ダメマシンクリニック46【コインパーキングの精算機:軽度な配置失調】2016年09月23日 23:59

みなさまこんばんは!

秋の長雨といいますが、一つ前の晴れの日がいつだったか思い出せないくらい雨が続いております。横浜は谷戸が多いので意外とがけ崩れが頻発します。もちろん横浜だけでなく、これ以上の被害がありませんように。。

さて、今週のダメマシンクリニックはこちら、兵庫のコインパーキングの精算機です。

ダメマシンクリニック46【コインパーキングの精算機】

46 コインパーキングの精算機01
背後の大きな注意書きとあわせて、精算機のパネルが雑然としていますね。

46 コインパーキングの精算機03
バネルを詳しく見て見ましょう。
1:表示(使用可能コイン)
一見、沢山ありそうに見えましたが、よく見ますと操作に関するダメ出しは一ヶ所だけでした。しかも、このダメ出しは出荷時から貼られているようにも見えます。全体の印象ほどダメだしされる状況ではないのかもしれません。
しかし雑然とした印象の操作パネルでは、エラー率が低くても効率は悪くなりがちです。早速診断しましょう。


【診断】

操作不能なほど深刻ではありませんが、表示、情報、操作などが整理されていないことが雑然とした印象となっていますので、「軽度な配置失調」と診断します。


【処方】

では、処方です。操作パネルを整理しましょう。

処方01:応急処置(追加表示)
配置失調の応急処置としては、追加の表示は少ない方が賢明です。また、目立ち具合も他の要素とのバランスをみます。今回は以下のようにするとよいでしょう。
見やすい横並びの配置で、硬貨とメタルを分ける。

46 コインパーキングの精算機04

46 コインパーキングの精算機05
使用可能硬貨の追加表示は現状でも機能していると思いますが、全体をすっきり見せたいので色をなくします。今回は投入口の近くの空間が横長なので横並びにしました。
また「×」をつけた10円はなくします。使用可能な選択肢のみを示す方が理解しやすいです。


処方02:治療
配置失調の治療はメーカーにて行う必要があります。
今回は、現状の要素を配置変更するだけで、どの程度の改善が得られるか見て見ましょう。以下のように再配置します。
・操作、モニター、説明書き、管理関係の領域を分ける。
・操作パネルは時系列に並べる。
・操作バネルと説明書きの対応を揃える。

46 コインパーキングの精算機06

46 コインパーキングの精算機07
操作手順に沿って上から並べています。領収書発行ボタンは精算ボタン、訂正ボタンと一つのモジュールとして捉えていましたが、分離できるなら最下部に配置した方がよいでしょう。
管理情報は優先度を下げ、ロゴと合わせて右下にまとめます。
また、パネルの下に貼られた注意書きは、背後の他の注意書きと合わせ、まとめて掲示する方がよいでしょう。

(ちなみに、兵庫県では別のパーキングの精算機にもダメ出しがありました。詳しくはこちらをどうぞ。)


ダメを憎んでマシンを憎まず。
ダメマシンクリニックからは以上です!

No.46
対象:コインパーキングの精算機
設置場所:兵庫県
報告者:有限会社ディーエムシー
報告日:2016.9.23
症例:軽度な配置失調
ダメ度:×(追加表示で対応可)
応急処置:追加表示
治療方針:外科「再配置」


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個別にデザインを相談したい場合はご連絡下さい。最優先で対処させて頂きます。

今日のダメマシンクリニックはお休みです。2016年09月16日 15:56

みなさま、いつも当ブログをお読み下さりありがとうございます。
今週のダメマシンクリニックはお休みにいたします。
来週をお楽しみに!

ダメマシンクリニック45【私鉄の券売機:表示失調および軽度の配置失調】2016年09月09日 23:45

こんばんは!

このブログのサーバーはクラシックな仕様、はっきりと申し上げますと古めの技術による時代遅れの感が否めませんでした。そこに「Chrome、2017年1月からHTTPSでないページに警告を表示」というニュースが。
「制限されたところでの表現」には面白みもあって続けていましたが、スマホの表示にも未対応(一部を除く)ですし、そろそろ潮時なのかもしれません。。
数ヶ月以内にこちらの更新を停止し、新しいブログに引っ越します。詳細はまた改めてご報告させて頂きますね。

さて、今週のダメマシンクリニックはこちら、大阪の私鉄の券売機です。

ダメマシンクリニック45【私鉄の券売機】

45 私鉄の券売機01
現金とICカードが使える券売機です。

45 私鉄の券売機02
ダメ出しは1ヶ所のようです。
寄ってみましょう。

45 私鉄の券売機03
以下の追加表示が控え目にされていますね。
1:表示(ICカード)
このダメだしから、ICカードの挿入口に戸惑う利用者が少なくない、という状況なのでしょう。

45 私鉄の券売機04
赤いLEDの点滅で、最初に入れる「お金」と「ICカード」の挿入口の注意を引いています。この点滅は気付けば十分に認識できると感じましたが、そもそも目線に入らない方もおられる、ということなのでしょう。

45 私鉄の券売機05
この私鉄ではこの位置にカードの挿入口のある券売機がありました(目視確認)から、このマシンでは埋まっているカードリーダーの痕跡(上の写真の黄枠)によって、「カードの挿入口は?」「ICカードが使えない?」等の疑問が誘発されている方がいてもおかしくないでしょう。
また、現金は上が挿入口(投入口)、下が排出口と分かれていますが、ICカードは入出口が同一です。配置によってこの口が「何かを排出するもの」に見えてもおかしくはありません。
また「ICカードだけ入出口が同一」ということは一度使えば理解できるものでしょうけれど、初見で「何かの入り口」と認識するに、は少し考えを巡らす必要がある配置といえるでしょう。


【診断】

表示(ICカード)が不足していますので「表示失調」と診断します。
また、ICカードリーダーの位置がやや不適切ですので「軽度の配置失調」と併記します。


【処方】

では処方です。
応急処置では表示の不足を補います。
治療では配置を修正し適切な表示を加えます。

処方01:応急処置
応急処置(追加表示)で対処可能です。現在のダメ出しがすでに適切な対処となっています。派手にしてしまいがちな追加表示ですが、控え目で収まり良い印象です。


処方02:治療
メーカーにて、投入口(挿入口)のエリアにICカードリーダーを設置するとよいでしょう。
・ICカードリーダーを紙幣挿入口の横に設置する。
・対応するICカードのサービスマークを表示する。
・ICカード挿入の誘導は「紙幣」と同じ表示方法(位置と様式)にする。

45 私鉄の券売機06

45 私鉄の券売機07
ICカードの操作は最初が「挿入」です。そのタイミングでベストな位置にある方が理解しやすいといえるでしょう。

ただし、以下の点を考慮してあえて現在の位置にしたということも推察できます。
・ICカードの取り忘れが多い。(カードが「排出エリア」にないため

もしそうだとしましたら、ICカードリーダーの位置でどの程度の差が出るのか、ぜひ実数を知りたいですね。



ダメを憎んでマシンを憎まず。
ダメマシンクリニックからは以上です!

No.45
対象:私鉄の券売機
設置場所:京阪京橋駅
報告者:有限会社ディーエムシー
報告日:2016.9.9
症例:表示失調および軽度の配置不全
ダメ度:×(応急処置で対応可)
応急処置:表示修正
治療方針:外科「再構成」



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ダメマシンクリニック44【トイレドアのロック:表示失調および誘導不全の疑い】2016年09月02日 15:30

みなさまこんにちは!

9月になりましたね。年を追う毎に感覚時間が短くなるといいますが、私はなぜかこの夏がとても長く感じられました。秋の始まりから年末年始のにぎわいまで一気に進むのが常ですが、今年はどうなるか、、ちょっと楽しみにしております。

さて、今週のダメマシンクリニックはこちら、横浜のジェラテリア、トイレドアのロックです。

ダメマシンクリニック44【トイレドアのロック】

44 トイレドアのロック01
トイレドアの内側からかけるロックです。ドアは引き戸タイプで、左が施錠(ロック)された状態、右が解錠(オープン)された状態です。

44 トイレドアのロック02
詳しく見てみましょう。
1:表示(施錠)
2:表示(解錠)

鍵をかける/外すだけのシンプルな操作ですが、追加表示が必要と感じて追加されたのでしょう。追加表示をなくして見てみましょう。

44 トイレドアのロック03
いかがでしょう。
(お時間があれば、一度何か別のことをなさった後にご覧になってみてください。)

どちらがロックかを確信を持って感じ取れる方は少ないと思います。
私自身はなんとなくではありますが、右の方が「ロック」に見えます。

一般的にはどちらなのでしょうか。
「トイレの内鍵 引き戸」で検索したところでは似たようなロックは見つけられませんでした。(なお、「赤」表示で施錠を表しているものが多い印象です。また回転式は水平がロックが一般的なようです。)

そこで国際標準(ISOIEC)のシンボルマークを確認してみます。

44 トイレドアのロック04
上二つが錠、下がドアの開閉のシンボルマークです。
左右を対比してみますと、左側の「ロック/クローズ」は、、
 閉じた
 収まった
 整った
  等々の形
右側の「オープン」は、、
 開いた
 広げた
 崩れた
  等々の形をしています。
(IECのドアの開閉は矢印の方向だけで表現していますが、もとのドアの形状には開閉の差があると見立てました。)

わずかな差ではありますが、変化した形状が「閉じた形」の方がロックをイメージさせると考えるのが自然といえます。

44 トイレドアのロック05
ここで見直してみますと、左(ロック)の方が「開いた形」で、右(オープン)の方が「閉じた形」に見えなくもありません。
もともとの形状に「ロック/オープン」のイメージが薄いところ、形状変化の方向が一般的な認知イメージと逆であったことが災いしたといえるでしょう。


【診断】

不特定の利用者向けとしては表示(ロック/オープン)が不足していますので「表示失調」と診断します。
また、形状変化が一般的な認知イメージと逆であることから「誘導不全の疑い」と併記します。


【処方】

では処方です。
表示の不足を補います。

処方01:応急処置
応急処置(追加表示)で十分対処可能です。現在のダメ出しでも問題ありませんが、以下の様にするとよりよいでしょう。
・表示を「LOCK」一つにする。
・透明シールまたはレタリングで文字だけを目立たせる。

44 トイレドアのロック06

44 トイレドアのロック07
英語表記になっているのはこちらのジェラテリアは外国の方も多い場所柄のことと推察します。ですのでそのまま「LOCK」とします。
そして、英語表現としては「UNLOCK」が正しいということ、日本の方にも「LOCK」は読めること、英語が読めない方にはこの場面で重要な「施錠」のみに追加表示があることから「OPEN」は削除します。「この場面」とは、トイレに入ってドアを閉めて、さあ鍵をかけよう、というタイミングですね。このタイミングは「どうすれば鍵がかかるか」が大切です。
また、小さい範囲ですので文字だけが目立つ透明シールまたはレタリングの方が望ましいでしょう。

なお、今回の例は家庭用の設えをお店に使ったものと推察できます。家庭では利用者が固定的ですので慣れにより問題は潜在化しているでしょう。リデザインの機会があれば形状を逆にされることを推奨します。



ダメを憎んでマシンを憎まず。
ダメマシンクリニックからは以上です!

No.44
対象:トイレドアのロック
設置場所:表示失調および誘導不全の疑い
報告者:ディーエムシー
報告日:2016.9.2
症例:表示失調
ダメ度:×(応急処置で対応可)
応急処置:表示修正
治療方針:外科「再構成」



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・明瞭な写真または動画(複数歓迎) 
・設置場所とマシンの目的 
・困っていること・症状(出来るだけ具体的に) 
・テプラなどの対処部分の写真と説明 

※プロの方へ 
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ダメマシンクリニック43【電子マネーチャージャー:誘導不全】2016年08月26日 12:13

みなさまこんにちは!

台風がV字ターンを決めるそうで、、進路が予想される方は十分注意してお過ごしください。

さて、今週のダメマシンクリニックはこちら、M.F.さんからご投稿頂きました、東急東横線武蔵小杉駅の電子マネーのチャージャーです。
Mさん、ありがとうございます!

投稿内容はこちら(写真とも)
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43 電子マネーチャージャー01

43 電子マネーチャージャー02

【電子マネーチャージャー】

東急武蔵小杉駅で遭遇しました。
まず「ICカード入れちゃダメ!」というテプラが迎えてくれます。
そして「カードはすぐに取っちゃダメ」のオンパレード。
どうぞ診察をお願いいたします。

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首都圏にタッチ式の電子マネーが登場したのは2001年のSuicaからで、東急ではPASMOを2007年から順次導入しています。これまでの間に、十分に一般に認知され、またシステムも更新されて洗練してきたと思われますが、沢山のダメ出しがされていますね。

ダメマシンクリニック43【電子マネーチャージャー】

早速、詳しく見て見ましょう。

43 電子マネーチャージャー03

43 電子マネーチャージャー04
1:表示と注意書(チャージ専用マシン・カードの取り扱いについて)
2・4・8・10・1:注意書(カードを早取りしない)
3:注意書(カード挿入禁止)
5・9:誘導(カードを置く)
6:注意書(カードの取り忘れ・領収書)
7:誘導画面(カードを置く)
上記1〜5は管理者(駅員さん)によるもの、6〜は設置時(もしくはその後)に共通して用意されたと思われるものです。全てカードについてのもので、その半数以上(6点)は「カードを早取りしない、動かしてはいけない」ことが繰り返されています。

相当数の方がカードの取り扱いに迷うマシンとなっているようですね。
誤操作は、、
・カードを置く場所がわからず紙幣投入口に入れてしまう
・カードを早取りしてしまう(完了前に動かす)
の二点に集約されるでしょう。

先に書きましたように普及期間を十分に経ているシステムですから、利用者はある程度マシンの操作に慣れている(程度の差があっても)と捉えて良いでしょう。
この様な状況では「慣れた使い方と違う」ということが混乱を起こしやすいです。(例えばこちらの例のように)

ということでSuicaを確認しました。

09 改札内の新幹線券売機 01
こちらは品川駅構内の券売機です。Suicaはカード挿入口に入れるようになっています。

JR東日本のサイトの「利用方法 > 入金(チャージ)」には「1. 自動券売機・多機能券売機にて現金投入前にカードをお入れください。(以下略)」とあります。

Suica利用者なら普段使い慣れた「カードを挿入口に入れる」という行動を無意識的にとってしまうのも無理はないですね。武蔵小杉駅はJRと接続していますので、この「カードを置く場所がわからず紙幣投入口に入れてしまう」という状況が多発しているのでしょうね。

(比率はわかりませんでしたが、券売機に限れば、東急、京急、西武、東武、京成でも挿入式のものが導入されているようです。)

もうひとつの、最もやかましくダメだしされている「カードを早取りしてしまう」はどうでしょう。先の考察から、こちらは逆に「慣れない操作」として見た方が良さそうです。
一度注意書を取ってみましょう。

43 電子マネーチャージャー05
ICカードを置く場所(センサー部)は右手前に大きくあり、存在感がないとはいえませんね。置くのであればここだということは伝わっていると考えられます。よく見るとカードが滑り落ちないような段差にも気付くことができます。
しかし、はたしてここにおいて良いものかどうか、、ちょっと不安が残る姿をしています。

「アフォーダンス」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるでしょう。
私たちは、接した物の姿形から「どの様に振る舞うべきか」を無意識にイメージすることがあります。この「どう振る舞うかをイメージさせる姿形」は「アフォーダンスがある」と言います。
この視点で見てみますと、、

43 電子マネーチャージャー06
ボタンは置く形、画面は見る形、挿入口は出入りする形、、など操作とイメージが合致するものが並んでいますが、センサー部だけ「置く形」ではなく、「タッチする形」になっています。
「タッチする形」とは斜めに傾いたセンサーのことですね。多くの方は「斜めに傾いたセンサー」を前にすると「暫くかざす・触れる」行動を取ることがSuica導入期にユーザーモニターでも明らかにされました。

難しい言い方になっておりますが、要するに「斜めの台の上にカードを置きっぱなしにするイメージはない」、ということです。
また、物理的に不安定なので手が当たって落としてしまうということもあるかもしれません。
金券を不安定なところに置きっぱなしにするのは不安ですものね。何かのタイミングで取って(仕舞って)しまうのも無理がないと考えます。


【診断】

「券売機」という認識においては、ICカード(電子マネー)を挿入させずにセンサー部に置くというのは「特殊な扱い方」です。それをうまく誘導できず、誤操作を頻発していますので「誘導不全」と診断します。


【処方】

では処方です。「置く」誘導を強化し、散在する情報はまとめて整理しましょう。

処方01:応急処置(枠と表示の追加)
以下の様にします。
・透明版を加工して凹状の枠を設置する。
・センサー部に大きく注意書(誘導)をする。
・「紙幣投入口」を表示する。

43 電子マネーチャージャー07
設置時に追加されている表示はそのままにしてあります。

43 電子マネーチャージャー08
全体を見た時に「カードを置く」ことが一番目立つように、できるだけ大きくします。もともと光って目立つ部分ですので、枠と表示は透過素材が良いでしょう。
カードを挿入してしまいそうになる紙幣挿入口には、それを明示します。これまでも取り上げていますが、紙幣なら紙幣、カードならカード、と「使用可」のものを書くのが望ましいです。

現場で対応できそうな方法としては以上となりますが、「置く形」をもう少し検討してみます。


処方02:治療
「センサー部にカードを置く」方法をとる場合は、メーカーにて「置く形」を取り入れるとよいでしょう。
・センサー部を「置く形」である水平な台にする。
・注意書は操作するすぐ近くに表示する。
・「紙幣投入口」を表示する。(処方01)

43 電子マネーチャージャー09

43 電子マネーチャージャー10
「置く形」は、机や台などの水平面があることが大切でしょう。中央がへこんだ薄い器の形にしても良いかもしれません。

ただ、いずれの方法をとりましても「カードを入れる形」としては紙幣投入口の方が一般的ですので、それとの対比においてアフォーダンスが弱いことは否めません。

ところで、そもそもカードを挿入式にしなかったのはなぜか、という疑問をお持ちの方も多いでしょう。考えられるのはモバイルSuica(等のFeliCa内蔵機器)の現金によるチャージですね。もともとチャージマシンを使わずに入金できるのがサービスの特徴なのですが、それでも現金をチャージしたいという場面はあるかもしれません。(特にクレジット機能のない「EASYモバイルSuica」ならなおのこと)

このチャージマシンがモバイルSuica対応かどうかは確認できていませんが、関西圏のICOCAのチャージマシンはカードをスライドして入れるタイプ(下)になっておりまして、ここにFeliCa内蔵携帯を押し当ててチャージすることはできるようです。

ICOCA JR西日本より

とはいえ、モバイルSuicaが普及した現在でも頻度が高いとは言えず、置くスタイルは「あったら便利」という範囲と考えるのが自然といえるでしょう。


処方03:治療
より多くの利用者さんが便利に使えるよう、ICカードは一般的な挿入式を加え、以下の様にすると良いでしょう。
・カード挿入口を設ける。
・センサー部を水平な台にする。(処方02)
・現金投入、ICカード、受け取りのエリアを分けるように再配置する。
・注意書は操作するすぐ近くに表示する。(処方02)
・「紙幣投入口」等を表示する。(処方01)

43 電子マネーチャージャー11

43 電子マネーチャージャー12
エリアを操作のステップや概念毎に分けると理解しやすく誤操作を軽減することができます。ここでは、金額確認表示も合わせて左側に寄せ、チャージするICカードは右にまとめました。

このマシンであれば実際の使用状況を観測することもできますから、将来的なシステム設計の貴重な情報を得ることができるでしょう。



ダメを憎んでマシンを憎まず。
ダメマシンクリニックからは以上です!

No.43
対象:電子マネーチャージャー
設置場所:東急東横線武蔵小杉駅
報告者:M.F.
報告日:2016.8.29
症例:誘導不全
ダメ度:××(治療が望ましい)
応急処置:表示修正
治療方針:整形外科「水平台造形」
     外科「再配置/挿入口加設」



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・困っていること・症状(出来るだけ具体的に) 
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クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
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