IITTALA事件 「大量廃棄」は高コストの贅沢に2024年02月14日 08:35

デザインで飛躍を企むみなさまこんにちは^^

IITTALA事件
フィンランドの老舗ガラスメーカー、イッタラが2024年2月5日にブランドを一新したことがフィンランドで大きな議論を呼んでいるそうです。新しいロゴ、ブランドカラーの変更、そしてブランドコンセプトの変革が主な変更点です。伝統的な赤い「i」マークのロゴは廃止され、フォントは変更。ブランドカラーも赤から黄色に変更。ブランドコンセプトにいたっては、あの有名で象徴的な「タイムレスデザイン」から「プログレッシブ」な「アバンギャルドデザイン」へとシフトしました。これらの変更は、ブランドの長い歴史に対する敬意を欠いているとして、長年のファンからの批判を受けています。(詳細はこちらをご覧ください。)

イッタラ

「事件」と呼ばれるほどショッキングな事象ですが、経済的な視点からすれば「今までのやり方では立ち行かない」ということが透けて見えます。一つ一つのモノが愛され長く使われる事と、企業を存続させるキャッシュフローが対立してしまう構図がここにもあるのでしょう。いずれにしてもイッタラは、ハイブランドとして定期的に高額な消費財を提供するブランドとして生まれ変わろうとしています。

バレンシアガの靴
ハイブランドのバレンシアガが使用感の有る素材で作ったスニーカーがちょっと前に話題になりました。「履き古した時代遅れのスニーカーそのまま」に見えたからです。

バレンシアガの靴

その他にも重ね着のパーカーやビニール袋のような鞄など難民の格好をそのまま、ハイブランドの商品として提供しています。アートディレクターのデムナ・ヴァザリアが難民生活が身近にあった旧ソ連領ジョージア出身で、ハイブランドだからこそできるメッセージを乗せているのだと受け取られています。

大量廃棄
持続可能な消費社会を目指すことは、「大量廃棄」を否定する(抑制する)社会を目指すことになります。しかし、大量廃棄とセットとなる大量生産と大量消費には、忘れ難い魅力があります。物質的な豊かさを実感するこの「愉悦」を、私たちはそう簡単に忘れる事は出来ないでしょう。そのため「大量廃棄の制約」のひとつのあり方が「大量廃棄の贅沢品化」です。上の二つの事象、ハイブランドの振る舞いにもそれを感じています。

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