ダメマシンクリニック07【Suica対応コインロッカー:視野狭窄および特殊事情過敏の疑い】 ― 2015年12月18日 09:33
ダメマシンクリニック、続いての症例はこちらです。
前回に引続きJR桜木町駅のSuica対応コインロッカーです。
ダメマシン07【Suica対応コインロッカー 2】
前回の【Suica対応コインロッカー 1】よりも新しい機種と思われるコインロッカーが同じ桜木町駅の改札外に設置してあります。
コインロッカーコーナーの入り口には多数の張り紙があります。
10:クローク情報
11:現金不可
12;問い合わせ情報
13:返金不可
言語は日本語だけであったり、五カ国語であったりしますね。
(貼付物の番号は前回からの通し番号になっています。)
マシンの方はどうでしょう。
ガイダンスはイラストが刷新されていました。
貼付の説明書も外国語版がありました。
桜木町と言う土地柄もあるでしょうけれど、外国の方のSOSがとても多いことが想像出来ますね。
実際、目の前で声を荒げた方が。
(*写真はイメージです)
前回の改札内のロッカーです。
前回の結論では、「応急処置やガイダンスでは問題が残る」と申し上げましたが、新機種では特に改善されている様子はありませんでした。日本人の何割か、そして外国の方の多くは使えない状況と推察します。
それでは現場が困りますよねぇ、、
・・と思っていましたら、なんと説明員さんが常駐していました!
これならクロークの方が良いのではないかしら、、現場のご苦労が偲ばれます。
何故こんな複雑な事態に陥ってしまったのでしょうか。
「ICカードを使わせたい」という経済的な理由は勘案出来ます。そこが切っ掛けになったことは間違いないでしょう。しかし大変残念なことに、導入時に「コインロッカー」をデザインしようとはせず、「ICカードを導入する」ことだけを考えてしまった。。そのように見受けられます。
「コインロッカーをデザインしようとしなかった」とは、具体的に一点指摘させて頂きますと、、
従来のコインロッカーは、使用する扉の前でほぼ完結するようになっています。
それぞれの扉の前で同時並行して使用することが出来、また使う方が注意を払う必要のある範囲は手の届くパーソナルスペースにおさまっています。
しかし、Suicaを用いたコインロッカーは、同時に1人しか使用できず、注意を払う必要のある範囲はパーソナルスペースにはおさまりません。従いまして、1人当りの滞在時間を延ばすと同時に、全体の効率を下げてしまいます。当然、ストレスを感じる方は断然多くなるでしょう。
これは、「コインロッカーはどのように使われるか」を考えれば容易に想像出来ることです。仮に検討したのだととしても、全くその点についての配慮が見られませんから、「コインロッカーをデザインしようとしなかった」と同じなのです。
そうして導入時の未完成なシステムのまま、見かけ上ブラッシュアップすることで、ここまで看過してきた、、そんな経過が透けて見えてしまいますね。。
また、需給バランスを考えますと、使える人が使えれば運用率は下がらないわけですから、使いやすさは優先されないのかもしれません。
【診断】
「説明失調」および「表示過多」の症状は、設計時の視野(=検討する範囲)が狭かったこと、またSuicaありき、前機種ありきの事情を最優先してきた可能性が高いので「視野狭窄及び特殊事情過敏の疑い」と診断します。
【処方】
では、処方です。
Suicaをコインロッカーで使うということを、これまでの開発側の経緯ではなく、現在のユーザーが慣れ親しんでいるUIを優先して計画します。
処方03:治療
根本的な改善には(メーカーによる)以下の処置が有効でしょう。
混乱の元となっている「ICカード」と「現金」の併用について整理すると方向性が絞れると考えます。
ICカード(Suicaを含む)所持する現金の一種と捉えた廉価なシステムと、ICカードをメインの決済手段として捉えたシステムの二つが考えられます。
1)従来のコインロッカーと、ICカードからコイン(または専用メダル)を得る両替機によるシステム。
2)ICカード専用の新機種とICカード発行機によるシステム。
【従来機+ICカード両替機】
確認事項としまして、従来型のコインロッカーは使えているのかを確かめます。
同駅の別場所にあるコインが使えるたいぷのものは特に目立った問題はなさそうです。
従来のコインロッカーに問題が無いのであれば、ICカードからコインを得られるようにするのが最も単純な発想の一つと言えます。
この方法は、、
・ICカードでコインロッカーが使える。
(ICカードの決済の良さであるスピード感は欠ける)。
・使い方に不必要な新しさがない(学習の必要がない)。
・システムが安価。
といえるでしょう。
【ICカード専用機+発行機】
「ICカードを推進する」を前面に出す場合、この方法はどうでしょう。
施錠解錠はICカードのみとし、現金しかなくてもICカードを購入できるようにしておく。
この方法は、、
・ICカードでコインロッカーが使える。
・現金でもコインロッカーが使える。
・ICカードの決済の良さであるスピード感・スマート感がある。
・使い方に不必要な新しさがない(学習の必要がない)。
・ICカード使用を奨励する。
・システムは高価。
といったところでしょうか。
上記二案とも「暗証番号の鍵」を廃止しています。手順の煩雑さとプリンタや紙などの運用負担が、目的(コインロッカーを使うこと)に対して複雑すぎると考えます。
ちなみに、暗証番号による有用性(例えば数値を教えるだけで他者との物品授受が出来る)はありますが、それはまた別のサービスで賄えばよいと思います。
ダメを憎んでマシンを憎まず。
ダメマシンクリニックからは以上です!
No.: 07
対象:Suica対応コインロッカー
設置場所:JR桜木町駅改札内
報告者:ディーエムシー
報告日:2015.12.10
症例:視野狭窄および特殊事情過敏の疑い
ダメ度:××××(マシン単体では処置し切れない)
治療方針:外科「ICカード両替機設置」または「ICカード専用設計+発行機設置」
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