ダメマシンクリニック01 【駐車場精算機:ミスリード過多】2015年11月16日 09:10

ダメマシンクリニック、最初の症例はこちらです。
某市立大病院の駐車場精算機です。

ダメマシン01【駐車場精算機

01 駐車精算機 01
駐車券を挿入した後の状態です。(駐車券挿入口が点滅しています。
ここで「お札のいれ口がわからない」利用者が多数発生しているようです。

01 駐車精算機 02
詳しく見て見ましょう。
テプラは5箇所に貼られています。
1〜3:駐車券投入口について
4〜5:お札について

テプラの貼られ方から、「駐車券の入れ口がわからない」「お札の入れ口がわからない」が読み取れます。特に黄色で大きく「1000」とありますから、お札のいれ口を迷う方が多いのでしょう。駐車券を迷う方は少ないようでしたので、1〜3のテプラは、もしかしたら「お札の入れ口ではない」という意図も含んでいるかもしれません。

01 駐車精算機 03
全体を俯瞰しますと、「1000円札を駐車券挿入口にいれる」という誘導を感じます。
ここが迷う元凶のようです。

01 駐車精算機 04

ここでテプラの効果を見て見ましょう。
「お札の入れ口が下にある」を強く示したいことから、黄色で大きく強調されています。しかしそのことが返ってミスリードを補強してしまっています。

なぜ、よかれと思って貼ったテプラが、返って混乱させてしまうのでしょうか。

01 駐車精算機 05
もともとの表示「▽」の位置から、恐らくは上のような表示であったと思います。
テプラを貼った方は、この表示が伝わっていないと感じ、それを強調するため、黄色く大きくしたと拝せます。
しかし、もともとの位置が悪かったため、強調することが返って混乱を招いてしまいました。

01 駐車精算機 03
また、それ以上に「駐車券挿入口の点滅」が強力です。点滅が強く目を引くため、その周囲の表示が、そのことと結びついてしまうのですね。

もともとのミスリードが二つ(点滅と表示位置)に、テプラによる補強が、ミスリードをより強固なものにしていました。


【診断】

リードにミスリードが重なっています。「ミスリード過多」と診断します。


【処方】

では、処方です。
駐車券とお札のゾーンを分けることを計画します。

処方01:応急処置
応急処置(テプラ)では、以下の様にするのがよいでしょう。
元々ある駐車券挿入口付近のお札の表記を消す。
お札の挿入口付近に「¥1000」を貼付する。

01 駐車精算機 06

01 駐車精算機 07
今ある表示を消すのは勇気がいる行為ですが、思い切って消してしまいましょう。
「¥」マークは外国人も多い病院を考慮して表示した方がよいでしょう。
「投入口と表示の位置関係」を整えるとよりわかりやすいので、表示位置を「投入口の下」に統一させます。

処方02:治療
根本的な改善には(メーカーによる)以下の処置が必要になります。
お札の入れ口にも(今回は写真に写っていませんが、コインの投入口も誘導灯を設け段階的に誘導する。
「投入口と表示の位置関係」を整える

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ところで、なぜお札の表示位置が、まぎらわしい位置になっているのでしょうか。

よくよく観察してみますと駐車券を挿入する装置、お札を挿入する装置はともに、別の機械を組みこんでいるのが見てとれます。(もしかしたら別の会社から購入しているかもしれません。)

処方したような表示位置を成立させるためには、精算機本体の箱とは別に、組み込む装置それぞれに表示をつけなければなりません。それだけでコストが追加されます。もし購入しているとしたら、特注扱いになり、さらにそのコストは上がるでしょう。そのために本体のみの表示で済ませたい、、そのような背景が推察出来ますね。(もちろん、本体の表示だけでもまだまだ工夫の余地は考えられると思いますが・・)

ダメを憎んでマシンを憎まず。
ダメマシンクリニックからは以上です!

No.01
対象:駐車場精算機
設置場所:市立大病院ロビー
報告者:ディーエムシー
報告日:2015.11.4
症例:ミスリード過多
ダメ度:××(テプラでは処置し切れない)
応急処置:テプラ位置修正
治療方針:外科「誘導灯追加」
     内科「誘導計画再考」
     皮膚科「表示計画再考」


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