ダメマシンクリニック71【駐車場の発券機:表示失調】 ― 2017年05月12日 17:30
みなさまこんばんは!
今日は暑かったですね!
日が暮れてきましたら「もう梅雨かな?」と思わせる湿った風が吹いて参りました。季節が行きつ戻りつしながら、夏のエネルギーを溜めているような感じが漂っております。
さて、今週のダメマシンクリニックはこちら、駐車場の入場ゲートにある発券機です。
ダメマシンクリニック71【駐車場の発券機】
1:表示と誘導(発券ボタン)
2:告知と誘導(定期券挿入口の故障)
3:表示(係員呼び出し)
1の発券ボタンは赤く「発券」と光るものでした(昨年は光っていました)が故障しており、表示もかすれております。少々見づらい状態ではありますが、発券ボタンの存在に気付かない利用者さんは極く少数と思います。ゲートが開かなければ「発券ボタンを押す」と理解するのは簡単ですもの。
しかし少数であっても、声の大きい方が強く主張された場合、何かしらの対応をしたくなるのも充分に想像が出来ます。
係員呼び出しボタン(3)も、もともとは控え目(意図的に目立たせない)でしたが、発券ボタンの表示を入れるとなれば、ここにも追加したくなるのは不思議なことではありません。
2の「定期券が駐車券発行口に挿入できる」はアナウンスがないとまったく判りません。従いまして直るまでの期間限定としましても、こちらの方が重要なと言えます。
【診断】
ボタンの「発券」の表示が見にくいことから軽微な「表示失調」と診断します。
【処方】
では、処方です。
発券ボタンは誘導(文章)ではなく位置を明確に表示し、定期券の誘導を大きく表示します。
処方01:応急処置
応急処置(追加表示)は以下の様にするのがよいでしょう。
・追加の誘導表示(1)を消す。
・もともとあるイラストを隠すように「発券ボタン」を表示。
・定期券の告知と誘導は大きくし、既存の情報を全て隠す。
かすれた「券発行」のイラスト(ボタンの位置を表す機能も担っていた)を上書きします。この位置に明瞭な表示があれば(文字を読まなくても)ボタンの位置を示唆することが出来ます。
定期券のイラストを隠すのは、ノイズを少しでも減らすための措置です。定期券の利用者の殆どはここに定期券挿入口があることを知っています。その位置に大きく告知を書くことで、遠方から見ても「いつもと違う」という状況が伝わりやすくなります。
ダメ出しの追加表示は、水平垂直に気を使って入れる方が望ましいです。「正しさに気を使っている印象」の方が安心感があります。
ところで、駐車券発行口が定期券挿入口を兼ねるのはここだけの特別な措置なのでしょうか。この場所の不具合の放置のされ方からすると、故障や誤挿入を想定したもともとの仕様(冗長性)にも見えますね。もしそうなら、素晴らしい配慮だと思います。
ダメを憎んでマシンを憎まず。
ダメマシンクリニックからは以上です!
No.: 71
対象:駐車場の発券機
設置場所:横浜市港湾部のホームセンター屋上の駐車場
報告者:ディーエムシー
報告日:2017.5.12
症例:表示失調
ダメ度:×(表示対応可)
応急処置:表示修正
治療方針:皮膚科「表示修正」
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ダメマシンクリニック72【トイレのレバー:軽微な干渉障害および自社中毒の疑い】 ― 2017年05月26日 09:30
みなさま
おはようございます!
さて、今週のダメマシンクリニックはこちら、コンビニで入ったトイレのレバーです。日常的な行動範囲が中心ですので、そろそろネタ切れかなと思っておりますが、それでもまだまだダメ出しされたマシンが存在しておりますね。
ダメマシンクリニック72【トイレのレバー】
印刷されたシールが貼られています。管理者のダメ出しではないのですが、これが貼られた経緯を想像するとなかなか奥深いものを感じまして、、。
ということで診て参りましょう。
1:操作の説明(レバーの方向)
図解を添えた大きなシールで「奥が大です」と説明されています。レバーの表示とも矛盾していません。
それでは、これだけ大きく図示する必要がある、というのはどんな状況から生じているのでしょう。
まず、一般的な手動式トイレのレバーを確認してみましょう。
身近で探してみましたが、別のコンビニや自宅で見つけた手動タイプのレバーは全て「大は手前」でした。一般的に「大は手前に引く」のがもっとも自然な操作イメージと考えられます。
利用者さんには「しっかり流したい時は『大』を、水の量をみながら流す時は『小』を使い分ける方」や、「手の動きとして『手前に引く(押す)』が癖になっている方」などがいらっしゃると思います。
この一般的な操作イメージを前提にしますと、どちらの利用者さんにとっても「いつもの使い方と違う」ことになります。
また細かい話ですが「小」は、レバーを押している間だけ水が出ます。「大」のつもりで、引いてすぐ離してしまうと水はほとんど流れません。
「流そうとしても流れない」状況でレバーを、逆方向に操作してみようという方は少なく、ずっと引きっぱなしにされる方が多いと考えられます。それは、「別の選択肢をとる(=押してみる)」より「方法を強化する(=ずっと引く)」のが自然だからです。
つまり「このトイレ流れないよ!」となってしまう利用者さんがいる、ということですね。
さらに、レバーの操作は「引く/押す」に対して、表示が「上/下」であることも伝わりにくい点です。
一般的なものと並べてみますと、外観上の差が少ないことがよくわかりますね。よく見ても、書かれている内容を理解するのには落ち着いて考える必要があるでしょう。
このように表示をよく見ようとしてもいまひとつ判りにくい、、であれば「大きな図解」を添えたくなるのは自然のことと思います。
ところで、「大は手前に引く」は、古い水洗トイレの「紐を下に引くと一気に流れる」から引き継いだと推察できます。自然な発想です。
そうしますと、「なぜ逆の操作方法のものが採用されたのか」という疑問が湧いて参ります。
パッと考えますに、、
・他社の特許を避けるため
・わざと逆にして「小」を使わせるため(省資源対策として)
まずはこの2点でしょうか。
特許は、かつてはあったかもしれませんが今では問題にはならないでしょう。
もし省資源対策だったとしたら面白いアイデアだったと思います。
ただ、操作を覚えられれば効果は限定されたでしょう。むしろ「手慣れとは異なる違和感」の方が目立つものになっていったのではないでしょうか。
実際には、ここで推察したような経緯は確認できませんでした。しかし、この大きなシールはメーカー(または販売店)が用意したものと見受けられますので、一般的な操作イメージとは逆の操作方法の提案は成功しなかった、、と言えるでしょう。
【診断】
利用そのものは阻害しないものの、利用者のイメージする操作の方向と異なる仕様から「軽微な干渉障害」と診断します。
また、付加的な目的のために基本操作に悪影響を与えている可能性があることから『自社中毒の疑い』を併記します。
【処方】
では、処方です。
応急処置は現状のように図解で具体的な操作イメージを伝えるのが効果的です。治療としては、レバーの機構を一般的な方向に直すのが良いでしょう。
処方01:応急処置
応急処置(追加表示)は現状のものがよくできています。
・レバー上方に大きく提示する。
・操作方法を図解して具体的なイメージを伝える。
処方02:治療
施設の改装時には一般的なものを設置すればよいので、ここでは修理対応での改善策を処方します。メーカーにて以下の修理が出来るパーツを用意します。
・タンク内のレバー機構を、逆方向に作用するものに交換する。
・正しい表示のレバーに交換。
現在のシールでの対応が現実的な答えとは思いますが、ご参考まで。
ダメを憎んでマシンを憎まず。
ダメマシンクリニックからは以上です!
No.72
対象:コンビニのトイレのレバー
設置場所:横浜市
報告者:有限会社ディーエムシー
報告日:2017.5.26
症例:軽微な干渉障害および自社中毒の疑い
ダメ度:×(応急処置で対応可能)
応急処置:追加表示
治療方針:外科「移植」
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