書体ハント@ミュンヘン その1-看板- ― 2018年04月03日 14:56
3月前半、先週までの-15℃から一気に温かくなったタイミングで訪れたミュンヘンは、冷たい風の中にも爽やかさをまとう気持ちのいいところで、飛行場から宿に着くまでの短い間にも、町並みやすれ違う人々から落ち着きが感じられます。
日を重ねてみますと、信用乗車方式(信用改札とも)で運賃も統一された快適な交通網からは、徹底した「合理性と利便性への本気]を、駅前の書店や日曜日に店が閉まるスーパーからは、「便利さで失うものへのセンス」を感じさせます。
成熟とそれを守る制度があってのことではありますが、暮らす人々の無意識にまで根を下ろした感性に敬服いたしました。
そんな風に感じ入りますと、何気なく見かけるディテール全てが気になって参ります。そこで、ここでは文字たちに的を絞ってご紹介しようと思います。
まずはお店や施設の看板たち。新旧彫刻手描きネオンなどおりまぜまして、一気にどうぞ。
老舗ブロイハウス(醸造所)。素朴で力強い。
ご存知パウラナー(白ビールの有名ブランド)のマークの下に店名が入るもの。
大分趣は異なりますが、日本ならビール銘柄が大きく書かれたスナックの看板みたいなものでしょうか。
同様にビールのマーク(左下)が入った看板ですが、レストラン名の方が大きく書体も少しモダンに。
ホテルの路地側に出している看板。錆も味になっています。
ここはミュンヘンからさらに南のOberammergau(オーバーアマガウ村)という観光地のカフェ。このカリグラフ風の書体は沢山使われていました。
ミュンヘンのビアホール。書体と外形に統一感。
ハッカーブロイ(ハッカー醸造所)の店内(かつては裏路地だった場所に屋根が付けらた席)にれかけられた古いマーク。この飾りっけの無い文字が1417年にあったとは思えませんが、斧のマークとうまくマッチしています。
看板は往来の人から見えるように道路につき出していて、正面には直接刻印してあるお店が多かったです。ここは大きな間口がいくつもあり、一般名であるレストランも堂々と彫られていました。
ここも彫刻された文字と突き出した看板の組み合わせですが、広場の奥なので、突き出した看板もこちらを向いています。
窓上に彫刻文字もよく見かけました。「H」「A」が特徴的。
広い通りには壁面に手描きの大看板。上にはビールのマーク、下には本日のメニューがあります。
ここは広場に面した立派なテラス席のある有名な老舗なのですが、近年の改装でモダンに生まれ変わった、とのこと。
派手なネオンは少なかったです。
ふたたびオーバーアマガウ周辺。壁画が伝統だそうです。
この文字はわざと崩しているのかもしれません。
アールデコ調の文字もありました。
裏口みたいなドアに見応えのある書き文字。しびれました。
こちらはNeuschwanstein(ノイシュバンシュタイン)城近くのカフェ。これも美しかったです。
三度ミュンヘン、お肉屋さんの店名。伝統を守る姿勢が充分に伝わって参ります。
上のお肉屋さんの近く。ビールの銘柄がオリジナルと違うバランスでデザインされています。いいのかしら。
いいみたいです。
提供された立て看板に手描きのメニュー。このスタイルもあちこちで見かけました。
公共物に使用されている文字やサインなどは「その2」で近々紹介します。乞うご期待!
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