ダメマシンクリニック53 【コラム:正しい見立てが成功の鍵】 ― 2016年11月18日 17:47
みなさまこんばんは!
おかげさまで当クリニックは開設一周年を迎えることが出来ました。投稿してくださったみなさま、「面白いね!」と声をかけてくださったみなさま、読者のみなさま、ありがとうございました。これからもダメだしされるマシンがある限り、クリニックのドアは開けていようと思っております。今後ともよろしくお願い申し上げます。
つきましては突然ですが、本日より新シリーズ「コラム」を始めます。
いつものクリニックに、時々「UIデザイン」についてのコツや小技をコラムでご紹介しますね。
早速の第一回はUIデザインの前にぜひ知っておいて欲しいこと、「見立て」について、です。
ダメマシンクリニック53 【コラム:正しい見立てが成功の鍵】
「見立て」とは、デザインするものを、普遍的な何かになぞらえて理解する(=見立て)ことを指しています。これは私が沢山の先人達の知恵に触れ、自分でも考え、試した中で、最も理解しやすく共有しやすい方法と考えているものです。
ポイントは「普遍的な何か」ですが、ざっくりとは以下の通り。
真ん中にいるのが利用者、グレーの文字が利用者から見た「普遍的な何か」です。
ひとつひとつ見て行きましょう。
1:身体
その物が、身体の機能を拡張するようなものなら「身体」と見立てるのが良いです。杖、包丁、バットなど道具工具の類いがこれにあたります。
良く慣れた利用者には、その物を「身体の一部」と感じる事ができます。また、ほとんどの物に「名人」がいて、パフォーマンスは利用者の力量によって差が大きくでます。
多くの道具は手を介しますが、靴やリュックなどの身体の一部と接続するものもこの見立てがよい事が多いです。
また、身体との繋がり方で使用感が大きく異なってきます。
2:家畜
その物が、伝統的には家畜が担ってきた使役に役立つ場合は「家畜」と見立てるのが良いです。
自動車やバイクなどの主に地上を移動する乗り物や、愛玩用のロボットがこれにあたります。
乗り物では「人馬一体」という慣用句がありますが、マシンの状態を良く知り、自分の意思を的確に伝えられるようになるとパフォーマンスが向上します。身体の一部と感じるくらい連携がうまく行くことが理想ですね。
愛玩用ロボットは家畜というよりペットといった方が判りやすいでしょう。
3:人
その物が、利用者とは独立して存在して自動的に動く場合は「人」と見立てるのが良いです。
コンピューター、プログラム(コード)で動くもの、操作パネルのあるもの、自動○○機などほとんどの装置です。将来的に身近になるだろう、生活圏のロボットもここでしょう。
「人」は図に書いた以外にも様々な関係が存在しますが、多くは「目下」、それもかなりの目下と見立てると判りやすいです。
4:自然
その物が、利用者とは独立して存在してある状態を保っている場合は「自然」と見立てるのが良いでしょう。
住環境のほとんど、大きな乗り物がこれにあたります。また、物理的に理解できるメカなども、自然物を見立てると良い場合があります。
5:超越
その物が人知を超える存在であるならば、「神」「天」などの「超越」と見立てるのがよいでしょう。
現在、ここにあたるものを一般には見かけませんが、AIやAIによるサービスなどが予想されます。
これらの見立てを通すことは、利用者とその物の関係性を長期にわたって理解する助けになります。
例えば、「AIで日々アップグレードされ器用になっていくIoT義手」を考えてみましょう。
コンピューターなら「人」、AIなら「超越」ですが、義手なのですから「身体」と見立てるのが自然ですよね。AIもコンピューターもこの「身体が拡張した感じ」の中に収まっているほうが心地よいはずです。
余談ですが、このことからは多くのAIが「超越」的なあり方ではなく、身体拡張の範囲を拡大させるものである、との予見が成り立つと考えています。
・・ふぅ。
ちょっとざっくりとして小難しくなっておりますが、昔から変わらない何かに見立てると良いよ、というお話でした。
ダメを憎んでマシンを憎まず。
ダメマシンクリニックからは以上です!
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