「新しい」とは ― 2025年03月19日 18:44
みなさまこんにちは^^
デザインとは、というお話しを少し前に書きまして、そのことを切っ掛けに「そもそも新しいって何?」という話題が広がったことがありました。この話は面白かったので何回かにわけて書いて行きます。
まず、私がデザインにおける「新しさ」について意識したのは、大学時代にある教授がご自身の活動を「創新」と名付けたのが初めでした。
もちろん、デザインの現場では常に「Something New」を求められますし、知的財産権においても「新規性」は重要な項目ですから、新しさは前提となっていて、無邪気に「新しくないことは無価値」とさえ思っていました。
ところがある年末、売れ残ったカレンダーの一つに大判の盆栽写真があり、その美しさに目を奪われました。何一つ新しいものはないのに新鮮な感動のある不思議。パラダイムシフトのような感覚がありました。
調べてみると盆栽の世界では古い方が価値があり、「古色」という美しさの表現があります。若葉を愛でる事ももちろんあるので、新しさや若さも価値の一つです。それでも「古さ」の価値の絶対性には太刀打ち出来ないのでした。
話戻りまして、デザインの「新しさ」とは何でしょう?
それは既にあることをもう一度見つけ出すこと。
「再発見」---これがデザインの新しさだと私は考えています。
(つづく
デザインとは、というお話しを少し前に書きまして、そのことを切っ掛けに「そもそも新しいって何?」という話題が広がったことがありました。この話は面白かったので何回かにわけて書いて行きます。
まず、私がデザインにおける「新しさ」について意識したのは、大学時代にある教授がご自身の活動を「創新」と名付けたのが初めでした。
もちろん、デザインの現場では常に「Something New」を求められますし、知的財産権においても「新規性」は重要な項目ですから、新しさは前提となっていて、無邪気に「新しくないことは無価値」とさえ思っていました。
ところがある年末、売れ残ったカレンダーの一つに大判の盆栽写真があり、その美しさに目を奪われました。何一つ新しいものはないのに新鮮な感動のある不思議。パラダイムシフトのような感覚がありました。
調べてみると盆栽の世界では古い方が価値があり、「古色」という美しさの表現があります。若葉を愛でる事ももちろんあるので、新しさや若さも価値の一つです。それでも「古さ」の価値の絶対性には太刀打ち出来ないのでした。
話戻りまして、デザインの「新しさ」とは何でしょう?
それは既にあることをもう一度見つけ出すこと。
「再発見」---これがデザインの新しさだと私は考えています。
(つづく
ゲレフー国際空港(CG) ― 2025年03月14日 10:05
みなさまこんにちは^^
ブータンの第二国際空港となるゲレフー国際空港の計画が発表されました。
めちゃくちゃ惹かれます。
大阪万博の大屋根が世界一を誇りますが、木造での大規模建築は2000年のハノーファーの万博会場あたりから根強く続くトレンドでもあります。木造であることを置いておいても、ここはぜひ訪れて土地文化との接続を感じてみたいと思いました。
ちなみにBIGは、トヨタのToyota Woven City を手がけています。
こちらも楽しみです。
ジャケ買い「魚が存在しない理由」 ― 2025年03月12日 17:15
家事ロボット ― 2025年03月07日 18:09
みなさまこんにちは^^
ノルウェーのロボット会社「1X」、家事も行う汎用人型ロボット「NEO Gamma」を発表。
これ、私たち(特に日本人)がイメージするロボットに一番近い感じがしませんか。お掃除ロボが出てきた時に(確かにロボットだけどそうじゃないんだよ)と思った方は多いと思います。
いまこのタイミングで汎用人型ロボットを売り出すのは、人間とのリアルな生活を通してしか得られない知見から今後もっと良いものを作るため、と。パートナー的な立ち位置なら感情面でもUIセオリー的にも絶対人型がいいです。ですから、これが(もしくはこのタイプが)ビジネス的にも上手くいってほしいところ。
生活支援ロボットが介護や看護といったところまで踏み込んだ場合、ルンバ的な機能に最適な形態のものか、汎用の人型になるのかは、サービスを受ける側の満足度より、提供者側の経済性が優先されると思いますので。注目です。
2025トレンドカラー 3色 ― 2025年03月05日 18:59
みなさまこんにちは^^
デザイントレンドは恣意的なものや希望的なものも含めて色様々なところが発信していまして、極く浅くですが、定期的に追いかけていますと(あ、これはそうかも)とか(こういう方向性でビジネスしたいのね)とか、、色々と思うことがあるので興味深く拝見しています。
さて、トレンドを「流行」と言い換えますと、ファッション業界が仕掛ける恣意的なそれが「流行」そのものの元祖といえます。
大量の繊維を用意することを考えますと、毎年「今年の色は〜〜」と業界あげて言えるのは「そのように準備する」のが合理的です。ですから、流行色は繊維業界をウォッチするのが基本と教わりました。
業態が複雑化してスピードが上がった現代では、どこまで影響力あるでしょうね。
さてさて、今年2025年の流行色予測3つをチェックしてみましょう。
業界に長いパントーンとJAFCAはともにくすみ系カラー、SNSのピンテレストは強めの選定。面白いです。年末の振り返りを楽しみにしましょう。
メンタルモデルのくみあわせ 創作日中共通語 ― 2025年03月03日 10:10
みなさまこんにちは^^
先日ネットで、中国語話者と日本語話者の意思疎通が出来る創作言語を作った猛者を発見。
漢字の単語を英語の文法に混ぜて使うと、中国語話者と日本語話者がともに使える言語になる、という提案です。日中どちらの話者も、専門的な話をするほど相手言語も英語も出来ないけれど、漢字の意味は汲み取れるから英語の基本が分かれば通じるという。面白いこと考えますね!
最初から英語で話せばいいじゃないか、という話ですが、英語力はそこそこでいい、というのが味噌なんでしょう。
機器のUIデザインは、使用者の経験してイメージが出来ている操作モデル(メンタルモデル)に沿うようにデザインします。こある製品の操作が、一つのメンタルモデルだけではカバー出来なくても、いくつかのメンタルモデルをくみあわせればカバー出来そうな場合、とても有効な手段です。冒頭の投稿はのことを思いです話でした。
この時大切なのは使用者の供えているメンタルモデルを良く吟味することです。ここに成否の鍵があることは言うまでもないですね^^
機械彫刻用標準書体 ― 2025年02月26日 18:15
みなさまこんにちは^^
「機械彫刻用標準書体」がデジタル化され、しかもフリー書体として配布されていると聞きまして、早速ダウンロード。関係者の皆さま、ありがとうございます。
これは嬉しい。
実家が印刷工場で、そこに並ぶ印刷機の注意書きや指示書書きはほとんどが彫刻機で彫られたものに墨入れしたものでした。
かつて沢山の媒体で使われていた「ナール*」という書体がありますが、ナールを初めて見た時に(似てるな)と思いしまた。
似てる要素は、太さが均一で角と端が丸いこと。これは彫刻機で彫ることで生まれる特徴そのものです。
比較してみるとこんな感じです。
とこかで使う日を楽しみにしましょう。
*)ナールもデジタル版がリリースされています。こちらは有料です。
アート・デザイン・ライフ・ビジネス ― 2025年02月17日 10:44
みなさまこんにちは^^
アートとデザインについてお話しを拡げてきました。今日はざっくりとまとめたいと思います。
石器のお話を続けますと、まず石器を工夫する(デザイン)と生活が変わってきますね。
例えば、、
・作業が効率的になる → 空いた時間に別のことをする
・作業が楽になる → その作業をする人が変わる(成人男性から子供など)
生活が変わってくると、またあらたな工夫(デザイン)が生まれます。上の例では、空いた時間にするようになったことの道具が生まれたり、スペースが作られたりします。
このように創意工夫と生活は一体でした。デザインは最初からライフスタイルに直結していた、と言えます。
話を現代にうつしますと、「デザイン」「デザイナー」には職業のイメージが強いです。これは近代の大量生産品の普及にあわせて「デザイン」が広く定義、認知された*からですね。
この広く使われて行く過程は石器時代にもありました。交易です。
文明は遊牧民と農耕民の交わるところで発祥しました。文明以前にも人々は交易し、お互いの生活の部分と部分を交換していました。これは生業(なりわい)と呼ばれるものでしょう。ビジネスです。
アート ・・・ 割れた石を知る(価値)
デザイン ・・・ 石に取っ手をつける(工夫)
ライフ ・・・ それを使う(活用)
ビジネス ・・・ 沢山の人に届ける(認知・流布)
まとめる上のようになります。
順番があるように見えますが、これらは人がもともともっている生得的な能力の発露です。「デザイン」という視座からは、この遠来な景色がとてもよく見えますね。**
アートからデザインの始まり、組み合わせという創造の原点、人が持つ「概念の共有」という力について、そして生活とひろがりのお話、まずは一旦おひらきです。ありがとうございました。
おわり)
*)もちろん手作りの時代にもデザインはありましたけれど、それらはクラフト、職人技として、どちらかちいうとアートとして区別されています。
**)これはまた、自分の「刃」に取っ手を付けて社会に役立たせて行く、というような、ごく個人的な(自分とは・・)という問いを見渡すヒントになります。
アートとデザインについてお話しを拡げてきました。今日はざっくりとまとめたいと思います。
石器のお話を続けますと、まず石器を工夫する(デザイン)と生活が変わってきますね。
例えば、、
・作業が効率的になる → 空いた時間に別のことをする
・作業が楽になる → その作業をする人が変わる(成人男性から子供など)
生活が変わってくると、またあらたな工夫(デザイン)が生まれます。上の例では、空いた時間にするようになったことの道具が生まれたり、スペースが作られたりします。
このように創意工夫と生活は一体でした。デザインは最初からライフスタイルに直結していた、と言えます。
話を現代にうつしますと、「デザイン」「デザイナー」には職業のイメージが強いです。これは近代の大量生産品の普及にあわせて「デザイン」が広く定義、認知された*からですね。
この広く使われて行く過程は石器時代にもありました。交易です。
文明は遊牧民と農耕民の交わるところで発祥しました。文明以前にも人々は交易し、お互いの生活の部分と部分を交換していました。これは生業(なりわい)と呼ばれるものでしょう。ビジネスです。
アート ・・・ 割れた石を知る(価値)
デザイン ・・・ 石に取っ手をつける(工夫)
ライフ ・・・ それを使う(活用)
ビジネス ・・・ 沢山の人に届ける(認知・流布)
まとめる上のようになります。
順番があるように見えますが、これらは人がもともともっている生得的な能力の発露です。「デザイン」という視座からは、この遠来な景色がとてもよく見えますね。**
アートからデザインの始まり、組み合わせという創造の原点、人が持つ「概念の共有」という力について、そして生活とひろがりのお話、まずは一旦おひらきです。ありがとうございました。
おわり)
*)もちろん手作りの時代にもデザインはありましたけれど、それらはクラフト、職人技として、どちらかちいうとアートとして区別されています。
**)これはまた、自分の「刃」に取っ手を付けて社会に役立たせて行く、というような、ごく個人的な(自分とは・・)という問いを見渡すヒントになります。
概念を組み合わせる=創造する ― 2025年02月12日 18:08
みなさまこんにちは^^
石器とデザインの始まりと工夫の組み合わせ、そこから人の知的能力の特徴「概念の共有」についてお話ししています。
「概念の共有」という能力は、様々な飛躍を生んだと想像されます。
石器の発展を例にとって見ますと、、
「切れる石」と「持てる棒」をそのまま組み合わせても悪くないのですが、「切れるもの(という概念)」と「持てるもの(という概念)」を組み合わせると、「切れて持てるもの」という新しい「刃物*」という概念が現れてきます。この新しい概念がさらに組み合わされて加速して行った、、イメージ沸きますね。
(つづく
*)実際のところ、「刃物」と命名したかどうかは不明ですが、何がしかの呼称を持つようになったと思います。「概念と言語」の関係も興味深いところですね。
「アイデアは組み合わせ」の原点 ― 2025年02月07日 18:05
みなさまこんにちは^^
デザインの始まりについて石器の話をしておりまして、「割れた石は切れる」ということを発見して、使いやすい形に創意工夫していく、その営みはデザインそのものだ。そんなお話しです。
この「使いやすい形にする」段階をよく見ますと、「割れた石」とは別の要素が入っています。持つための「棒」です。
アイデアは「発見」の組み合わせ
割れた石に「切れるもの」を発見したように、折れた枝に「持てる」ものを発見し、それを組み合わせて「刃物」を創造しました。これは「アイデアは組み合わせから生まれる」という原則そのものです。
当時の生活スタイルは謎に包まれていますが、この組み合わせの推移を見ることでどのように暮らしぶりが変わったのかを想像するのは楽しいですね。
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