ダメマシンクリニック81【ミュンヘンの公衆トイレ:軽度の表示失調】2018年05月09日 12:34

みなさまこんにちは!

ゴールデンウイークが開けたら途端に雨と寒さ、みなさま体調にお気をつけくださいね。

さて、今週のダメマシンクリニックはこちら、3月に訪れたミュンヘンの観光施設で入ったトイレです。ミュンヘンではダメ出しをほとんど見かけませんでしたので、貴重(?)な例です。

ダメマシンクリニック81【ミュンヘンの公衆トイレ】

81 ミュンヘンの公衆トイレ01
ダメ出しされているとは申しましても、ごく控え目にされています。

近づいて見てみましょう。

81 ミュンヘンの公衆トイレ02
スイッチの方に、
1:表示(ドイツ語で「ライト」)
2:表示(管理番号と思われる)

81 ミュンヘンの公衆トイレ03
ドアには、
3:誘導(ドイツ語と英語で「引く」)

「ライト」(1)とダメ出ししていることからは、このスイッチの形や位置などの「あり方」が、このあたりの一般的な利用者にとっては「わかりにくい」と言えるかもしれません。
しかし、これはスイッチとしては普通ですし表記もごく小さいことから、わかりにくさへの対処(=ダメ出し)というより、「表記がある方が正常」という感覚からの処置かもしれません。
さらに、管理番号と思われる表記(2)を付加する際に、ついでのこととしてほどこされた「親切な表記」のように見ることもできます。
・・・本当のところはいかがでしょうか?ミュンヘンではほとんど見ることのなかったダメ出しですので、こと細かに思い巡らせてみました。

「引く」(3)の表記が正面に立った時にみえる位置にされています。日本的な感覚では取っ手の上に設置されそうですが、この位置の方がドアの前に立った人の姿勢が綺麗ですね。


【診断】

スイッチの表記の理由はともあれ、ダメ出しした方の「あった方か良い」との判断に沿いまして軽度の表示失調と診断します。
また、ドアの表記はドアノブの形態のアフォーダンス(シグニフィア:回す)と、操作(引く)が干渉している場合は干渉障害を疑いますが、今回は診断を保留しておきます。


【処方】

では、処方です。ライトの処置は現在のもので充分ですので、追加の処方はいたしません。貼り替えの際は英語表記に変更して、水平を意識するとよいでしょう。



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ミュンヘンでは5泊しましたが、見かけたダメ出しはこのトイレとホテルのエアコンくらいでした。町中のシステムはアナウンスを含めて少なめでしたが、私はこれを「情報がなく不親切」と感じるより「静かで見晴らしが良い」と感じました。実際にシステムが合理的で理解しやすいため、それほど不便なこともありませんでした。
良く言われることではありますが、町の中にいて「受動的でいられること」と「能動的に動く必要があること」の差なのかもしれません。
個別に様々な工夫があることで、返って複雑化してしまっている私たちの街並みと、ついつい比較してしまう滞在となりました。



ダメを憎んでマシンを憎まず。
ダメマシンクリニックからは以上です!

No.81
対象:ミュンヘンのトイレ
設置場所:ドイツ ミュンヘン ニンフェンブルク城
報告者:有限会社ディーエムシー
報告日:2018.5.9
症例:軽度の表示失調
ダメ度:-(応急処置で対応可)
応急処置:追加表示


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