ダメマシンクリニック56【トイレの非常呼び出しボタン:表示失調】2016年12月09日 23:59

みなさまこんばんは!

インキュベーションサイトがニュースになっております。
「偽物の情報を集めると簡単に儲かる」という現象は昔からあるわけですが、どんなに技術が進んでも、いやもしかしたら技術が進めばいっそう先鋭化する、ということなのでしょう。古典や歴史に通じて人を知るということが大切ですね。。

さて、今週のダメマシンクリニックはこちら、駅の多目的トイレ内に設置された非常呼び出しボタンです。

ダメマシンクリニック56【トイレの非常呼び出しボタン】

56 トイレの非常呼び出しボタン01
「非常時に押して下さい」の大きな誘導表示が2ヶ所あり、近接したボタンのひとつにダメ出しがされています。

56 トイレの非常呼び出しボタン02
詳しく見て見ましょう。
1:表示(非常用ボタン)
大きな誘導表示があるにもかかわらず、ボタンの上に改めて追加表示されています。
ボタンを確認してみます。

56 トイレの非常呼び出しボタン03
ボタンには「ON・OFF」とだけ書かれています。汎用のものを流用したのでしょう。これだけを見ますと、確かに何のボタンかわかりません。
(写真はダメ出しのない左下のもの)

56 トイレの非常呼び出しボタン04
しかし、一番目立つように「非常時に押して下さい」と書かれています。これが伝わっていないのでしょうか?

前回の例を参照しますと、わずかな距離でも表示と物の関係が伝わらないことがありえます。
誘導表示の目を引く「」が何かのヒントにはなっていず、その下にふたつある流すボタンや手洗いとの明瞭な境界がないこともあって、ぱっと見ただけでは伝わらない方が多いと推察します。


【診断】

ボタン自体に非常用の表示がなく、誘導表示も伝わっていないので「表示失調」と診断します。


【処方】

では、処方です。
明確にボタンが非常用であることを表示し、誘導表示との関連性を強化します。

処方01:応急処置
表示を以下の様にします。
・パネル全体を覆うように大きく「非常ボタン」と表示する。
・ボタンの上に」を表示する。

56 トイレの非常呼び出しボタン05

56 トイレの非常呼び出しボタン06
ボタン上に」を描くことで、視覚的に目立たせるとともに、誘導表示が「非常時にはを押す」という意味に変化し誘導先が明確になります。(具体性の強化)


さて、今日の診療で今年のダメマシンクリニックを休院させて頂きます。本年も当クリニックをご愛顧賜りありがとうございました。みなさま、素晴らしい新年をお迎えください。



ダメを憎んでマシンを憎まず。
ダメマシンクリニックからは以上です!

No.56
対象:トイレの非常呼び出しボタン
設置場所:駅の多目的トイレ(横浜市内)
報告者:ディーエムシー
報告日:2016.12.9
症例:表示失調
ダメ度:×(応急処置で対応可だが、根本的にはリデザインが必要)
応急処置:表示追加



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