ダメマシンクリニック40【PAの個室トイレ:環境変化不適応症】2016年08月05日 23:59

みなさまこんばんは!

今週が夏のピークでしょうか、夜でも収まりきらない熱気が街を徘徊しております。

さて、今週のダメマシンクリニックはこちら、大阪のパーキングの個室トイレです。

ダメマシンクリニック40【PAの個室トイレ】

40 PAの個室トイレ01
全てのドアに大きな注意書きが貼ってありました。

40 PAの個室トイレ02
ドアの内側にもあります。

40 PAの個室トイレ03

40 PAの個室トイレ04
詳しく見て見ましょう。
1・3:注意書(段差の注意喚起)
2:警戒(段差あり)
とにかく段差には気をつけて欲しい、ということが強く伝わって来ます。

40 PAの個室トイレ05
よく見ますと、中と外で段差を描き分けていますね。
ひとつひとつ丁寧な注意書きとなっています。
しかし、全てのドアに同じ注意書きが列をなしている光景は、なかなかに威圧的でした。

これらからは相当数の、もしくは、頻度は低くても重大な事故が起きたことがあったことと推察できます。
(さらに申し上げますと、頻度は少なくても強くクレームを申す人、またはクレームに大変敏感な管理者がおられたかもしれません。)

このPAに限らず、個室側がいちだん高くなっているトイレは一般的に見られたものと思います。(一段上がる和式の形態が残ったものかもしれませんね。)

一方、バリアフリー概念の普及に伴い、新設や改装毎にトイレの段差がなくなっていったと推察できます。(日本では80年ごろから知られるようになり、2000年に交通バリアフリー法が成立しています。)

つまり、昔は段差があるのが普通だったけど、最近はないのが普通だから、段差につまずく人が多くなった、、と説明できそうです。(ただし、ここのトイレだけでなく他でもこのような注意書きが必要となっているのか、ここが特別なのかはわかりません。。)


【診断】

環境変化(トイレには段差がないという認識が一般化)により、状況が問題化していますので「環境変化不適応症」と診断します。


【処方】

では、処方です。
追加表示による応急処置では、現状のように一つ一つに強い注意喚起があることが効果的です。ただし、それによってトイレの快適さが失われることも付記しておきます。
ここは注意喚起ではなく、段差の解消を目指す方が良いでしょう。

処方01:応急処置
段差を以下の様にすると良いでしょう。
・スロープを設置し、上下に注意喚起の表示を行う。
・スロープは排水の邪魔をしないよう、水が流れるようにする。

40 PAの個室トイレ06

40 PAの個室トイレ07
写真ではわかりづらいのですが、空間的な余裕のある場所ですので、スロープを設置するのが最も自然で根本的な対処法でしょう。
なお、いずれ迎える改装の際に、段差は解消されることと思います。それまでの暫定措置となりますね。


ダメを憎んでマシンを憎まず。
ダメマシンクリニックからは以上です!

No.40
対象:PAの個室トイレ
設置場所:大阪市
報告者:有限会社ディーエムシー
報告日:2016.8.5
症例:環境変化不適応症
ダメ度:××(治療が望ましい)
応急処置:増設


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