ダメマシンクリニック42【パン屋さんのコーヒーマシン:表示失調】2016年08月19日 13:00

みさまこんにちは!

お盆休みの余韻をオリンピックに感じつつ、平常運転に戻ってらっしゃる方が多いころと思います。私はと言いますと、今週は伊勢丹相模原店にてopuna(オプナ)展示販売しておりまして、まだまだ暑い夏を過ごさせて頂いております。(22日までのイベントです。相模原方面の方はぜひお越しください!)

さて、今週のダメマシンクリニックはこちら、横浜のパン屋さん(サービスエリア内ショップ)のコーヒーマシンです。

ダメマシンクリニック42【パン屋さんのコーヒーマシン】

42 パン屋さんのコーヒーマシン01
コンビニにならい、利用者さん自身が操作する方式の販売形態ですね。
チェーンではなく独立系のお店のようですので、業務用のコーヒーマシンをそのまま流用しているのでしょう。

42 パン屋さんのコーヒーマシン02
詳しく見て見ましょう。
1:誘導(レジでの購入)
2:注意書(ワンタッチ)
3:表示(アイスコーヒー)
4:表示(メニュー毎)
5:注意書(長押し禁止と抽出時間)

これらからは、、
・どのボタンを押せばいいのか伝わりにくい
・コーヒーが出ないので長押ししてしまうお客さんがいる
・購入方法が伝わりにくい
といった状況が見てとれると思います。
特にここはサービスエリアで初めて触る人も多いはずですから、使い方がすぐにはわからない利用者さんも多いと推察します。
また以前の事例で診断したように、コンビニ専用で開発されたマシンであっても混乱する現場は多いですから、本来はレクチャーを受けた人が使うマシンであればなおのことでしょうね。

なお、コンビニの「先に購入するスタイル」は、構造的な不確実性があります。こちらに詳しく載せましたのでご興味のある方は読んでみてください。


【診断】

今回のマシンについては、液晶の表示が目立たず、また表示とボタンの関係が利用者さんにうまく伝わっていないので「表示失調」と診断します。


【処方】

では、処方です。情報を整理してまとめましょう。

処方01:応急処置(追加表示)
追加表示を以下の様にすると良いでしょう。
・マシン操作の前に必要な「購入」を誘導する表示を遠方からみえる位置に表示。
・操作にかかわる表示はまとめる。
・不要なボタンを隠す。
・メニュー表示はまず「ホット/アイス」、次に「サイズ」の順で目立たせる。
・誤操作の多い「長押し」についての注意書を目立たせる。

42 パン屋さんのコーヒーマシン03

42 パン屋さんのコーヒーマシン04
操作パネル全体を大きく覆い、不要な情報(使わないボタン、見にくい液晶表示、不要なロゴなど)を隠し、必要な情報を優先順位に沿って大きく表示します。
今回はまず「ホットかアイスか」を色と文字で明確に分け、その中で選ぶようにすることで選択肢を少なく感じさせるようにしています。
また「購入の誘導」と「ワンタッチ」は今施されているものをそのまま使っても良いでしょう。


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ところで、コンビニのスタイルは構造的に不確実性があると書きましたが、その一端が見える事例をご紹介します。

42 パン屋さんのコーヒーマシン05
別のコンビニチェーンで見かけたコーヒーマシンです。
もともとの表示の上にパネルごと覆うような追加バネルが貼られています。よく見ますと、下の表記が透けていますね。いかがでしょう、使いやすそうに見えていますか?

もともと「わかりづらい」と言われて、店舗によっては追加表示をしていたところに、メニュー増加を契機に統一のパネルを用意したと見てよいでしょう。
ちょっと難しい言い方になりますが、これは「メニューが増えることによる複雑さを利用者が引き受ける」形になっています。この方法ではすっきりとわかりづらい形には成りえません。(実際に、統一したはずのパネルに更なる追加表示がされていますね。。)

これだけセルフのコーヒーマシンが普及したのですから、ぜひ上の点を解決して頂きたいと願っております。(私の解決案はこちらにあります。ぜひご参照下さいませ。)



ダメを憎んでマシンを憎まず。
ダメマシンクリニックからは以上です!

No.42
対象:パン屋さんのコーヒーマシン
設置場所:横浜
報告者:有限会社ディーエムシー
報告日:2016.8.19
症例:表示失調
ダメ度:××(追加表示で対応可だが根本的には治療が必要)
応急処置:追加表示
治療方針:こちらを参照


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