デザイン -5- カー ― 2024年11月08日 16:35
みなさまこんにちは^^
身近でなじみ深い6つのデザインのその4、カーデザインについてです。
身近でなじみ深い6つのデザインのその4、カーデザインについてです。
私たち世代のプロダクトデザイナーは少なからずカーデザインを意識していたと思います。成績優秀な人はカーデザインに進むのが王道でした。花形ですね。私はプロダクト志望でしたが車も好きで、卒業制作は地面効果を使ったひとり乗りのヘリコプターで、今で言う空飛ぶ車でした。
さて、これまでと同じようにポイントを3つに整理しました。
・らしさ(アイデンティティ)
・かっこよさ
・機能・性能
・かっこよさ
・機能・性能
らしさ(アイデンティティ)
これは、車自体の「らしさ」です。ポルシェらしさやホンダらしさというものを、デザイナーも意識していますし、ユーザーも気にしています。その意味で大事なデザインのポイントです。
また、乗る人の個性を表してもいます。ファッションにおける「帰属」と通ずるところです。
かっこよさ
カーデザインほど「かっこよさ」を前面に出しているプロダクトはないでしょう。
今は「かっこよさ」は細分化されていて、場合によっては「かわいさ」や「強さ」といった方が良いものもありますが、集約する言葉として「かっこよさ」は相応しいと思います。
機能・性能
速い車、小回りが利く車、沢山乗る車など、その車の性格はそのまま外形に出てきます。その車の機能、性能はそのままデザインの重要なポイントです。実際のところ、種々の構成要素をどうパッケージするかがその車を定義しています。
以上に加えて、ソフトウエアの部分、UI/UXデザインの比重が増していることも見逃せません。私は、現在この点は「らしさ」に含まれると考えています。それは、人が移動の主体者として自動車に乗っている間は変わりません。
近い将来、自動車が「移動するためのもの」ではなく「輸送するためのもの*」になったら変わるでしょう。
(つづく
*)「移動」と「輸送」については人類学者ティム・インゴルドの「徒歩旅行/輸送」の区分けを参照。
デザイン -4- 建築 ― 2024年11月06日 11:26
みなさまこんにちは^^
身近でなじみ深い6つのデザインのその3、建築についてです。
これまでと同じように、建築の一ファンとしてポイントを3つに整理しました。
身近でなじみ深い6つのデザインのその3、建築についてです。
これまでと同じように、建築の一ファンとしてポイントを3つに整理しました。
・環境との調和
・使いやすさ
・美しさ・シンボル
・使いやすさ
・美しさ・シンボル
環境との調和
建築はまず、その場所に適合している必要があります。気候風土、法規制、風土習慣、地域の特性などです。準拠する法規が同じ国内でも、気温差が激しく景観条例などが厳しい都市部の住宅地と、温暖で規制の少ない新規開拓地では、建物に要求される条件が異なって当然です。その条件が建物のデザインに与える影響は少なくありません。
使いやすさ
建物には何かしらの目的があります。長い使用期間に耐える柔軟性を含ませながら、目的に添った使いやすさを持たせられるか。初期のデザインだけでなく、変化して行くことを受け入れられるか。ここもデザインに大きく影響します。
美しさ・シンボル
景観の中で、その建築が美しいと思えること。またはシンボルと思えること。ここは建築ならではのデザインの見どころです。
「環境との調和」とあわせてみますと、「その土地に馴染みながらその土地の特性を象徴するデザイン」「まったく異質の存在感を放つが、町の機能を集約するランドマークとして美しさを際立たせる」というようなことが成立します。建築の面白さですね。
(つづく
デザイン -3- インテリア ― 2024年11月04日 10:05
みなさまこんにちは^^
身近でなじみ深い6つのデザインのその2、インテリアについてです。
身近でなじみ深い6つのデザインのその2、インテリアについてです。
ファッションのデザインに対してと同じところ、一ファンとしてポイントを3つに整理しました。
・雰囲気
・居ごこち
・使いやすさ
・居ごこち
・使いやすさ
雰囲気
これはいわゆるスタイリング、デザインの方向性のことですね。クラシカルなデザイン、モダンな空間、趣味のモノに溢れた部屋、、。その空間がどんな雰囲気を湛えているのかは、デザインの細部ひとつひとつが重なって醸し出されるものです。
居ごこち
その空間で過ごした時に、実際に感じる感情のことです。これは雰囲気とはまた別の体験的な印象のことで、リラックス出来るのか、楽しくなるのか、緊張感を伴うのか。
それらが居心地の良し悪しを左右します。雰囲気は好みではないけれどリラックス出来た、という経験はよくあることです。
使いやすさ
空間がもつ機能性にどれだけ配慮されているか、ということです。例えば使いやすいキッチンは、装備以上にレイアウトが大切ですよね。
使いにくい空間は居心地が良いとは言えず、また雰囲気にも影響していきますが、使いやすさだけを前面化(優先)していきますと、全体としては雰囲気や居心地がつまらなくなるということも起きます。バランス、ここでも大切です。
(つづく
デザイン -2- ファッション ― 2024年11月01日 10:33
みなさまこんにちは^^
身近でなじみ深い6つのデザインのその1、ファッションについてです。
ファッションのデザイン。
これをもらさず語るには、一生を費やすほどの熱量と経験がないと難しいですね。
それでも、ファッションは好きです。いちファッションファンとして、ファッションが何を表しているのか、ユーザーは何を求めているのか、という観点からファッションデザインのポイントを3つに整理しました。
・おしゃれ(トレンド)
・着心地
・帰属
・着心地
・帰属
おしゃれ(トレンド)
これは、いわゆるTPOです。
「今」をどの程度の時間感覚(歴史的な長い時間から、数日単位まで)で捉えるのがいいか、それをどのくらい取り入れるか、外すのか、どんなアイデアがあるのか、、主戦場です。
着心地
これは「服としての性能」です。おしゃれより優先する人もいますし、おしゃれと両立させたい人もいます。
帰属
ファッションで表現されるおしゃれさ、性能へ求めるもの、それらが複合的に表れるのは「私はこういう人です」という帰属です。
制服のようにルール化されたもの、ギャルファッションのように生き様を共有するもの、社会へ溶け込みたいと思うような欲求も、「人となり」を表さずにはいられません。
身近でなじみ深い6つのデザインのひとつめ、ファッションデザインのポイントを3つにまとめました。のこりの5つもやっていきましょう。(つづく
デザイン -1- ― 2024年10月30日 17:13
みなさまこんにちは^^
「デザインとは何か」
これは、真剣に学術書を仕上げて行くような問いにもなりますが、私にとってはもう少し娯楽的な衝動を含んだ問いです。先人たちが様々な言葉を残して*くださってますし、私自身も日常の業務の中で(あ、こういうことかも)と思う瞬間がありまして、それを再認識する作業は面白いことなのです。
(*それらを書いてみよう、というのもこのブログを始めた理由です)
で、この問いの私なりの答えはいくつかありまして、その中で最もシンプルな言葉が「デザインは贈り物」です。
これを、何故そう言えるのかを、この後いくつかの記事を使ってひも解いて行こうと思います。どうぞ最後までお付き合いください。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
唐突な質問ですが「デザイン」と言われて何を思い浮かべますか?
・・という質問を、10-20代のデザインのプロではない方たち10人程に投げ掛けまして、類似をまとめると以下の6つが並びました。
・ファッションデザイン
・インテリアデザイン
・建築デザイン
・カーデザイン
・プロダクトデザイン
・グラフィックデザイン
世の中にはUIとかアプリとかサービスとかシステムとか無限にありますが、「デザイン」というワードでイメージするのは、実体のある長く身近にあるものたちなんですね。
これらを基に話を進めましょう。(つづく
「好き」のかたち ― 2024年10月21日 16:58
みなさまこんにちは^^
「好き」を生活の中に取り入れることについてお話しています。
長くデザイナーをしていますので、時には「デザイナーになりたい」という方のお話を伺うことがあります。「どんなデザインがお好きですか?」と問うた時のお話を通して、「デザインが好き」のかたちが以下の3つに別れることに気付きました。
1:デザインされたものが好き・観賞したり使ったりするのが好き
2:デザインをするのが好き・工夫して新しい何かを作ったり飾ったりするのが好き
3:デザイナーに憧れる・デザイン出来るということに憧憬を持つ
3つの「好き」のかたちには結構差があります。周囲のデザイナーを思い浮かべて見ると、1、2、3のどれが最初にあった(と思われる方)かは、キャラクターに反映されているように感じます。
ちなみに私自身は2でして、とにかく創意工夫が昔から今でもずっと大好きです。その次に3、最後に1が芽生えました。
順番はどうあれ、デザイナーになるのでしたら「デザインをするのが好き」でないとちょっと(いやかなり)大変です。
でも、デザイナーにならなくても「デザインが好き」なら生活に好きなデザインを満たすことは出来ます。デザイナーに憧れるなら推しを見つけて作品を追いかける楽しみもあるでしょう。
「仕事としてデザインを行うこと」は、「デザインが好き」のあり方の一つでしかないのです。
この見立てはデザイン以外でも成り立ちます。
例えばスポーツ。
・オーディエンス
・プレイヤー
・ファン
観るのが好き、やるのが好き、スター選手に憧れる。
ここでもみっつに分けられそうです。
私は野球やサッカーなどの球技は全くやりませんが、観戦は大好きです。一方でウォーキングやハイキングをよくしますが、どなたかがやっているところを観るという発想はありませんでした。球技は観るのが好き、ウォーキングはやるのが好き、ということですね。
自分の「好き」がどのパターンに当てはまるかを知っておくのはとても大切です。
あなたの「好き」がプレイヤーとしての「好き」なら、それが仕事に向いているかどうかはっきりと知ることが出来ますよね。
思考は体技 ― 2024年10月11日 10:27
みなさまこんにちは^^
デザインでよく行われるRPラピッドプロトタイピングは、「手や体全体を使って考える」という感覚があります。粗雑ではあっても物理空間に実際に存在することで、五感それぞれに刺激がありますし、存在感を感じたり使用感をイメージすることができます。ここで感じたことをフィードバックして前に進めて行くことに課題も面白さもあります。
学生の頃、スケッチが抜群に上手い先生は「手で考える」と仰っていました。手の動かせる範囲を広く、自由に意図通りの線が引けないと、アイデアが縮こまるぞ、とも。人が「手の軌跡に意味を発見する」行為は、乳幼児から観察*されていますけれど、自分の行為の結果を、行為の意図から切り離して感じ取る力があります。
脳内で客観的に考えるのは難しくても、一度アウトプットしてしまうことで客観視出来る。人ってなかなか凄いです。
*)めちゃくちゃに描いた線に、ママの顔や犬の姿を見るようなこと。
脳だけでなく、筋肉と五感をフルに使うということは、身体のコンディションが思考に影響するということです。実例を二つご紹介します。
1999年のシカゴ、ネーパーヴィル・セントラル高校では、授業前に運動を取り入れたところ、1年間で全体の成績が17%向上しました。これは教育界にセンセーショナルを興したそうです。(日本の例もありますので興味があったら探して見てください。)
この教育界のムーブメントを追研究したのが2013年のスウェーデン、カロリンスカ研究所で、毎日運動すると4分で集中力が向上、20分で読解力が向上と報告しました。
体育の後の授業は眠くてぼーっとしてたな、、とう私の記憶とは大分異なる結果です(笑
しかし確かに、歩くと考えが動く感覚があります。血の巡りが良くなってくると酸素が行き渡って視界も考えも広がります。コンディションを整えるためのもの運動は適量がよい、ということですね。(詳細は検索して見てください)
思考は体技です。アイデアに行き詰まったら歩いたり縄跳びしたりしてみてください。
UIは「意味世界」と「物理世界」のインターフェイスである ― 2024年09月20日 18:06
みなさまこんにちは^^
UIが「人は交換したい生き物」という特性があるから成立する、というお話をしています。
「交換」に着目していますが、交換と同時に大切なのが「共有」です。言語が情報交換であると同時に、情報の共有であることは理解しやすいです。
小さな子供がぬいぐるみを指して「この子は赤ちゃんね」と一言いうだけで、その場の集団はそのシチュエーションを共有し、一つの世界をつくって行きます。これって凄いことなんですよね。
カラスは知能の高い生物として知られていて、単独では8歳程度の子供より頭が良いそうですが、2人で椅子を動かすような共同作業が出来ません。また、集団で狩りをする動物は共同作業をしますが、特定の学習期間に獲得しないと出来ないまま一生を過ごすそうです。ましてや、おままごとのようなごっこ遊びは出来ません。(動物は出来なくて人間だけが出来る、というものは本当はまだ観察されていないだけ、ということも多いので、今後変わる可能性がありますが)
ごっこ遊びに見られる「イメージの共有」が、人を人足らしめたと考えるのが現在の主流です。イメージは、目的、役割だけに留まらず、世界観、価値観、思想、倫理、宗教に及びます。これを仮に「意味世界」とまとめますと、人はまさにこの「意味世界を交換、共有したい生き物だ」といえるでしょう。
さて、UIは操作性に関わるところが主ですけれど、物理世界の理屈だけでは説明が出来ないことがあります。
例えば、ちょっと昔の話ですがウォークマンとiPodを比較しましょう。
ウォークマンはボタンが複数ありました。その方が使いやすく、理にかなっていたのです。そしてボタンは多い方が「高機能で値段が高い」ものでした。
一方iPodは特徴的なホイールUIだけで全ての操作を行いました。物理的には非効率な構造でしたが、メニュー構造を理解しやすく「スマート」に見えました。これは歓迎され、その後のUIに多大な影響を与えます。
UIデザインの現場において、iPodのスマートさがウォークマンを古くさく見えるものにした、という事実はちょっとした衝撃でした。iPodの意味世界がウォークマンの意味世界より「素晴らしいもの」として歓迎されたからです。これは思想戦だったのだ、とあらためて思い出されます。
「UIは『意味世界』と『物理世界』のインターフェイスである」
このことを意識する機会は少ないかもしれませんが、絶対に忘れてはならない視点です。
うーん、やっぱり倫理にまで行きますね、今後は。
「平成みたい」と令和 ― 2024年06月12日 18:21
ジェネレーションギャップにお悩みの皆さまこんにちは^^
先日、「ちょっと古いデジカメがエモい」ということでノキアで写真を撮ったりしました。これをブログに書いた後にコメントを下さる方がいて、(ほぉ、これをこんなふうに思うのか)という発見がありました。こういう実験はいつも面白いです。
貰ったコメントの中でひとつ、私の三女(1999年生)のものを紹介します。
「でも正直、ぱぱとままから送られてくる○○(犬)の画質、いつもちょっと平成みたいだなと思っていた」
これはノキアの写真がいつもの私たちの写真と同じ感じがする、という文脈です。私たちは普段エクスペリアのSO-54C(2022年発売)を使っています。
えー、令和の機材使っても平成って言われちゃうんだ、、と思いました(苦笑
その後、よくよく聞いてみると、だいたい以下のような事だと分かりました。
・エクスペリアの弱点である暗所での写真(室内の料理、夜、黒い犬など)にそれを感じる。
・エクスペリアでなくても暗くて補正してない感じが平成っぽく感じる。
・最近のiPhoneやGoogle Pixelのような、AIで補正以上の生成を行っているコンピュテーショナルフォトグラフィの、明るくて綺麗な画像が普通と思っている。
・ちなみに、もっとあからさまに古いのが昭和。
これは「AI生成を含む写真を標準と感じる」ということですよね。これが「令和っぽさ」なのでしょう。
これは、、大袈裟に言うと、パラダイムシフトが起きているのかもしれません。今後に注目です。
自尊感情と自己評価 ― 2024年06月03日 10:22
デザインのダメ出し、するのもされるのも苦手という皆さまこんにちは^^
先日、人事関係の方の話として「叱らない上司」と「叱られるのも学びがないのも嫌という部下」の問題を聞きました。
「叱らない」は「叱れない」も含みますが、パワハラとコンプラと戦力喪失を意識しているのは間違いないでしょう。
一方で「学びがないのが嫌」というのも、分からなくはないですね。成長実感を求めているのは真っ当な態度だと思います。
でも、上司からすると、「叱っても叱らなくてもやめる」という「詰んだ」状態だと。
なので、部隊を動かす上司とコーチを別の人が担当する編成も増えているのだとか。
この話を聞いて思い出したのが、修業時代の上司でした。
今の基準で見たらブラックもブラック、パワハラと人格破壊の刃がフルタイムで突きつけられていました。実際多くの人が辞めて行きましたし、上司自身も去って行きました。
そのような中で、私だけは平気で耐えられた、とは言いませんけれど、何とかしのげたのは「自尊感情」と「自己評価」をたてわける考え方が身に付いていたからです。
たとえばデザインスケッチの出来が良くない時に怒鳴られたり、そのスケッチを破られたり、「だいたいお前は、、」と人格攻撃される訳ですけど、そのことを「デザインへの評価」は受け取って、人格攻撃はできるだけ受け取らないようにしました。(実際は、攻撃が効くこと多数なのですが)
最も怖い反応は「無視」です。デザインした商品が売れない、というのはまさにこれで、悪評が返ってくる方がはるかにいいのです。そのことを前提にすると、私のデザインスケッチの出来の悪さは、改善点がある、と捉えられなくもない、です。
仕事の出来へのコメントと人格攻撃を分けることが大切な事です。
ざっくりと言い換えると「メッセージと感情をわける」ことですね。
これはまあまあしんどい作業ですが、気をつければ出来るようになるものの類いでもあるようです。
感じ良くダメ出しをする、なんて出来るでしょうか。恐らく、出して側だけの努力では難しいかもしれません。
「学びが足りない」と感じてらっしゃるかたはひとつ、「自尊感情」と「自己評価」をたてわけて考えて見る事をおすすめします。
最近のコメント