アートの起源と表現欲求2024年12月16日 10:30

みなさまこんにちは^^

先週、「美・感動を感じれば、意図は関係なくそれはアートだ」というお話をしました。これは対象物を美しいと思えばアートと呼べる、というお話です。この仕組みに焦点を当てますと、「何かを美しいと思う心の作用がある」と言えます。
考古学によれば、6万5千年前には洞窟壁画*が作られていました。壁画を作らせた衝動の内面や文化的力学は分かりませんが、少なくとも「何かを表現したい」という欲動が存在したことは確かです。この表現欲求はホモ・サピエンスの遺伝子が固まる1万年前には確実に、私たちに備わっていました。

アルゼンチン クエバ・デ・ラス・マノス壁画・9,000年以上前
こちらはアルゼンチンの9,000年以上前とされる「クエバ・デ・ラス・マノス壁画」です。この壁画は、顔料を吹きつけるパイプのような道具と共に発見されました。
顔料を吹きつけて手の形を写す人々。活き活きとした日常の光景、それとも厳かな儀式的な行為、もしくは特別な祝祭の芸能、、さまざまな可能性が感じられます。

美しいものを求めていたかどうかは分かりませんけれど、これらの表現に「美・感動」を感じていた当事者は多かったはずです。表現したものの中に「美しいと思う心」が刺激され、表現の技巧の探求が進んでいく、、その瑞々しい現場を目撃しているような気持ちになりました。

美しいと思う「心の作用」に、「表現」という行為が重なって行く。それこそがアートですね。

(つづく

*)スペイン ティト・ブスティーリョ洞窟・推定65,000年前・ネアンデルタール人
dmc.
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