「好き嫌い」の力 私が「好き」と言える人を応援する理由2015年11月07日 11:14

みなさまの「大好きなもの」は何でしょう?
何をおいてもこれがやりたい!こういうことがしたい!ということはありますか?
私は仕事や子育てを通して「好き」は案外難しいものである、と思うようになりました。

経験則から申しますと、複数のデザイン案の中から最適なものを選ぶ際、「どれが良いですか?」という問いにスパッと答えられる人は少ないのです。初めはデザインの力不足が原因と思っておりました(もちろんその側面もあります)が、そうでもないことが多かったのです。

また、「好きでいくらでも続けられること」を尋ねますと、これだ!と言うものをすぐに挙げられない方も多いようです。
思春期のころ「好きなことをやってみよう」と言われても「それがよくわからない」と感じた方は多いかもしれません。

好みを言うのは憚れる、という感性もありますね。しかしそれだけなのかしら、、。

逆に「嫌い」はいかがでしょうか。例えば、多少の差があっても食べ物の好き嫌いがある方は少なくないと思います。そして「好き嫌い」と申しますが、実際は苦手なものをさして言いますね。好き嫌いとはつまり「嫌いなものがある」ということです。

たとえ話ですが、「大好きな食べ物」と「大嫌いな食べ物」を混ぜたものは食べられますか?ほとんどの方が「台無し!」と怒ったり残念がったりして手が付けられないです。つまり、「好き」より「嫌い」が勝ってしまうんですね。「嫌い」って強いんです。

回りくどい話をしましたが、私たちは「嫌い」により強く感応するように出来ています。危険を察知して忌避することで生き延びてきた、、とDNAに刻まれたことなのかもしれませんね。
何かを成し遂げる修業には古来「戒」が用いられてきました。理に適っていると感じます。またデザインを選ぶ時も「ダメなものを落とす」方(不美人法)がはるかに高精度です。
その分野の「専門性がない人」が精度を上げるために「嫌い」を利用する方法は有効なのです。

しかし、ネガティブな感性を磨きすぎますと、新しい価値を見落としたり創造性を失うことも指摘されています。(確証バイアスなど)

商品の値段や真贋をあてさせるテレビ番組が沢山ありますが、結構難しいですよね。いいと思っていたモノでもその値段が低いと知らされると、たちまち自信を失ってしまいます。「値段」という客観性のある価値観の前では自身の好みという主観は脆弱なのですね。

ですから、「これが好き!」と迷いなく言える方は、その価値観を長い間の努力を通して獲得した可能性が高いのです。
そしてそういう方は「こういうものが欲しい!」「こういうことをしたい!」という、まだ目に見えない価値に気づくことがあります。そしてその感性の向こう側に大勢の「まっている人」がいるのです。

私の友人の中には沢山「好き!」「これが欲しい!」と言える方がいますが、代表格の松本美佐さんをご紹介させて下さい。
松本さんはお菓子教室を運営、後進を育てる中で、教室運営に関連する社会的な課題とその意義に気づき、教室運営アプリ(顧客管理システム)を開発するに至りました。開発中も一貫して「これがしたい!」という芯を持ち続け、皆に喜んで使って頂けるところまであと一歩まで迫っています。
リリースしたら、ぜひ触って見て下さい。
そして、「好き」がいえる人の力を感じて頂ければ嬉しいです。

テトコ:https://www.facebook.com/tetocosystem/


ちなみに自分にとって「本当に好きなこと」の見分け方は「手抜きをしない」です。例えば「ゲームが好き」だとしても攻略法を検索したり強い武器を買ったりする人は、そこそこ好き、くらいかもしれませんヨ。。

過去記事:不美人法
http://dmc.asablo.jp/blog/2009/07/17/

今テク昔デザイン2015年04月06日 10:13

「今の技術を昔懐かしいデザインでパッケージ」のLED電球「Siphon」です。

Siphon
パッケージ。

Siphon
「Edison」は発明当時の雰囲気をイメージしているのでしょう。

Siphon
フィラメント回りの造作。オレンジ色の棒状のものの中に小さなLEDが並べられています。
ガラスの内側にうっすらと金色の蒸着(風?)の着色が。

Siphon
色温度2200Kはかなり黄色いですね。LED自体はもっと白いのかもしれません。

RCA 2A3
こちらは本当に古い(1940年代)真空管(RCA 2A3)のフィラメント回りの造作。左下にちらっと見える金属の蒸着は残留酸素を吸着するためのものです。戦勝後の豊かなアメリカの職人さんは良い仕事しています。いつ見ても綺麗だなぁ。

ところで、家具では意匠権が切れたプロダクトをリメイクするのは定着していますし、車や家電ではレガシーデザイン、レトロデザインは少なからず人気です。
モジュール化、オープンソース化、EV化などを背景にして、ベンチャーや中小規模のメーカーが「今テク昔デザイン」の商品開発にチャレンジする流れが、家具や自動車等に続いて定着するのでしょうか、、注目しています。(既には懐かしいデザインのEVバイクが出てきていますね。)

改めて私が「今テク昔デザイン」に価値があると思いますのは、、
・長く愛されるデザインを広く活用して残す
・低コストで良質の製品を提供
・高齢者や異文化圏の受容性

低コストとは「オープンソース」「モジュール」とともに「もととなるデザインがある」ことが(特に小規模開発においては)開発コストを圧縮することを指しています。もちろんザイン開発が不要ということではなく、スタートラインのアドバンテージがあるということですね。
高齢者や異文化圏の受容性とは、「昔ながらのあり方・使い方」が受け入れやすいと言うことです。どちらも「習慣」が重要な意味を持っていますが、既に知られている物には抵抗が低くなると期待出来ます。これは同時にUIを今テクに置き換える難しさを含んでいます。(例えば黒電話風のスマートフォンに無理があるように)UIを今テクに置き換えるのは丁寧な作業が必用ですね。

Siphonに話を戻しますと、何かのレプリカではなく、ムラッ気のある手仕事感や色づくりなど、「懐かしさ」を本物よりもイメージに従って少しオーバー気味に演出している感じがしますね。それは一つのあり方なのでしょう。

応答せよ!2014年01月23日 16:56

無線機を使った事がある方ならご存知と思いますが、相互の交信状況を把握する事はとても基本的で大切なことですよね。
発言の最後に「どうぞ」、会話の応答には「了解」という単語や応答したものの名前をつけて、会話の受け渡しを明確にします。
そうしないと受信と発信では状況が異なる無線機での会話は成立しにくいです。

これに対して、携帯電話は繋がっていればそれを気にする必要はありません。1対1の会話であればごく普通の感覚です。
ではテレビ会議のような複数の音声交信はいかがでしょう?無線機のようにに少し気を遣う必要があるかもしれません。

しかしLINEのようなテキストベースのグループチャットなら、案外普通の会話感覚でできますよね。

行為は介在する技術によって意識的に行動が変わる(こともある)のです。
ですから、UIを考える時には技術のあり方、その技術を採用する事で現れる状況を考慮しなければなりません。

さて話は飛びますが以下に引用した件、今日ちょっとした話題になりましたね。

「=」を押した事が判らないので2度押してしまう、というのが現象の原因です。
一般の電卓は指の触感等の打鍵感覚がありますが、タッチパネルにはありません。タッチUIは視覚的なフィードバックによって「ある」と錯覚させられているのですね。あると思い込んでいるからこそこのような話題になる訳でして・・。
基本的なフィードバックの欠如という、なんともなお話でした。

UIを「会話」と見立てて擬人化して捉えますと、タッチパネルは「無口でシャイ」なやつです。しっかりと会話を成立させるための工夫が要りますね。

元ネタ:iPhoneの電卓だと「2500÷50=1」になる!? 衝撃の結果
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1401/22/news120.html


(・・ところでこんな基本的なミスをするくらい今のアップルはUIを軽視してるのしょうか?「i」のつくアプリケーションも評判芳しくないようですし、、。ちょっと残念ではあります。)

売り口上2014年01月08日 10:18

クリスタルのカメ
毎年末、何かきれいなものを求めておりますが、今年も昨年に引続き小さなクリスタルを手にとりました。
その時ちょっと気になりましたのが、「こちらは幸運の○○」「来年のラッキーカラーの○○」という売り口上です。
以前から増えたなぁ、とは思っていたのですが、高額消費財の売り場にも遂に進出したのですねぇ。

商品への直接的な言及は、そのままでは売れないということを暗示しています。(それでも売れることが正義であるチャンネルはありますし、売れる売れないではなく売るのが商だ、という姿勢にも共感しますけれど)
こういう口上を慎重に排除する事がブランドを高めるものだと言う考えでは売れないのかもしれませんが、ちょっと残念な気持ちになりました。

今風に言えば「接続価値」の繋ぎどころに違和感を感じたのかも、、と思い返しますと、他のブランドもそちらの方(自己言及による神秘性の獲得)に舵を切っている時代なのかもしれません。

アドビのデジタルツール Mighty & Napoleon2013年10月03日 11:26

アドビがスタイラスペン「Mighty」と、デジタル定規(?)の「Napoleon」を発表しました。


3分丁度くらいから定規(Napoleon)のデモがありますが、これ使って見たいです。

デモで見る限り、スタイラスペンはタイムラグが大きく、とても使いやすそうには見えません。
しかし、近い将来このレスポンスがよくなったら、大きなタブレットと長い定規がクリエイターの定番に成るのでしょうか?・・ありえなくもなさそうですね。
dmc.
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