デザインは問題解決、ですけれど・・・2024年11月25日 11:35

みなさまこんにちは^^

デザインについてつらつらと書いております。

デザインは、「デザイン思考」でもおなじみですが、「問題解決」を志向するものです。
この「問題解決」は、「社会を良くする」というマインドと相性が良いです。ですので、「新技術やサービスで社会を良くする企業」にとってはデザインは必須になります。ビジネスとしてのデザインはこの点で価値を発揮できるかどうかが常に問われています。有り体に言いますと、売れるかどうか、ですね。

「売れる」ためには、製品やサービスのデザインだけでは不十分で、マーケティングが主軸になります。ひとつひとつの製品やサービスは、一人の人間、もしくはその人々が集まった集団のためのものですが、マーケティングでは、その人や集団のパターンを増やし、その周囲に響かせる必要があります。

さらに「社会を良くする」には売れるだけでは不十分です。市場でトップに立ち、法規制や既存の習慣を超えて行く「社会実装」が必要になります。ここは政治ですね。
現在、国よりも大きな影響力を持つと思われる企業は、社会や人類を「再定義」するというようなことを発信していますよね。この再定義を「デザイン」と捉える向きもあります。

さて。
デザイナーは「社会や人類を再定義する」、、そんな仕事をするのでしょうか。
これは起業家の仕事であってデザイナーの仕事ではありません。

デザインは「問題解決」ではあるけれど、「社会・人類の再定義」ではないのです。
この違いは、いまそこにいる人を尊重しているかどうか、です。

「自分以外の誰かを喜ばせる」
この視点をデザイナーは失ってはならないのです。

(つづく

進歩と相違 デザインはフォロー2024年11月27日 16:35

みなさまこんにちは^^

デザインは「問題解決」ではあるけれど、「社会・人類の再定義」ではないというお話を書きました。

「社会・人類の再定義」の背景には、現在の社会はまだまだ発展途上だから、進歩してよりよい社会を作るのだ、という思想があります。
この思想を「進歩主義」といいます。進歩主義は政治思想のひとつですから、起業家が「社会を良くするために政治に干渉して行く」のは自然のことですね。

進歩主義というワードがさす内容は時代や国によって違うのですが、ヨーロッパの啓蒙思想が源流で、文明と非文明を対比し、非文明的社会を「劣っている」と見なしたことが始まりです。

これ、無理解による差別、と今なら言われそうですよね。
実際に、非文明的社会は単なる相違に過ぎず優劣はない、という考え方とそれに基づく学問も盛んで、人類学や大きな影響力を持った「構造主義」はその流れから生まれました。
(以後詳細は専門書を各自でお調べくださいませm(^^)m)

さて、デザインにおいての「問題解決」です。
これは、前回記事の通り、進歩の文脈でも成立します。
しかし、スマホを使いやすくするとか、タクシーをすぐ呼べるとかの「進歩」は、ほとんどの場合「社会の変化によって生じた溝を埋める」ものです。
これは「進歩」というより「フォロー」です。

そう、フォロー。

有名なAppleのMacのコピー「For the rest of us.」は、直訳しますと「私たち以外のために」となりますが、意味するところは「コンピューターに詳しくない人のために」です。これはデザインとマーケティングの目指すところを明確にしていますね。
この事象を追いかけて行くと「社会を良くする」に繋がって行くのですが、コンピューターが普及したことが社会を変えたのは事実だとしても、それが「良くなった」と呼べるかどうかはまだ分かりません。
鎌倉時代の後に戦国の世が来たように、ローマが席巻した後に長く中世が続いたように、改革のあとに「乱世」がくることもあります。

デザインの問題解決は相違を埋めること。
これは、依拠する思想とは関係なく、人間が本来的に持っている性質なのです。

(つづく

デザインの根源「何かに使える?」2024年11月29日 10:29

みなさまこんにちは^^

デザインの問題解決は「相違を埋めること」であり人間が本来的に持っている性質、というお話をしました。

「人間本来」と大きく出ましたので、石器時代に遡ります。

石器は打製石器(石を割って作る)から磨製石器(磨いて作る)とあります。出土の時代性から、最初は割れた石をそのまま用い、つぎに柄を付けて用い、やがて割ったり磨いたして目当ての形を得るようになる、、。
これ、デザインそのものでしょう?

それで、大切なのは割れた石は切れるという「発見」と、それを記憶しておいて「概念化」し、他の場面で用いる「流用」という、それぞれ別の作用が働いているということです。
他にも、「火の近くで干からびた肉は腐らない」を発見し、「腐らない肉」という概念を知り、火の近くで干す以外の様々な保存方法を展開して行く、などなど。
発見を概念化して組み合わせて流用する、これは学問的に「設計の原型」だそうです。設計って日本語でデザインですよね。

この(これって使えるかも?)と思って、経験やものを取っておく行為は、現代の子供たちを観察してもみられます。この性質を強く持ち続けた人が「ブリコルール」になるのでしょう。私自身がこのタイプでした。

この性質は「遊び」の延長です。
人は遊びの中に有用物に至る思考と行動の回路を持っているのです。
(遊びから学ぶのは動物にも見られますね。)

遊びの延長で生まれたものが集団を変え、それを利用して社会的に利用する人が現れる。
これがデザインと進歩の関係性と言えるでしょう。

デザインは遊び。
デザインは楽しい。
お忘れなく^^
dmc.
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