ダメマシンクリニック35【駅内売店のコーヒーマシン:反応失調】2016年07月01日 16:00

こんにちは!

今日は7月1日、企業では下半期や四半期の初日で、異動や新プロジェクトのスタートも多いことでしょうね。暑い夏を吹き飛ばす勢いで参りましょう!

さて、今週のダメマシンクリニックはこちら、JR桜木町駅構内の売店に設置されたコーヒーマシンです。

ダメマシンクリニック35【駅内売店のコーヒーマシン】

35 駅内売店のコーヒーマシン 01
レジから少し離れたスペースに設置されたセルフ式のコーヒーマシンに、大きくダメ出しされていますね。

35 駅内売店のコーヒーマシン 02

35 駅内売店のコーヒーマシン 03

35 駅内売店のコーヒーマシン 04
詳しく見て見ましょう。
1:注意書(ボタンの押し方)
2:表示(使い方)
3:広告(POP)

まず、使い方の表示(2)が控え目ですが、セルフ式コーヒーマシンには、多くの方がお近くのコンビニチェーン店で接していると思いますので、使い方に(購入して自分でマシン操作する)迷う可能性は少ないでしょう。これで十分だということですね。

大きくダメ出しされているのは注意書()です。ここからは、「ボタンを長押ししてしまう利用者がいること」「長押しすると不具合があること」の二つが読み取れます。恐らく、利用者によっては以下の様な状況が起きるのでしょう。

・ボタンを押しても反応がない(もしくは小さい)
→コーヒーの抽出が始まらない(遅い)
→ボタンが押されていないと誤認
→ボタンを再度押す

実際に抽出が始まるまでのタイムラグはありました。このタイムラグが「再度押してすぐ」くらいまでに抽出が始まれば誤操作は少ないと思いますが、気になる方は少なくないでしょう。
特に駅中は全体に急いでいたり、せわしない気分に包まれていますから、急がせるための「強い指示」として、連打(連続して押す)したり長押ししたりする方がいらっしゃるのでしょう。

このボタンを連打したり、キーボードを強く叩いたり、ボリウムを速く回したりといった「強い指示」はよく行われる行為です。誰しも急いでいたり気持ちが入ってしまうと、操作に力を込めてしまいます。
今回は「抽出が始まらない」と誤認することから「早く抽出させたい」という気持ちが呼び起こされ、強い指示としての「長押し」が、誤操作を招いたということでしょう。


【診断】

マシンの操作(=ボタン押下)に対する反応が不足していたため「抽出が始まらない」と誤認させているのが原因ですから、「反応失調」と診断します。


【処方】

では、処方です。
応急処置として表示を改善します。
なお、本マシンは(セルフで使われるためではない)業務用のものを流用していますので、根本的な治療には言及しません。一般的に専用のマシンを使うのが正しい処置でしょう。

処方01:応急処置
表示を以下の様に整理するのがよいでしょう。
・ボタンの周囲に、そのボタンに関わる情報をすべて一つにまとめる
・利用者に関係のない目立つ情報を隠す

35 駅内売店のコーヒーマシン 05

35 駅内売店のコーヒーマシン 06
伝えたいメッセージは「長押しをしてはいけない」とシンプルですが、ボタン(=操作対象)は2ヶ所あります。このボタンはどちらかしか押しませんから、どちらのボタンを押す場合でも、目に入る工夫が必要です。

現状のものが中央に大きく書かれているのは、この「目に入るため」という目的にかなうためですね。
しかし、視野を大きく使う必要があるので、視野が狭くなりがちな急いでいる状況には向いていません。

そこで、ボタン毎に「長押し禁止」を表示して、どちらのボタンを押す場合でも注意書きが目に入るようにします。
また、情報はまとめて整理した方が受け入れられやすいので、メニューもあわせて一つにしてしまいましょう。
それから、右下の黄色い表示は管理情報のようですので、隠してしまいましょう。

これらにより、遠くからでもホットとアイスの二つがあること、どちらかを押せばよいことがわかるようになります。

応急処置にしては凝っていますが、すべて文字だけ(「手」は絵文字フォント)でできていますので、普段からセンスのよいPOPを作られる店員さんにとっては腕の見せ所となってくれるでしょうね。


ところで、本体上部の透明なカバーはこのマシンの持っている「業務用の美味しいコーヒーメーカー」の雰囲気を壊さないように、との配慮を感じます。セルフ専用のマシンを開発することなく、付加価値の高い商品を提供しようとした表れかもしれませんね。
(しかし、表示だけで対処するには限界があることもまた事実なのでした。)


ダメを憎んでマシンを憎まず。
ダメマシンクリニックからは以上です!

No.35
対象:駅中売店のコーヒーメーカー
設置場所:JR桜木町駅構内
報告者:ディーエムシー
報告日:2016.7.1
症例:反応失調
ダメ度:×(表示で対応可)
応急処置:表示修正
治療方針:-


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