鏡の三角錐2009年01月15日 11:15

鏡の三角錐
鏡面仕上げのアルミ板を、底面のない三角錐の形におったものです。たしか、2000年頃の科学雑誌の付録でした。先日ご紹介した万華鏡以外にも「覗くと美しいもの」をもっています。

意識していませんでしたが、どうやら私はこの様なものが好きなようです。覗くといえば、オノ・ヨーコが横浜トリエンナーレで発表したインスタレーション「貨物車 Freight Train」も覗かずにはいられない作品でした。

景色2009年01月13日 02:03

風力発電
最近の工場人気で、湾岸の石油プラントを船で見学するツアーまであるそうです。工場や団地が観賞の対象になる背景には、日本的な「日常の非作品への愛着」があるという説も。

説の真偽はさておきまして、「工場が美しい」という感覚を私も持っています。個人的なお話で恐縮ですが、学生の頃、石油プラントの夜景をおさめた写真がある新聞社のコンテストに入賞しました。鉄工、材木加工、印刷などの町工場が並ぶ町で育ったからだと思いますが、懐かしさとは別の感覚で美しさを感じます。

話は変わりますが、プロダクトの造形モチーフは、自然なものだけでなく人工的な建造物を感じさせるものも多いですね。特に近年は増加している印象です。例えばスポーツカーは、草原を走る伸びやかな筋肉よりも宇宙を飛び交うロケットのパワフルなエンジンや構造物を感じさせるものも多いです。
これは一つの大きな流れと考えられます。その理由もいくつか心当たりがあります。ブランドイメージとなる造形を繰り返すことで、抽象性を獲得しようとすればそれは一つの必然でもあります。何より技術革新が造形の変化を導いています。

写真はどちらかお判りになりますか?
正解は鳥海山の北麓に広がる秋田県の仁賀保高原です。草原と風力発電の組み合せは、もう私たちにはすっかり馴染んだ優しい景色となっていますね。

バイオミミクリー2009年01月08日 10:33

N700
造形だけでなく、そのシステムやプロセスを自然や生体をモデルにして、人間の社会の諸問題を解決して行こうという学問をバイオミミクリーと言うと、昨年ある方にご教示頂きました。

ハコフグの形をヒントに空気抵抗の少ないトラックをデザインしたり、鮑の貝殻の構造をまねて超強靭の素材を開発したり、蟻塚の構造のビルを建てたり、自然の植生を倣って持続性の高い農業を構築したりと、成果が沢山あります。

自然をお手本に、というのは科学の原点のように思いますが、バイオミミクリーは一部をまねるのではなくシステム全体として捉え、環境問題の様なグローバルな課題の解決手段として捉えるのが新しいようです。

写真は、トンネル突入時の衝撃を和らげるため「水面に飛び込むカワセミ("カモノハシ"を修正/追記参照)を参考にした」と伝えられる700系新幹線の新型です。

デザインのもう一つの大切な側面、自己の表現とコミュニケーションについても、自然にヒントがあるという考え方も面白いかもしれませんね。

参考 自然と生体に学ぶバイオミミクリー
http://www.7andy.jp/books/detail/-/accd/31660399

追記:著者Janine Benyus女史のサイトで確認しましたら「カモノハシ」ではなく「カワセミ」でした。お詫びして訂正いたします。

下から見上げる2008年12月19日 23:59

東大寺大仏殿
奈良東大寺大仏殿。

大仏殿の上層部(写真)は、正面図で見ると、上に引き伸ばされた様な外形をしています。人が見上げたときに最も美しくなるように設計されているのですね。大仏殿の中の天井格子も、その中に鎮座した盧舎那仏(るしゃなぶつ)も、見上げたときに美しく印象深くなるようなデザインです。

ヨーロッパの建物はパルテノンの代より「神の視点」、つまり天上から見られる事を意識したものだそうです。また見上げたときに、天に届くような印象を与えるバランス(上層の方が小さい)を取っているものが多いですね。

視点の違いは文化の背景の違いを端的に表していて、また双方にそれぞれの美しさがあって興味深いです。
dmc.
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