BOP x 町工場2012年05月15日 23:59

成長著しいBRICsが注目を集めて久しいですが、とりわけ中国、インドは日本とのかかわりも大きく、デザインの現場でも耳目にする事が多いです。そしてここ数年、話題に上り始めたのがアフリカです。
中国インドに次ぐ投資対象としての可能性だけでなく、BOP(ボトムオブピラミッド)と呼ばれる、経済的には小規模ながら人口的には90%を越える人々とその方々の暮らす地域の問題解決において、そのデザインが一役かっているのですね。
2010年には「世界を変えるデザイン展」が行われましたので、BOPとデザインについてご存知の方も多いと思います。

しかし、中国は主要民族が10少数民族が55以上あり、インドは共通語の他に21の公用語があり、アフリカは56ヶ国と、それぞれ民族宗教言語で細分化されたローカルの集合と言えそうです。
これらの地域をひと括りの大きな市場と捉えて参入することの難しさは、日本大手企業の中国、東南アジア、インドへの進出の際の数多のエピソードからも拝察されます。

一昨年、私たちがチャレンジしたBOP向けデザイン開発に際しては(水や燃料といった共通の悩みが最優先されるのは当然のこととして)、それらの地域毎に異なる必然性の高いローカルな課題を、個々のプロダクトの開発案件として落とし込むとともに、現地で継続性のあるビジネスモデルと結びつけて行く必要があると感じていました。

一方、日本のものづくりの現場はメーカーとしての独立に挑戦しているところも多いながら、日本の市場自体が縮小と統合の段階であるため、成果が非常に出難い状況となっているようです。欧米の成熟市場への挑戦においても、最先端の技術を持つごく一部の企業以外は日本ブランド(日本であるということ)以外の決め手に欠いてしまうことも多いと聞いています。

また規模の大小に関わらず、世界的な視野で継続性のあるビジネススタイルが求められていることもあり、地域間格差を利用したビジネスは、中長期では現地ローカル企業に分があるといえそうです。

そこで、BOP地域の中で、恐らく虫食い状に点在するその地域ならではの開発課題を日本の中小企業がイノベーションの種として共有し、ソリューションを提供するリレーションをイメージします。
それぞれのソリューションは、開発を日本、調査生産販売サービスを(可能な限り)現地で行い、現地の経済と労働環境に与しながら、世界で闘えるものを作って行くことはできないか、、そんなことを夢想しています。
dmc.
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