ダメマシンクリニック62【洗面台:配置性干渉障害】 ― 2017年02月10日 10:10
みなさまおはようございます!
横浜は朝から強い風が吹き、昨日ぱらついた雪の名残をすっかり飛ばしてしまいました。これから少しづつ暖かくなっていくのでしょうね。
さて、今週のダメマシンクリニックはこちら、都内のパーキングエリアに設置された洗面台です。
ダメマシンクリニック62【洗面台】
二台並んだ洗面台の左の方に追加の表示がされていますね。
詳しく見て見ましょう。
1:注意書(忘れ物)
2:説明書(手動水栓の操作方法)
1の「忘れ物注意」は、以前にもありましたがトイレで時々見かけますね。
2の説明書は、水栓の使用方法ですが、わざわざ説明する必要があるのだろうか、と不自然な印象もあります。
ここで、(写真が見切れて申し訳ないのですが)右側の洗面台を見てみますと、説明書がありません。こちらは自動水栓なのですね。また、石鹸液は左右とも自動で出るタイプです。
外観も機能もよく似たもの同士が並んでいる中ですので、手を触れる必要があるもの(手動水栓)に説明を書いた、ということでしょう。
【診断】
使用法が異なるもの同士が隣接したことにより、使用方法のイメージ(アフォーダンス)が干渉してしまったことが原因です。「配置性干渉障害」と診断します。
【処方】
では、処方です。
現状の応急処置でも利用できますが、ダメ出しによって損なわれている空間の簡潔さに配慮した処方をします。
処方01:表示による応急処置
表示を以下の様にします。
・「手動水栓」の説明をとる。
・「自動水栓」に追加表示をする。
・忘れ物の注意書をとる。
一般的には、普及して50年以上経ている自働ドアでも「自動」の表示がありますから、自動水栓、手動水栓を個別にみれば、表示が必要なものは自動の方です。したがって、自動の方に表記をする方が普遍的で自然だといえます。
また、ここは設備も整い、管理が行き届いていました。このような目的が明確で簡潔な空間では、誘導がなくても利用者は迷うことなく利用することができます。
また、整理された空間の追加情報はむしろノイズとなってしまう事も多いのですね。ノイズというのは「感情的に」処理されてしまい、意味が伝わりにくいものです。これは逆効果です。
「忘れ物注意」は親切ではありますが、ここでは空間の簡潔さを尊重して控えておく方が良いでしょう。
ところで、「木の葉を隠すなら森の中」と言いますが、ダメ出しによって返って伝えたい情報が埋もれてしまう場面を多々見かけます。公共空間はもっと文字に頼らず伝える工夫が必要でしょう。
ダメを憎んでマシンを憎まず。
ダメマシンクリニックからは以上です!
No.: 62
対象:洗面台
設置場所:都内のパーキングエリア
報告者:有限会社ディーエムシー
報告日:2017.2.10
症例:配置性干渉障害
ダメ度:-(応急処置で対応可)
治療方針:追加表示
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