ダメマシンクリニック69【スーパーのレジ:エクスキューズ過敏症】2017年04月14日 10:10

みなさま
おはようございます!

さて、今週のダメマシンクリニックはこちら、みなとみらい地区に新しくできた大型スーパーのレジです。E.A.さんよりご報告を頂き、行って参りました。Eさん、ありがとうございます!

ダメマシンクリニック69【スーパーのレジ】

69 スーパーのレジ01
レジマシンの背面にびっしりと、、ダメ出しもあるようですね。

69 スーパーのレジ02
レジの並びには精算機が設置されています。現金による支払いはこちらを使うようになっています。

69 スーパーのレジ03
レジの入り口はこんな感じです。

69 スーパーのレジ04
では、それぞれ詳しくみてみましょう。
まず、レジマシンの背面は、、
1:注意書(専用アプリの使用不可)
2:注意書(レジの袋詰めはしない)
3:案内表示(駐車料金について)
4:誘導表示(支払い方法を告知する)
5:注意および誘導表示(酒類販売について)
6:案内表示(ポイントについて)
7:注意書および案内表示(有料レジ袋・両替不可・返品について)

69 スーパーのレジ05
精算機では、、
8:案内表示(使用方法)

69 スーパーのレジ06
レジの入り口には、、
9:おわび(実習生による不手際)
これはレジ打ちの方とは関係なく、全てのレジで常設されていました。

ふー、、なかなかの量ですね。これら全てに目を通さないとお買い物が出来ないということはないはずですけれど、、。
実際のところ、私自身も何度か利用しましたが、私にとって精算時に必要だった情報は、「現金での精算は別」ということだけでした。
また観察した限りでは、明らかに困っておられる方も、丁寧に読まれている方もお見かけしませんでした。

あらためて、追加表示されている情報を確認してみますと、、
不慣れなこと、出来ないことへのエクスキューズが6点(1・2・5・6・7・9)
お客さんの誘導が2点(4・5)
案内表示が2点(3・7)
となっています。

まだオープンして数ヶ月ですのに、クレームを先回りした表示で埋め尽くされています。顧客は「いつクレームをつけてくるか判らない厄介な相手」という認識があるようです。
さらに「不手際のお詫び(9)」が常設されていることからは、「何があっても文句を言うなよ」という思念がこぼれ出ていて、「クレーマーの相手は懲り懲り!」という悲鳴すら聞こえてくるようです。

しかし、残念ながら大量の文字情報は読んでもらえません。したがって、必ず確認しなければならない肝心な情報(ここでは精算方法)が埋もれてしまっています。さらに「ここはクレームが多い」「対応もきっと悪い」等のネガティブな印象を与えています。


【診断】

事前に告知しておきたい情報への過剰な意識による「エクスキューズ過敏症」と診断します。
この症状には、「しばらく利用者がとどまる空間」「表示しやすい場所」があれば、何かしらの表示をしてしまう、という特徴的な傾向があります。つまり、時間と共に表示が増えてしまいます。


【処方】

では、処方です。
必要な情報を整理します。

処方01:応急処置
応急処置(表示整理)では、優先度の高い「現金での精算は別」という情報が、自然と目に入ってくる方法をとります。
・現金精算機の上に、遠方から視認できる表示を追加する。
・レジ前の表示は無くす。
・精算機の使用方法の案内は残す。

69 スーパーのレジ07

69 スーパーのレジ08
まず、レジに並ぶ前から目に入ることが大切です。精算している人がいれば、その方々の挙動とあわせて流れを掴むことが出来ます。「あー、あそこでお金を払うんだな」という映像的なイメージですね。

あわせてレジ前のエクスキューズをなくして、誘導と案内を整理して表示するのがよいでしょう。この際、情報提示場所についても店内外ひろく勘案してご検討されることをおすすめします。(具体例は割愛します)

なお、悪意のあるクレーマーは経験豊富な専門の方を雇用して対応するのがよいようです。今後スーパーはますます自動化が進むと言われていますから、例えば、レジは全てセルフ化(自動化)し、クレームを含めた個別の対応を専門的に行う人員を数名配置する、などが想起できます。ATM普及時の銀行窓口の運用に似ていますね。

ところで、精算は顧客との重要な接点のため、その品質には配慮されるはずでしょう。程なく普及する「自動化された精算」の品質を考えますと、複数の人員がいる今のうちに、クレームを恐れずに知見をためて置かれることをおすすめします。



ダメを憎んでマシンを憎まず。
ダメマシンクリニックからは以上です!

No.69
対象:スーパーのレジ
設置場所:みなとみらい
報告者:E.A. 有限会社ディーエムシー
報告日:2017.4.13
症例:エクスキューズ過敏症
ダメ度:ー(マシンの問題はない)
応急処置:表示修正
治療方針:このマシンを含めたシステム全体の精密検査による治療計画が必用



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