記憶とデザイン2024年03月20日 18:07

デザインで飛躍を企むみなさまこんにちは^^

前回、UIは記憶の外部性を上手く使うというお話をしました。読み返してUIだけでなくデザイン全般にとって、「記憶」はとても大事なことだと思い直しました。

そこで、「記憶」について現在の正しい知識をおさらいします。
以下は「脳科学辞典」というウェブサイトから引用抜粋した記憶の分類です。

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保持時間に基づく記憶の分類
【感覚記憶】*1
 最も保持期間が短い記憶。
 各感覚器官に特有に存在し、瞬間的に保持されるのみで意識されない。
【短期記憶】*1,2
 保持期間が数十秒程度の記憶。
 一度に保持される情報の容量の大きさにも限界がある。
【長期記憶】*1,2
 短期記憶に含まれる情報の多くは忘却され、その一部が長期記憶として保持される。
 保持時間が長く、数分から一生にわたって保持される記憶。量の大きさに制限はない
【即時記憶】*3
 情報の記銘後すぐに想起させるもので、想起までに干渉を挟まない。
【近時記憶】*3
 即時記憶より保持時間の長い記憶。
 情報の記銘と想起の間に干渉が介在されるため、保持情報が一旦意識から消える。
【遠隔記憶】*3
 近時記憶よりもさらに保持時間の長い記憶である(~数十年)。

*1は心理学領域の区分
*2は動物実験生理学領域の区分
*3は臨床神経学領域の区分

内容に基づく記憶の分類
 長期記憶は内容により、陳述記憶と非陳述記憶に大別される。陳述記憶はイメージや言語として意識上に内容を想起でき、その内容を陳述できる記憶である。宣言的記憶とも。一方、非陳述記憶とは意識上に内容を想起できない記憶で、言語などを介してその内容を陳述できない記憶である。非宣言的記憶とも。

【陳述記憶】
 陳述記憶にはエピソード記憶と意味記憶(知識)がある。
<エピソード記憶>
 エピソード記憶とは、個人が経験した出来事に関する記憶で、例えば、昨日の夕食をどこで誰と何を食べたか、というような記憶に相当する。
その出来事を経験そのものと、それを経験した時の様々な付随情報(時間・空間的文脈、そのときの自己の身体的・心理的状態など)の両方が記憶されていることを特徴とする。
<意味記憶>
 意味記憶は知識に相当し、言語とその意味(概念)、知覚対象の意味や対象間の関係、社会的約束など、世の中に関する組織化された記憶である。例えば、「ミカン」が意味するもの(大きさ、色、形、味や、果物の一種であるという知識など)に関する記憶が相当する。その情報をいつ・どこで獲得したかのような付随情報の記憶は消失し、内容のみが記憶されたものと考える。

【非陳述記憶】
 非陳述記憶には手続き記憶、プライミング、古典的条件付け、非連合学習などが含まれる。
<手続き記憶>
 手続き記憶(運動技能、知覚技能、認知技能など・習慣)は、自転車に乗る方法やパズルの解き方などのように、同じ経験を反復することにより形成される。一般的に記憶が一旦形成されると自動的に機能し、長期間保たれるという特徴を持つ。
<プライミング>
 プライミングとは、以前の経験により、後に経験する対象の同定を促進(あるいは抑制)される現象を指し、直接プライミングと間接プライミングがある。
<古典的条件付け>
 古典的条件付けとは、梅干しを見ると唾液が出るなどのように、経験の繰り返しや訓練により本来は結びついていなかった刺激に対して、新しい反応(行動)が形成される現象をいう。
<非連合学習>
 非連合学習とは、一種類の刺激に関する学習であり、同じ刺激の反復によって反応が減弱したり(慣れ)、増強したり(感作)する現象である。

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こうして見ますと、デザインは「陳述記憶」に働き掛けて積極的に「意味をつくる」仕事と、「非陳述記憶」を利用して「体得させる」仕事の両面がありますね。
「意味をつくる」とは、ブランドイメージやストーリーや価値ある体験を与えるという側面です。「体得させる」は、上手く使わせてそのモノやサービスを自分のものにしてもらう側面です。そして、体得とは意味を実感する事でもありますから、相互に補完しあっていると言えるでしょう。
「UIデザインとブランドデザインは切っても切り離せない」ということが、記憶という視点からも見えてきます。UI、大事ですね。

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