最近の一冊2024年12月20日 10:33

みなさまこんにちは^^
今年も大詰め、毎年イルミネーションや流れてくるクリスマスソングに年末を気づかされております。

今年は読書と同じくらいオーディブルで聴書(というのでしょうか)しました。調べたり考えたりする本と好きな作家さんの小説は読書、知らない作家さんの小説は聴書という棲み分けが今年は鮮明でした。
お気に入りで何度も読んだ一冊が聴書だと入ってこなかったり、聴書で感じたリズムが読書だと全然違ったりするのも面白いです。これは使ってる感覚器官が違うからだと思いますが、そのうち私の脳内で統合されて行くだろう、とも予想しますので、その変化も楽しみにしましょう。

さて、今年の読んだり聴いたりした中で印象に残った一冊をご紹介します。

ダグラス・ラシュコフ著「デジタル生存競争

原題は「Survival of the richest」です。「the richest」はイーロン・マスクやジェフ・ベゾスを筆頭にしたアメリカのテック産業の勝者たちのことで、彼らが繰り広げる生存競争を、彼らの思考様式(マインド・セット)を切り口に語り、批判しています。
これは"あえて"だとあとで思ったのですが、ちょっと歯切れが悪いのでちょっと解りにくいところがあります。分かりやすく「誰か(もしくは何か)を悪ものにしてそれをなくせば速やかにこの世は救われる」という語り口は、彼らの「マインドセット」そのものだからだ、と思いました。

昨年(2023年)に話題になった本なので読まれた方もいらっしゃるでしょう。私は今年の後半に積読(つんどく)の中から引っ張り出して読みました。日米で大きな選挙があり、兵庫県知事選では"SNSがマスメディアをひっくりかえす"結果が出た頃で、内容とリンクしてとても興味深く読みました。

SNSはそのアルゴリズムによって、私たちを「労働力と見なして富を収集させている」という視点は正鵠を射ていると思わせる説得力がありました。そして過度のフィードバックがハウリングを起こしているという比喩も。

SNSは利用者集団に、恣意的にハウリングを起こすことができ、SNSの主に都合の良い状況(混とんとし解決策が必要になりそれがSNSで見つかること)を作るという。
「解決策」は最初は売りたい商品でした。しかしその仕組みは「解決策」から「救世主」に、簡単に置き換えることが出来ます。(陰謀論じみてきますね)

私たちは「物理世界」と「意味世界」を同時に生きています。「意味世界」は人間が獲得した能力と仮定すると、SNSの起こすハウリングを御する思想はどのように立ち現れてくるのか、、そんなことを思いました。

UIデザインは物理世界と意味世界を繋ぐフロントエンドです。しかもデザインは「意図」そのものです。日々のワークの中でここまで考えるお題はないかもしれませんが、デザイナー自身は自覚的でありたい、と思います。

ここでお知らせです。
弊社は12月29日から1月5日までお休みを頂きます。
今年のブログは今日までとさせて頂き、1月6日に再開の予定です。
みなさま、本年も大変にありがとうございました。
素晴らしい新年をお迎えください。

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