退場の時代2013年07月10日 23:31

超高齢化社会になって久しいですが、具体的には何時からかと思って検索して見ますと、2007年に65歳以上が21%を越えたのを持って「超高齢化」だとのこと。

私自身はこの5年の間に2度、近隣の単独世帯のご老人の最後に関わりましたが、高齢化の先にあるのは人生の終焉です。ここをどう過ごすか、私の接するご高齢の方のほとんどの方から、この難題に頭を悩ませていると伺っています。

ところで、上記の最後に関わった方(Aさん)は、私にある印象を残しました。詳しい事は控えますが、一般的には寂しい晩年と思われる状況の中を、ちょっと幸せそうに去って行った、と感じたのです。身体と心、それと日常的に関わる方々の、ほんのちょっとしたさじ加減が、Aさんには優しかった、、そんな印象なのです。(もちろん、他人の勝手な感傷なのだと思いますが・・)

話は飛びますが、市内のある地域に一昨年くらいから定員割れのマンションを改装した「最後のホテル」というコンセプトの遺体安置所が増えてきました。お亡くなりになった後、葬儀までの待ち時間を過ごす場所なのですが、そこで「人間らしく扱われる」ことに需要があるのですね。
並行して、ヒューネラルフラワーと言う、祭壇の花を故人の好みやイメージでデザインする事も一般化してきました。
葬儀離れと言われる中でもビジネスは進化しています。

また、遺産の効率的な法手続についてのワンストップサービスが、かつての資産家と顧問弁護士のような形ではない、オープンで低コストの方法も広がっているそうです。

確かに大量に退場することはビジネスチャンスでしょう。そこに物やサービスがあるのであればデザインも重要になります。それは間違いありません。
そのデザインを思う時、Aさんの残して行かれた不思議な幸福感を忘れてはいけないように思っています。

「いかにして去るか」という時代が始まっています。
dmc.
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