ポリ袋のデザイン2011年11月29日 23:59

先日購入したポリ袋、普段使っているものが無くなったので購入したポリ袋をご紹介します。

ポリ袋
「破れにくい」という謳い文句に惹かれて購入しました。恐らく、丈夫さのための2層なのだと思いますが、その2層の質感が異なることがある効果を発揮しています。

ポリ袋
写真では判りにくいのですが、袋の表側が艶、中側が梨子地になっています。
艶の表側は静電気で貼付きやすく、中側が梨子地のため貼付きません。そのため、写真のように袋の開口部が自然と開くんですね。これがとても使いやすいのです。
ポリ袋を取り出して開口部を探すのって意外と難儀だったのだな、と改めて思いました。

ただ、その逆の効果で袋同士が離れにくいため、一度に複数枚出してしまう事もしばしば。それを意図したものではないと思いますので仕方ないのかもしれませんが、惜しい!ですね。
その点を意識してパッケージを工夫したらもっと使いやすくなりそうです。

オーソドキシーの財布 同じことの凄さ2011年10月28日 23:59

長く使ってきた財布があるのですが、今年はそれを一新しました。
一新と言いましても別の製品に乗り換えるのではなく、同じものを新たに作りました。オーソドキシー定番、長財布と小銭入れです。

オーソドキシーの財布
お手紙が添えられていました。もう30周年なんですねぇ。

オーソドキシーの財布

オーソドキシーの財布
新旧比較です。
色は同じワイン、革は前回はルバル、今回はタシです。
ルバルは柔らかく軽いというのが特徴ですが、10年の使用に耐えました。

10年使ってまた同じものにしたいと思うことに、自分自身驚いていますけれど、そう思えるモノとの出合いは幸せな事です。

また、安ければいいと言うものもありますが、身の回りのものは少し時間を掛けて丁寧に選別する事も、結局は「経済的」なんだと改めて思いました。
「いいものを長く使う」
この視点、最近の消費志向を俯瞰しましても再び評価される背景が整ってきたように思います。

素材の意味2011年02月08日 23:59

ギブソンが考案した、UIデザインでお馴染の「アフォーダンス」という概念は、例えば椅子は座ることをアフォードしている、というように「形が行為を促す」という理解で広く知られるようになりました。

アフォーダンスは形状を中心に語られますが、テクスチャ(肌理)とレイアウトの認識の中に位置づけられていますので、それらによって意味が変るものでもあります。
極端な例ですが、真っ赤に燃えた椅子は座ることをアフォードしません。

あるもののアフォーダンスを考える時、テクスチャは主に素材に由来するため固定的(要素還元主義的)な意味あいをまとっています。
金属は冷たい、重い、硬い、などの素材の特性は、そのまま金属質のテクスチャに感じる事です。

しかし最近、新素材や技術革新により、テクスチャーが新しいアフォーダンス、新しい意味を獲得しているのでは、、と思うようになりました。

20年ほど前はモニターに動く映像を2〜3歳児に見せた時、じっと見入ることはあっても手を出すことはありませんでした。言葉でのコミュニケーションが未発達だと、GUIは上手く行かない、というような説明をする人もいました。
しかし、今では手を出して「操作」を試みる子供たちは少なくありません。YouTubeでも幼児が使いこなす動画が沢山ありますね。
この変化の要因はさておき、アフォーダンスの観点で言えば、モニターが操作をアフォードする様になったと言えます。
モニターの形状も表示される映像もそれほど変らないのに、映像という「テクスチャ」の意味が変ったと言えるかも知れません。

また、アルミは金属でありながら「軽い」素材でしたが、最近はシーンによっては「重い」素材になってきました。自動車のボディなどがカーボン等の新素材に取って替られたからですね。

ガラス、木材、繊維等々、伝統的な素材にも、旧来のイメージや使用法にこだわらない可能性がひらかれて行くでしょう。

「ほんものそっくり」2010年08月31日 17:57

日本の誇る技術のコンセプトに「ほんものそっくり」があります。
例えば、木材そっくりの建材パネル、瓦そっくりの風合いのチタン、白色電球そっくりの色形のLEDライト、ビールそっくりの味わいの清涼飲料、、。

日本発のものではありませんが、ほんものそっくりの「プリザーブドフラワー」という特殊なドライフラワーがあります。生花のような自然な風合いが長く楽しめるので、欧州や日本でとても人気があります。

以前、上海でこのプリザーブドフラワーについてリサーチする機会がありました。そこで得られた反応は日本とは異なるものでした。
「生花でないのなら人工物らしい色の方が良い」というのです。生花が安いと言う事もあるかもしれませんが、人工物への価値を明確に感じる視点だと思いました。

振返って、日本のほんものそっくりにも2種類ある様に思います。
ある人工骨は外観は本物とは異なりますが、体内での振舞いが「ほんものそっくり」のため、より安全で確実な医療を期待出来ます。
このような「ほんものそっくり」が、もっともっと日本から出て行くことを願っています。

また、指でこするとスクロールするような、タッチデバイスに多く見られる「直感的UI」も「ほんものそっくり」ですね。
この分野でもまだまだ開発の余地があり、可能性は残されていることでしょう。

風化の大谷石2010年06月24日 23:45

大谷石は石垣などでみかける身近な石材です。(詳細はこちら
子供の頃(昭和40年代/1970年代)、ご近所の石垣や石塀はみな大谷石だったかもしれません。

軽量で耐火性に優れ加工しやすいことから多用されたようですが、多孔質のため風化しやすい様です。私たちがよじ登るだけでもポロポロとよくに崩れていました。
風化で黒ずんで角は丸くなり、日陰では苔むした大きな穴にカタツムリがいて、小さい生物たちの住み家としても優しい印象が残っています。
時々崩れて真新しい淡い緑色が表れるのも好きでした。

最近はこの独特の素材感を求めて外壁に用いられているそうですが、風化の味わいを楽しむためには、ぜひとも厚めに使って頂きたいですね。

崩れて表れた大谷石の荒々しい表面。
大谷石 風化

dmc.
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
「デザインの言葉」 by Fumiaki Kono is licensed under a Creative Commons 表示 - 継承 3.0 非移植 License.