「型」と「文化」もしくは「カルチャー」2024年08月14日 17:07

みなさまこんにちは^^

芸人さんの話から「型」を学ぶ有用さについてお話ししました。ここで芸人、芸能に話を戻しましょう。

私の趣味のひとつに「高校演劇」があります。年に一度程度の観劇ペースですので、ほぼ全員知らない方たち*が作っています。そうしますと、舞台の上での出来事を予断なく観ることができます。つまり、芝居、脚本、大道具、音響などなど、それぞれの良しあしが見えやすいのです。そういう状態で観ても、完成度が高くなくても惹きつけられる、という経験を何度もしました。

完成度とは別の魅力として実際に経験したのは、、

1脚本が素晴らしく、芝居がいまいちでも、最後まで面白かった。

2際立つ演者の芝居で、凡庸になりがちな話を特別なものに感じた。

3集団のエネルギーや世界観が、作品を超えた迫ってきた。

大きくは上の三つに集約されます。

1は脚本の力です。
物語、世界観、メッセージ、、いろいろとありますが、「筆の力」ってやつですね。

2は演者の力量です。
時々すごい高校生がいます。ご本人のキャラクターと脚本との相性がいいと思うことも多いです。

3は集団の持つ力ですので、もう少し複合的です。
部員数が多く迫力がある、凝った舞台装置や衣装、音響、仕掛けで商業演劇に迫る、繰り返し描いてきたテーマで練度が高い、などなどです。そして多くは、その学校が世代を超えて継承している特徴であることが多いと見受けられます。

ここで今日のテーマ「型」「文化/カルチャー」の視点で見てみますと、1、2、3にはどれも型がありそうです。しかし「文化/カルチャー」は3をさすでしょう。
当然ですけれど、「文化/カルチャー」は集団に宿るものなのです。

1、2の型は独学で高みに行けそうですが、3は集団に入らないと体感できない。**

これ、改めて面白いなと思います。

話を芸人や芸能の世界に戻します。かの方々には「師弟」というものがありますね。弟子入りとは師匠を通じたカルチャーを持つ集団への参加、とみることもできそう。
師匠を持たない芸人さんも多いですが、それでも周囲の方々とカルチャーを形成しています。

話変わりまして、最近、技術やそれを含む文化の継承の方法として、、

誰でも簡単にわかりやすくかみ砕いたものから教えていき、最後はエキスパートになるルート。オープンで近代的な方法。

最初はマスター(師匠)に付随して説明なく下働きから始めるルート。伝統的な師弟。

のふたつを対比した時、カルチャー全体の継承と発展という視点からすると「2」の方が優れているのでは、という研究がされているそうです。
私は即座に「守破離」を思い出しました。

カルチャーを体感し型を覚えた先にあるもの。短い寿命の中で高みに至る一つの王道かもしれません。

※全国大会常連校でも、同じ生徒が二年連続で舞台に立つことはごく稀です。これは予選に二年を費やすという高校演劇独特のレギュレーションによります。

※実際には、脚本にも芝居にもカルチャーを持つ集団があるので、そこを求めれば体感できます。それがその高校の演劇部にある可能性もあるでしょう。

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