ダメマシンクリニック66【駐車場精算機:配置性誤誘導および表示失調】2017年03月17日 10:10

みなさま
おはようございます!

昨日は昼夜続けて、おめでたい会合に出席させて頂き、興味深いお話と美味しいごはんに、むねもおなかも一杯になって戻って参りました。今日お会いした方々に触れ、いわゆるコンフォートゾーンはとても大切ですが、あえて切っ先に向かって行くことでしか出来ない仕事が沢山あるなぁ、と改めて思いましたです。

さて、今週のダメマシンクリニックはこちら、駐車場の精算機です。鉄骨で二層化した平置きの大きいタイプの駐車場です。

ダメマシンクリニック66【駐車場精算機】

66駐車場精算機 01
中央に大きく、現金投入部分に小さくダメだしされていますね。

66駐車場精算機 02
詳しく見て見ましょう。
1:注意書(領収書の取り扱い)
2・3:注意書(紙幣の種類)
1の「領収書が完全に切れるまで引っ張らないで下さい」からは、急いでいる利用者さんが待ち切れずについ引きちぎってしまう、と言う状況が想像されます。
2・3の「高額紙幣使用不可」は、「1000円札」の表示が遠いため追加されたのでしょう。これは駐車場精算機に多いダメ出しです。

さて、ここは「領収書を引きちぎってしまうほど急いでいる(苛立っている)利用者」さんが多い特別な場所なのでしょうか、それとも何か別の問題があるのでしょうか、、。

精算から領収書発行までの手順を、「利用者→マシン」の流れで確認してみますと、、
1)駐車券を挿入     → 精算金額が表示される
2)紙幣硬貨を投入    → つり銭があれば排出される
3)領収書発行ボタン押下 → 領収書が排出される
4)つり銭と領収書を受け取る
(つり銭を受け取った後に領収書発行ボタンを押すことも可能)

この流れの「3」の時、領収書が出てくるのは「既におつりが出ている受取口」です
利用者さんは精算機を前に財布を開いた状態でいるのですから、領収書が出切らないうちに、つり銭を取ろうとするのは自然な動作と言えます。
そして「つり銭を取ろうとして手を入れた状態」で、領収書が手に触れたとしたらどうでしょう、このまま領収書を受け取りたくなっても不思議ではありませんね。手で遮られてよく見えなくても、引っ張ってしまいたくなることもあるでしょう。
つり銭のある受け取り口に、領収書がゆっくりと出てくることが「引きちぎってしまう」利用者さんを誘発していると言えます。


【診断】

つり銭と領収書の出口が共通であること、マシンのシーケンス、利用者の動作のタイミングが重なってしまったのが原因ですので「配置性誤誘導と診断します。なお、領収書の発行が充分に速ければこの限りではないことを申し添えます。
また紙幣投入口の表示が不適切ですので「表示失調」を併記します。


【処方】

では、処方です。
応急処置でも利用できますが、誤誘導を文字で制するのは難しいので、メーカーにおける治療が望ましいでしょう。

処方01:表示による応急処置
表示を以下の様にします。
・領収書の注意書を受け取り口の透明カバー上に表示する。
・紙幣の表示は挿入口の上に大きく一つだけとする。

66駐車場精算機 03

66駐車場精算機 04
領収書の注意書きは、受取口の中のことについてですので、カバーの上に表記します。透明なテプラで白文字が読みやすいでしょう。
紙幣挿入口の表示は、基本に則っりすぐ上にひとつだけ、大きく表示します。使える方(1000円)を大きく、使えない方(高額紙幣)を小さくするのも基本通りです。

さて、表示失調は追加表示で改善できますが、誤誘導は難しいです。特に視覚以外の自然な誘導は強烈です。今回の場合は「領収書が手に触れる」ことが大きな意味を持っていますので、それを物理的になくすことが望ましいでしょう。


処方01:メーカーによる治療
メーカーにより以下の様にするとよいでしょう。
・つり銭と領収書の受け取り口を分ける。
・誘導表示は、操作する範囲の上に表示する。
・紙幣挿入口の表示は処方01と同様に、挿入口の上に大きく一つだけとする。

66駐車場精算機 05

66駐車場精算機 06
領収書の排出口をわけ、前に出しました。物理的につり銭と領収書の受取口を分けることで、誤誘導の誘発を無くしています。

今回の例は屋根(2階部分)がある環境でしたので問題は小さいですが、単体が屋外に設置される場合は、風や雨で無くしたり汚したりするリスクが増えます。
実際の治療では、外観はそのままで、領収書の発行が済んでから受け取り口に落ちるように内部の装置を変えるのがよいでしょう。



ダメを憎んでマシンを憎まず。
ダメマシンクリニックからは以上です!

No.66
対象:駐車場精算機
設置場所:横浜市内
報告者:有限会社ディーエムシー
報告日:2017.3.17
症例:配置性誤誘導および表示失調
ダメ度:×(治療が望ましい)
応急処置:表示修正
治療方針:外科「再配置」


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