013年05月08日 23:40

「植物はそこまで知っている」
ダニエル・チャモヴィッツ著「植物はそこまで知っている」を読みました。

人間の五感と対比させながら、植物の「感覚」を最新の科学的知見に基づいて説いています。語り口は判りやすくありながら慎重で、安易な擬人化がもたらす誤解を丁寧に避けているように感じます。

私も耳にした事がありますが、かつて「植物も人と同じように会話をし、聴き、質の良い音楽を求めている」という話しが流布された時期があります。この本はそのような擬人化された植物の感覚をきっぱりと否定しながら、あえて人間の五感を対比させたのは、「感覚」を理解するには私たちの経験を基にするのがよいということなのでしょうね。

例えば「植物は見ている」の章では、植物には「目」と「脳」がないので、私たちのように網膜で結像したものを中枢神経で処理をすることはないけれど、私たちの目や身体の中にある「光受容体」は持っていて、そこから様々な外界の情報を得て活用している事が示されます。

また、青い光を受容する「クリプトクロム」は植物にも人間にもあり、ともに体内時計を調整する働きを担っているのだそうです。太陽の青い光が体表面のクリプトクロムに届くことで「今は昼間」ということを関知しているのです。
驚いた事にこのクリプトクロム(由来のシステム)は原始の単細胞生物にも見られるそうです。
・・ここまで語られることで、私たちの「見る」と、植物のそれでは異なりながらも「視覚」が進化の過程で枝分かれした同じ根っこを持つものである、というイメージが伝わりました。

同様に嗅覚、触覚、聴覚、固有感覚(位置感覚)、記憶が、植物の進化の結果獲得した固有のものとして語られます。これが面白かった!

そして最後に、「知っている」ということの先にある知能、知性についても、五感同様に安易な擬人化を避けながら、一貫して慎重に可能性をにおわせて終わっています。

「知」にも生物ごとの必要に基づく多様性があるのだ、という思いが余韻として続いています。
dmc.
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