一般に「シンプル」という言葉は、「要素が整理されている様子」を表していると思います。私自身もその意味で使っています。
しかし商品やデザインを評する場合には、以前から「簡単」という意味あいでも使われていまして、それは「簡素な操作系」が簡単さをイメージさせるからだと思います。

以前、ものと人について「ユーザーが複雑さを多く引受けることは、より使いやすくなること」であり、またその結果、道具は視覚的には「シンプル」→「複雑」→「シンプル」と推移すると書きました。
この過程をなぞりますと、一見複雑なものも簡単に扱える事をもって「シンプル」と感じられるようになります。（iPhoneのように）

複雑なことを簡単に出来る事は素晴らしい事ですね。
ただ、少々困った事に「シンプル」の意味が広がってしまいました。（その結果行き違うという場面を幾つか拝見しております。）
とはいえ言葉は移ろうものですし、「かわいく」「かっこよく」等と同じく「どんなシンプルさか」に思いを進めれば良いので問題はありませんけれどね。

デジタル大辞泉の解説：シンプル【simple】
http://kotobank.jp/word/%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%83%97%E3%83%AB

過去記事：複雑さを引き受ける
http://dmc.asablo.jp/blog/2012/09/12/