ダメマシンクリニック05【コンビニのトイレ:誤設】2015年12月04日 13:45

ダメマシンクリニック、次の症例はこちらです。
こちらをご覧になったMさんから直接お写真を頂きました、コンビニのトイレです。
Mさん、ありがとうございます!

頂いた写真とコメントはこちら(コメントは趣意です)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
05 コンビニのトイレ 01

05 コンビニのトイレ 02

記事を読んでトイレの操作パネルが気になっていました。
横浜の住宅街のコンビニのトイレです。
大きな張り紙が目立ちましたので投稿します。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
一見、なくても良さそうなくらいシンプルな配置なのですが、大きくて丁寧な張り紙がされていますね。


ダメマシン05【コンビニのトイレ

05 コンビニのトイレ 03
詳しく見て見ましょう。
1:説明書

ボタン近くに大きく丁寧に「ご使用後はこのボタンを押して下さい」と、トイレのタンクに言わせています。他に迷いようがない状況のようであっても、迷ってしまう方が少なからずいらっしゃるのでしょう。何が惑わせているのでしょうか?

05 コンビニのトイレ 04
Aさんによると、タンクは写真の右側にあるそうです。通常のトイレではタンク付近にレバー(流すためのインターフェイス)がありますが、この配置ではタンクに目を向けると操作ボタンが視界から消えてしまうのでしょう。そこで「自動かな?」と思ったり、手動であることが判っても探すのが面倒になってしまう方もおられるのでしょうね。


【診断】

設置位置が正しければ問題が無いと考えられますので「誤設」と診断とます。


【処方】

では、処方です。
優先順位に従った表示を計画します。

処方01:表示の
応急処置
応急処置(追加表示)は、既に適切な処置が為されていますので不要です。

処方02:移設
流すボタンを以下の位置に設置するのが良いでしょう。
タンクの右側面(レバーがありそうな位置)に設置する。
・タンクが不可能な場合、その周囲の壁面に設置する。
イメージに近い位置に設置できるといいですね。

05 コンビニのトイレ 05
一般的に「ありそうな場所」に「ありそうなもの」を置くと判りやすいのですが、今回の場合その場所は「タンクの右側面」でした。その周囲に設置すれば「ボタンを見つけられない」ことは避けられるでしょう。


ここで、もう少しイメージを膨らませて、「何故、たったひとつのボタンが見つけられないか」を、時系列に沿って考えて見ます。想像を膨らませてみてください。

1)トイレに入った時の視界内:「トイレのみ」
  Mさんによると入口は写真の左側なので、トイレは目の前になります。状況から意識は強くトイレに向かって入ると考えられます。
  
2)用足し後の視界内:「入り口とペーパーホルダー」
  視界正面は入り口で、右側に次に必要なペーパーホルダーが入ってきます。

3)処理中の視界内:「注意力低下」
  処理中は手先に意識が行っているため、視界内には新しい有用な情報は入りにくい状態になっています。

4)流そうとする時の視界内:「タンク」
  姿勢を整え流そうとする時はタンクの周囲を見ています。

始めて使用するユーザーは上記「2」「3」の時に、ボタンの存在に気付き、意味を理解しないと使えないことになります。


【参考事案】

コンビニのトイレ(別事案)

05 コンビニのトイレ 06
こちらは東京世田谷区のコンビニのトイレです。
決して使いやすそうな印象はありませんが、ダメ出しはされていませんね。

05 コンビニのトイレ 07
流しボタンとお尻洗浄が整理されています。
バネルが大きく目立つこととあわせて、ぱっと見は判りづらくとも理解を妨げる要素が少ないものと推察出来ます。
また、流しボタンが疑似的に「上面」にあるようなデザインがされているのが見てとれます。これは、T社が先行した「流すボタン=上面」の操作パネル(に慣れた方々)に配慮したものと受け取れます。(詳しくはこちら『ダメマシンクリニック04【高機能化症候群及び自社中毒の疑い】』をご覧ください。)


ダメを憎んでマシンを憎まず。
ダメマシンクリニックからは以上です!

No.05
対象:コンビニのトイレ
設置場所:横浜住宅街のコンビニ
報告者:Mさん
報告日:2015.12.3
症例:誤設
ダメ度:×(設置位置修正で対応可能)
応急処置:追加処置不要
治療方針:外科「移設」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ダメマシン」でお困りの方へ 
https://www.facebook.com/damemachine 
上のフェイスブックページに以下の内容を投稿して下さい。投稿順に診断、処方箋をお応えいたします。現場でお困りの方は無料で何度でもお応えします。どしどしご連絡下さい! 
・明瞭な写真または動画(複数歓迎) 
・設置場所とマシンの目的 
・困っていること・症状(出来るだけ具体的に) 
・テプラなどの対処部分の写真と説明 

※プロの方へ 
このページの内容を参考にして設計されることは大歓迎です。引用も問題ありません。(ただし、法的な責任は負いません。また、できれば一言「参考にしました」と言って貰えると嬉しいです。) 
個別にデザインを相談したい場合はご連絡下さい。最優先で対処させて頂きます。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://dmc.asablo.jp/blog/2015/12/04/7934576/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。

dmc.
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
「デザインの言葉」 by Fumiaki Kono is licensed under a Creative Commons 表示 - 継承 3.0 非移植 License.