「何でもいい」は返事のくず2013年05月09日 23:06

岳母の言葉なのですが、名言だなぁと思っております。

「夜ご飯何にする?」「今日どこ行く?」「何が欲しい?」
・・そんな質問に答える時、相手を思いやっていそうで一番がっかりさせてしまう回答が「何でもいい」ですよね?

ところで、他言語圏では具体的に要望しない事は明確にダメだと教わるそうですが、私たちは「何でも良い」が相手を思い計る気持ちを含んでいる事も感じられますよね。こうした相互依存的なコミュニケーションは固定化した関係性が続く社会だったからだ、という説明はもっともらしく聞こえます。

固定化した社会では、仕手(する側)が受手(される側)より未成熟な状況は確かに生まれやすいでしょう。
役者や噺家には「お客さんに育てられる」という関係が残っていますし、「寿司屋のおまかせ」なども客が職人を評価している部分が少なからずあります。
そういう関係の中では「何でもいい」には、「思うようにやって見なさい」という懐がある、といえるかも知れません。

しかしこの「やってみなさい」にただ反応するだけではやっぱりダメなのでしょうね。「考えのない回答」は期待を裏切ってしいます。
成熟した受け手の「何でもいい」は、仕手に取って恐い言葉なのです。

ふり返って「何でもいい」を未成熟な受け手が使うのは、やはり様々な思索を奪うでしょう。

岳母はこれを禁じ手にしました。ただし不可能な回答も許されません。そうして子供たちは「自分の要望を実現可能性を計りながら主張する」ように仕向けられたのです。凄いなぁ。

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