腹腔鏡手術うけてきました 幻想メモ2024年07月29日 11:42

みなさまこんにちは^^

私事でございますが、先日、左鼠蹊ヘルニアの腹腔鏡手術をうけて参りました。
退院したらバリバリ仕事するぞ!って張り切ってたんですが、全然動けなくなりまして一週間分のスケジュールを飛ばしてしまいました。急な日程変更を快く承諾して下さった皆さまには感謝しかありません。ありがとうございました。

いやほんと、予後が良いと評判の術式でこんなに痛みに嘖まれるとは知りませんでした。手術もその後の経過も順調なのですが、残った痛みが強く、脂汗が出て、吐き気を催し、幻想を見ました。陣痛の次に痛いという尿路結石のときとは全く異質の、めくるめく痛みの渦でした。(ちなみに痛みの強さは尿路結石の方が強いと思います。)

痛みによる幻想
その「幻想」というのがちょっと面白かった(?)のでご紹介します。

あばらより下の下半身全体がずきずきと痛み、その波が全身を覆いはじめ、痛みの海に浮かんでいくような沈んでいくような感覚に包まれ、はっとして目を開けると天井が見える。天井は紛れもなく病室のそれで、スプリンクラーやシミの位置も間違いない。
痛みに引き戻されて目を閉じると、まるでVRゴーグルで見渡したようなポリゴンで再構成された天井が見え、空間はねっとりとした質感のゆっくりと色相が変化する薄緑色のエーテルに満たされている。
視界の左側には、四角や三角のかけらの集合体で出来た巨大なエアコンの室内機が浮いていて、私の痛みのうずきにあわせて集合離散している。
痛みの震源地、私の腹部を見ると、同じようにかけらの集合体で出来た便座が刺さっていて、激しく波打っている。首を振って隣を見ようとすると、エーテル内のポリゴンが急いで追従し、空間を構成するのが分かる。
目を開けると実際の天井が見え、閉じるとVRの天井が見える。半目を開けるとそれらが重なって見えた。これはちょっと面白かった。痛みの中に愉快な気分が一瞬だけ現れたけれど、それは本当に一瞬で、便座の鼓動が激しくなり、かけらの統率は失われつつあるようだった・・・。

半覚醒の明晰夢のような幻想でした。
鎮痛剤を打たれていたのでそのせいかもですが、翌日の夜まではこの「目をつむるとVR空間が見える」感覚は残っていまして、別な時は空間自体がぐにゃぐにゃに波打ったり、回転する超絶細かいグラフィックパターンが見えたりしました。

「痛み」って青春とか人生とか、文学のテーマでもずっとありますよね。知らないだけかもですけれど、デザインで見たことなかったも。ちょっと新感覚の体験でございました。
dmc.
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
「デザインの言葉」 by Fumiaki Kono is licensed under a Creative Commons 表示 - 継承 3.0 非移植 License.