何の役に立つか判らない事をする2009年11月24日 23:59

この世の中には数百年かかる仕事に情熱を打ち込んでいる方が沢山いらっしゃいます。
教会建築、森林育成もそうですし、基礎科学の研究もそうでしょう。何より人間が育つのは百年単位の時間が必要だと言います。何世代にもわたる継承があって初めて為しえることがあると言うことだと思います。

以前、素因数分解について書かせて頂きましたが、これは暗号技術と深い関わりがあり現在の社会では絶対必要な学問です。
とはいえこれを研究してきた数学者は「暗号技術に応用できる」と初めから考えていた訳ではないでしょう。

学問の歴史のひとつは古代ギリシャに遡るのだと思いますが、そこでは科学と哲学と数学が一体だったといいます。素因数分解の歴史も沢山の傍流とともに数百年の厚みがあるそうです。

これは想像でしかないのですが、世の真理に迫る探求心に魅せられた人が、自身の胸中の「血の騒ぎ」に従った事が全ての始まりだったのかもしれません。

ところで、「血の騒ぎを聴け」というエッセー集がありますが、私はこのタイトルに込められたものに鼓舞されています。


宮本輝著「血の騒ぎを聴け」
http://www.shinchosha.co.jp/book/130714/

過去記事:整える
http://dmc.asablo.jp/blog/2009/06/08/

過去記事:50GeVシンクロトロン
http://dmc.asablo.jp/blog/2009/08/03/
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