ダメマシンクリニック87【かわいいフォロー】2024年12月04日 10:10

ダメマシンクリニックファンのみなさまこんにちは!

先日「デザインはフォロー」というお話をしました。今日はダメマシンのかわいいフォローを紹介します。

トイレのフラッシュボタン
座った目線で見たところ。

トイレリモコンあるあるなんですが、壁にお店の雰囲気にあったかわいいアイコンが描かれていて、わかりやすいです。

トイレのフラッシュボタン
上から覗き込んだところ。

使おうとしてよってみると、テプラで文字が追加されていて、誘導もばっちりです。

機能だけなら壁にテプラを貼ることで賄えますが、このようにアイコンを描くことで、お店のおしゃれさや優しさがぐっと伝わってきます。
特にトイレはディシジョンスペース(意思決定空間)と呼ばれるほど、顧客を冷静にさせるところです。そこでこのデザイン。効いてますよね。

操作バネルのデザインなども、こういう視点が本当に大切です。お忘れなく!

デザインは「フォロー」 社会との接点をつくる2024年12月02日 10:22

みなさまこんにちは^^

デザインは相違を埋めるフォローである。
デザインは(何かに使える?)という根源的な仕組みから出てきたもの。
作り出したものとそれを社会的に利用するのは別のことだ。
みたいな話を続けてきました。

石器の喩えを続けますと、、

・割れた石そのまま     ・・・ 無用もしくは危険
・手で持てるよう柄を付ける ・・・ 役に立つ

柄を付けることはデザインそのものです。
つけた人はもしかしたら色々なものを切る遊び道具として楽しんだかもしれませんけれど、役に立つ道具として受け入れられたことでしょう。

この「受け入れられる」に着目すると、これは人間社会との接点を作った、と言えます。
この視点は、人を活かす、という考え方に通じます。

デザインには結果的に進歩的な側面が生じますが、その前段階には「相違を埋める」があります。
まずは、社会との接点を上手く作る、というのは人にもモノにも無理なく効果的なアプローチです。

デザインの根源「何かに使える?」2024年11月29日 10:29

みなさまこんにちは^^

デザインの問題解決は「相違を埋めること」であり人間が本来的に持っている性質、というお話をしました。

「人間本来」と大きく出ましたので、石器時代に遡ります。

石器は打製石器(石を割って作る)から磨製石器(磨いて作る)とあります。出土の時代性から、最初は割れた石をそのまま用い、つぎに柄を付けて用い、やがて割ったり磨いたして目当ての形を得るようになる、、。
これ、デザインそのものでしょう?

それで、大切なのは割れた石は切れるという「発見」と、それを記憶しておいて「概念化」し、他の場面で用いる「流用」という、それぞれ別の作用が働いているということです。
他にも、「火の近くで干からびた肉は腐らない」を発見し、「腐らない肉」という概念を知り、火の近くで干す以外の様々な保存方法を展開して行く、などなど。
発見を概念化して組み合わせて流用する、これは学問的に「設計の原型」だそうです。設計って日本語でデザインですよね。

この(これって使えるかも?)と思って、経験やものを取っておく行為は、現代の子供たちを観察してもみられます。この性質を強く持ち続けた人が「ブリコルール」になるのでしょう。私自身がこのタイプでした。

この性質は「遊び」の延長です。
人は遊びの中に有用物に至る思考と行動の回路を持っているのです。
(遊びから学ぶのは動物にも見られますね。)

遊びの延長で生まれたものが集団を変え、それを利用して社会的に利用する人が現れる。
これがデザインと進歩の関係性と言えるでしょう。

デザインは遊び。
デザインは楽しい。
お忘れなく^^

進歩と相違 デザインはフォロー2024年11月27日 16:35

みなさまこんにちは^^

デザインは「問題解決」ではあるけれど、「社会・人類の再定義」ではないというお話を書きました。

「社会・人類の再定義」の背景には、現在の社会はまだまだ発展途上だから、進歩してよりよい社会を作るのだ、という思想があります。
この思想を「進歩主義」といいます。進歩主義は政治思想のひとつですから、起業家が「社会を良くするために政治に干渉して行く」のは自然のことですね。

進歩主義というワードがさす内容は時代や国によって違うのですが、ヨーロッパの啓蒙思想が源流で、文明と非文明を対比し、非文明的社会を「劣っている」と見なしたことが始まりです。

これ、無理解による差別、と今なら言われそうですよね。
実際に、非文明的社会は単なる相違に過ぎず優劣はない、という考え方とそれに基づく学問も盛んで、人類学や大きな影響力を持った「構造主義」はその流れから生まれました。
(以後詳細は専門書を各自でお調べくださいませm(^^)m)

さて、デザインにおいての「問題解決」です。
これは、前回記事の通り、進歩の文脈でも成立します。
しかし、スマホを使いやすくするとか、タクシーをすぐ呼べるとかの「進歩」は、ほとんどの場合「社会の変化によって生じた溝を埋める」ものです。
これは「進歩」というより「フォロー」です。

そう、フォロー。

有名なAppleのMacのコピー「For the rest of us.」は、直訳しますと「私たち以外のために」となりますが、意味するところは「コンピューターに詳しくない人のために」です。これはデザインとマーケティングの目指すところを明確にしていますね。
この事象を追いかけて行くと「社会を良くする」に繋がって行くのですが、コンピューターが普及したことが社会を変えたのは事実だとしても、それが「良くなった」と呼べるかどうかはまだ分かりません。
鎌倉時代の後に戦国の世が来たように、ローマが席巻した後に長く中世が続いたように、改革のあとに「乱世」がくることもあります。

デザインの問題解決は相違を埋めること。
これは、依拠する思想とは関係なく、人間が本来的に持っている性質なのです。

(つづく

デザインは問題解決、ですけれど・・・2024年11月25日 11:35

みなさまこんにちは^^

デザインについてつらつらと書いております。

デザインは、「デザイン思考」でもおなじみですが、「問題解決」を志向するものです。
この「問題解決」は、「社会を良くする」というマインドと相性が良いです。ですので、「新技術やサービスで社会を良くする企業」にとってはデザインは必須になります。ビジネスとしてのデザインはこの点で価値を発揮できるかどうかが常に問われています。有り体に言いますと、売れるかどうか、ですね。

「売れる」ためには、製品やサービスのデザインだけでは不十分で、マーケティングが主軸になります。ひとつひとつの製品やサービスは、一人の人間、もしくはその人々が集まった集団のためのものですが、マーケティングでは、その人や集団のパターンを増やし、その周囲に響かせる必要があります。

さらに「社会を良くする」には売れるだけでは不十分です。市場でトップに立ち、法規制や既存の習慣を超えて行く「社会実装」が必要になります。ここは政治ですね。
現在、国よりも大きな影響力を持つと思われる企業は、社会や人類を「再定義」するというようなことを発信していますよね。この再定義を「デザイン」と捉える向きもあります。

さて。
デザイナーは「社会や人類を再定義する」、、そんな仕事をするのでしょうか。
これは起業家の仕事であってデザイナーの仕事ではありません。

デザインは「問題解決」ではあるけれど、「社会・人類の再定義」ではないのです。
この違いは、いまそこにいる人を尊重しているかどうか、です。

「自分以外の誰かを喜ばせる」
この視点をデザイナーは失ってはならないのです。

(つづく

デザイン -9- まとめ・後編2024年11月22日 18:43

みなさまこんにちは^^

前回までに、身近でなじみ深い6つのデザインを手かがりに、以下のところまで抽象化しました。

美しく、機能的で、意味があること。
これらの総合的な「創意工夫」がデザイン。


さて、デザインには「何故デザインをするのか」という動機が潜在します。また、デザインする側とそれを享受する側という広がりと流れがあります。

この動機と流れは、静的で結果論的な「デザインとは何か」という定義では抜け落ちてしまいます。(これまで見てきたように)

そこで、動機と流れを意識して加えたのが以下の一文です。

デザインとは、誰かを幸せにするために、創意工夫して、意味を与える。

動機と流れは「自分以外の誰かを幸せにしたい」に収まっています。
この視点から見た時、デザイン行為は「創意工夫」に集約され、デザインの結果は「意味を与える」に集約されます。

この文は一言で言い表せます。
弊社が創業時よりかかげ、大事にしている言葉がです。

デザインは贈り物

・・・たどり着きました。
そう。デザインは贈り物なのです。
デザインに迷ったら、誰を喜ばせたいか、どう喜ばせたいかに立ち返りましょう。基本にして永遠の指針なのです。

(おわり

ここで、デザインが産業上の役割を担ってきたことは重要な指摘です。端的に言って「売れる」「利益が出る」という点こそ、産業におけるデザインの価値を語るには欠かせない視点です。
では、「売れるデザインとは何か」
これは個別の相談の際にお話させてくださいませ。よろしくお願い申し上げます。

デザイン -8- まとめ・前編2024年11月20日 18:23

みなさまこんにちは^^

身近でなじみ深い6つのデザインについて、それぞれ無謀かつ大胆に3つの要素で表しました。
振り返って見ましょう。

・おしゃれ(トレンド)
・着心地
・帰属

・雰囲気
・居ごこち
・使いやすさ

・環境との調和
・使いやすさ
・美しさ・シンボル

・らしさ(アイデンティティ)
・かっこよさ
・機能・性能

・魅力的
・使いやすさ
・ライフスタイル

・わかりやすさ
・共感
・魅力的

それぞれは各記事をご参照いただくとしまして、さらにこれをまとめます。無謀かつ大胆に。

美しさ
・美しさ
・かっこよさ
・雰囲気
・魅力的

機能性
・使いやすさ
・機能・性能
・わかりやすさ
・着心地
・居ごこち

意味
・おしゃれ(トレンド)
・環境との調和
・シンボル
・らしさ
・ライフスタイル
・共感

美しく、機能的で、意味があること。
これらの総合的な「創意工夫」がデザインです。
既知の、当然の結論になりました。でもその当然性が大事なんです。

さて、デザインは「行為」です。
それについては次回に。(つづく

デザイン -7- グラフィック2024年11月18日 10:45

みなさまこんにちは^^

身近でなじみ深い6つのデザインの最後、グラフィックデザインについてです。

自己紹介で「デザインをしています」と申しますと半数以上の方がウェブかチラシなどの媒体系のデザインをイメージされるようです。もっとも身近なデザイン領域なのでしょう。
媒体にはポスターやデジタルサイネージもありますし、商品パッケージや取説などもあって広い範囲にわたりますが、これらはひとまとめにしてグラフィックデザインと呼ばれています。

さて、領域の広いグラフィックデザインもこれまでと同じようにポイントを3つに整理しました。

・わかりやすさ
・共感
・魅力的

わかりやすさ
グラフィックデザインは、媒体の主目的の情報伝達を確実に行う必要があります。伝えたい相手に伝わるような工夫がデザインの肝要です。初見で届く文字数と伝えたい文字数のギャップをどううめるのか、腕の見せ所です。

共感
伝わった情報が感情に響くことを共感と言います。この感情は、「激情」のような強いものから、「ちょっとした気分」といった軽いものまで幅があります。強度は別にしても「心」に届かせることが、行動を起こすはじめの一歩です。

魅力的
情報が伝わって共感したら、あとは魅力的かどうかです。
街を歩いている時にみかけたコーヒーショップの例でお話しますと、、
→看板をみつけて(わかりやすさ)
→ちょっと休みたくなったし(共感)
→イラストが美味しそうだったので(魅力的)
→お店にはいった。
この流れの最後、魅力的でなかった場合は別のお店を探す(あっちのソフトクリーム屋さんの方が良さそう、など)ということもありますね。
お店の場合は店舗の佇まいもふくめた総合的なものですが、グラフィックデザインの力は大きいです。

以上、身近でなじみ深い6つのデザインについてでした。
次回はまとめです。

やる気は「押しがけ」一択2024年11月15日 18:13

みなさまこんにちは^^

今日の雑談の中でモチベーションの話が出たんですね。やらなくてはならないのにやる気が出ない時どうするか、という。
私は「心のスイッチを切って、(立ち机なので)机の前に立ち、とりあえず手を付ける」ことで作業に入ります。みなさんも概ね作業を始めるルーティンをお持ちでした。

ちょっと前に「やる気スイッチ」というワードが流行りましたけれど、これをすればやる気が出る、というものは発見されてないそうです。一つはっきりしているのは「作業興奮」という仕組み。作業をすることで身体的な刺激がうまれ、その刺激が脳の興奮を促すという。私のルーティンはまさにこの「作業興奮」を利用したものでした。

ところでみなさんはバイクの「押しがけ」ってご存知ですか?
バイクのエンジンをかけるにはセルモーターを回す、またはキック(足で蹴ってエンジンを回転させる装置)するんでずけれど、それで上手くかからない時は、ギアを入れてクラッチを握ったまま(エンジンとタイヤは繋がっていない状態で)バイクを押して動かし、勢いがついたところでクラッチを放す(エンジンとタイヤが繋がる)と、車体の勢いで強制的にエンジンを回し、結果的に燃焼が継続する(=エンジンがかかる)という。
これって作業興奮と同じですよね。

やる気を出すには「押しがけ」。おすすめです。

デザイン -6- プロダクト2024年11月13日 18:27

みなさまこんにちは^^

身近でなじみ深い6つのデザインのその5、プロダクトデザインについてです。

プロダクトデザインというと、今では「ウェブサービス」をイメージする方もいらっしゃるはず。これはプロダクトが「製品」という意味だからなので間違いはありません。
しかしここでは昔ながらの、工業デザインや商業デザインと呼ばれる、実体物としての製品のデザインをプロダクトデザインとします。
一般消費者目線ですと、市場で買えるモノのデザイン、です。

さて、これまでと同じようにポイントを3つに整理しました。

・魅力的
・使いやすさ
・ライフスタイル

魅力的
モノとして魅力的かどうか。この魅力は「市場で買われる」という行為の中で発揮されるものです。
したがって、好きなキャラが描かれているとか、金で出来ているとか、破格とか、モノ自体のデザイン(意匠)とは別の要素が沢山あります。これらがプロダクトデザイン独特のはなやぎ、もしくは混とんを作っています。

使いやすさ
雑貨でも家電でも、機能と性能が「使える」と思ってもらえるレベルに無ければあっという間に排除されてしまいます。開発においてはここがとても重要な点です。

ライフスタイル
魅力的で使いやすいものであっても、自分のライフスタイルに合っていないと手が出しにくいものです。この点ではライフスタイルに合うかどうかが重要です。
それとは逆に、ライフスタイルを変化させるプロダクトがあります。ビデオやスマートフォンは分かりやすいと思いますけれど、これは発明品ですね。発明品はライフスタイルの提案(そのプロダクトを使うとどんな生活になるか)を含んでいないと受け入れられません。ですのでデザインがとても大事なのです。

(つづく
dmc.
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