UIの未来2010年12月15日 20:20

タイトルが大げさですが、、今私たちを取り巻く機器たちは、確実に知的な方向へ進んでいます。
例えば、レコメンデーション、自動運転、予測変換といったものや、スマート○○といったインフラに関わるものも見聞されるようになりました。

果たして、私たちは道具が身体化するように、知的なシステムや機器を、自然なふるまいの延長として使えるようになるのでしょうか。それはいったいどんなUIなのでしょう。

また、使えるようになったとして、それはより豊かな経験となるのでしょうか。豊かな経験とするには、何に気をつけたら良いのでしょう。

その問いをずっと巡らせていたところ、一冊の本に出会いました。

D・A・ノーマン著「未来のモノのデザイン」

デザインをされる方ならご存知の事と思います。「誰のためのデザイン?」「エモーショナルデザイン」の著者です。
上の問いに答える内容に、思わず胸躍らせました。

第1章の終わりの「我々に必要なのは能力拡大であり、自動化ではない」は切実な響きを持って伝わって来ました。全ての回答がある訳ではありませんが、方向性は明快に示されています。
流石、とうなるとともに、同じ問題意識に立ちながらここまでの明快さを持ちえない自分はまだまだだと思ったり。。
もっと読み込んでから、もういちど書かせて頂く機会があればと思います。
まずはご紹介まで。

カッコイイ金物屋 BOLTS HARDWARE STORE2010年12月16日 23:59

私はいま、京都に来ています。
京都に行ったらぜひと思っていたお店、カッコイイ金物屋さんの「BOLTS HARDWARE STORE」に行ってきました!

BOLTS
住宅街のはずれ、もとはお寿司屋さんだったと言うところをリノベーションしたそうです。窓枠の色遣いがいいですね!

BOLTS
明朝体の「金物」。
ロゴやグラフィック、ポップなどは全てデザインされたそうです。

BOLTS
店内のレイアウトが絶妙。揃えるところとがさっとしているところがちょうどいい雰囲気です。

BOLTS
一つ一つのセレクトにセンスが光ってます。

BOLTS
デッドストックのキーロック。箱のグラフィックも楽しいですね。

BOLTS
店主の朝陽さん。
オーダー家具のデザインも手がけてらっしゃるそう。なるほど、センスがいい訳ですね。
なぜ金物屋さん?という何万回も問われただろう質問に、笑顔で丁寧にお答え頂きました。

BOLTS
お店の裏にもこんなグラフィックが。
こんなカッコイイ金物屋さん見た事ありません。皆さんも是非いらして見て下さい!

朝陽さん、ありがとうございました!

洛中高岡屋 工房拝見2010年12月17日 16:24

先日のインテリアライフスタイル東京で知り合いました、京都の座布団の老舗「洛中高岡屋」さんの工房を見学させて頂きました。

洛中高岡屋
裁断。
職人さんが裁ちばさみで一瞬にして裁断してしまいます。(速過ぎて写真に撮れませんでした)

洛中高岡屋
縫製。
唯一導入された機械がミシンだそうです。

洛中高岡屋
綿入れ。
たっぷりの綿を簡単そうにススっと入れてしまいます。角のすみずみまで綺麗に入っていました。簡単そうでとても難しい作業だそうです。

洛中高岡屋
絎けり。
くけり、と呼ばれる仕上げ工程です。後で綿が詰め替えられるように手縫いで
仕上げます。この仕上げ縫いを「絎ける」というそうです。
中心に糸を通して綿の偏りを防ぐとともに、デザインのアクセントにも。

完全手作り、しかも京都のど真ん中で作られています。凄いですね!
一時期、採算からこの工房を締めかけたそうですが、この手作りだけは残されました。その甲斐あって、今では高岡屋さんの看板商品を支えています。
社長いわくこれこそ「宝物」だと。確かに、掛替えのないものですね!

ご案内して下さったSさんは、話が速くセンスを感じさせる方で、こういう若い方がいらっしゃるのも強みだなぁ、と思いましたです。

Sさん、ありがとうございました!
ぜひ新しいデザインに挑戦して参りましょう!

冬休みのお知らせ2010年12月20日 22:53

淡い夕暮れ
今年は大きな変化があった、来年はもっと大きく変わると、ここかしこで見聞きしています。
私自身、経済環境だけでなく様々なレイヤーで変化の胎動を感じ、また実践出来る事を少しづつ挑戦する年でありました。

デザイン環境においても変化は訪れています。
例えばUIにおいてはiOSのタッチUIがひとつの頂点となり、さまざまな手法が試され始めました。
また、プロダクトには少量生産の波がいよいよ本格化してきています。
メーカーにおいてはこれまでのビジネススキームを越えなければできないチャレンジが必要になっています。

私たちは来年も、今までよりいっそう先鋭化して、皆さまのご期待に沿いますよう心と技を磨いて参ります!

・・さて、弊社は12月27日から1月4日まで冬休みを頂きます。どうぞよろしくお願いいたします。
(といいましても、私はおりますので何かありましたらいつでもご連絡下さいませ)

逸品少量生産 ロングセラー2010年12月21日 23:59

今年は「少量多品種生産」を多く耳にしました。
生産がIT化され、一つからでも複雑な最終製品を作れる技術がどんどん確立されていく流れを今年は強く感じました。

既にその方法で成功を納めている会社にデルコンピューターがありますが、ユーザの要望を受け入れ必要なだけ生産して販売する、というスタイルがどんどん加速しているそうですね。
受注、生産、物流をICTで徹底的に効率化してコストを下げる一方で、オペレーターのニーズを吸い上げるきめ細かさに磨きをかけているとのこと。

またファッションではトレンドを先読みして、作り切り売り切りで大量販売する「ファストファッション」が話題になりました。少量多品種のニーズが最も高い分野でしょうから、ひとつのベンチマークになっているに違いありません。

さて、「少量多品種」は以前から、私の記憶では20数年以上前にも言われていました。人はきっとそれを必要とするのでしょうね。

しかし、こんなモノが欲しい、とどんな物にでもはっきりと具体的に言える人はそれほど多くないとも思います。車にはこだわるけどファッションは気にしない、そういう方に服の好みを聞き出すのは難しいです。
お国柄により市場毎の相違はあると思いますが、その方にとって興味のあるモノ以外は市場トレンドに左右されるでしょう。

逆に、興味のあるものには強く具体的な要望が生まれます。それが市場として小さい場合は、要望に叶うものを見つける事が難しかったのですが、少量多品種生産の技術を介せば状況が変わりそうです。
それは少量多品種と言うより逸品少量と呼んだ方がしっくりくるかもしれません。

デルもファストファッションも少量多品種とはいいながら総量が大きいことが商売なのですが、逸品少量では総量も小さいですね。
ですので、長く売れる事で最終的に総量を稼ぐものにしなくてはならないでしょう。

「ロングテール」と言われるようにネット上の販売の現場では逸品少量が既に起きています。ここで大切なのは「欲しい」を強く言える感性ですよね。
生産の現場が「これ欲しい!」と思いながら作れる状況をいかに作りだせるか、、デザイナーの仕事だと思っています。
dmc.
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