ダメマシンクリニック03【カフェのトイレ:優先順位障害】 ― 2015年11月23日 23:15
ダメマシンクリニック、次の症例はこちらです。
N.U.さんからご投稿頂きました、カフェのトイレの操作パネルです。
Nさん、ありがとうございます!
投稿内容はこちら(写真とも)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー面白いです!
そんなに困ってはいないのですが、最近見つけたダメマシ ーンを診て頂いても良いですか?
関内のカフェのトイレです。
お店の人がすごく困っている様なので。。。
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関内のカフェのトイレです。
お店の人がすごく困っている様なので。。。
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投稿して下さったNさんは、「お店の人が困っていそう」ということをこの「ダメ出し」から感じられたのですね。私も感じます。
ダメマシン03【カフェのトイレ】
詳しく見て見ましょう。(見やすいよう写真の色味を調整しました。)
1〜2:ボタンの位置
3:ボタンを強調
4:ボタンの説明
5:ボタンの位置
ボタン近くに位置を示して(1,2)みたり、表示場所を工夫して(5)みたり、赤く塗って(3)みたり、それを説明して(4)みたり、、これだけ沢山「流しボタン」を表示していると言うことは、相当のクレームがあった事と推察出来ます。(本当、お疲れさまです。)
しかし、表示が多いことが必ずしも改善に繋がる訳でもなく、、位置表示は前面の「止める」ボタンにミスリードしているようですし、赤いボタンの説明がやや離れているため、何についてなのかすぐには判りづらい状況になっています。
ボタンの内容に注目して見ますと、「流しボタン」と「お尻洗浄ボタン」の2種類に分けられそうです。
必ず使うはずの「流しボタン」と使わない人もいる「お尻洗浄ボタン」が同列に並び、かつ、必ず使う方の流しボタンが目立たなくなっています。
【診断】
必須操作であり優先度の高いものが他よりも目立たなくなっていますので「優先順位障害」と診断とます。
【処方】
では、処方です。
優先順位に従った表示を計画します。
処方01:表示の応急処置
応急処置(追加表示)では、以下の様にするのがよいでしょう。
・「流しボタン」を他のボタンと区別させる。
・「流しボタン」を他のボタンより目立たせる。
目立たない上面に小さく配置されていますので、今回は応急処置としては少し難易度が高いです。
大きめなL字の表示部を用意し、「流しボタンの領域」を大きく見せ、その中に表示を描き込みます。確実な誘導を行うために表示(大/小)に「▼」を加え、ボタンの位置と一直線になるように配置するとよいでしょう。(なお、外国人の利用が多い場合は、英語の併記があるとより良いでしょう。)
さて、そもそもなぜこのような「わざわざ流すボタンの優先順位を下げる」ボタン配置になったのか、、という疑問が湧いて参ります。
例えば、自動水洗機能がある場合を想定しますと、「流すボタン」の優先度が下がると考えた。
また例えば、非常に小さな範囲で多数のボタンを配置する必要があると考えた。(なぜその必要があったのかは定かではありません。)
いずれにしても、「流すボタンを小さくする理由」としては決定的とはいえません。
さらに、上面と前面に操作ボタンがある場合、距離が近いと誤操作を誘発しやすいです。また、一般的には上面と前面のボタンのカテゴリーは分ける方が使いやすいのですが、「お尻洗浄」ボタンが両方に配置されています。
疑問は深まるばかりです。。
処方02:精密検査
さて、根本的な改善が必要なのは間違いなさそうです。しかしそのためには情報が不足していますので、治療方針を立てる前に再検査の必要ありと言えるでしょう。
【参考事案】
01:ウォシュレットの使用頻度は?
・・・ところで、独断的にお尻洗浄を「使わない人もいる」と書きましたが、どのくらいの割合なのでしょうね?ざっと検索して見ますと以下の記事がヒットしました。
2008年08月19日付:「不衛生」「怖い」……温水洗浄便座への意識で男女に違い
ここでは25.5%の方が不潔などを理由に「使わない」と回答しています。4人に一人ですね。カフェのような不特定多数が使う場所ですと、使わない人の割合はもう少し増えるかもしれません。
なお、身近な10代女性3人に聞いたところ、「使わない」と答えました。まわりも使ってないと思う、と。ご参考まで。。
02:流すボタンのデザイン
一般的な形態であるレバーを用いていないデザインの、興味深い例を一つご紹介します。
ベネツィアのホテルにありました。
ボタン形状で機能を表しています。大きく見えていて他に情報がないため、これがトイレを流すボタンだということは容易に見てとれました。
他言語の利用者も多いと思われる国際的な観光地ですから、ちょっと気のきいたデザインが嬉しくなりますね。
ダメを憎んでマシンを憎まず。
ダメマシンクリニックからは以上です!
No.: 03
対象:カフェのトイレ
設置場所:横浜関内のカフェ
報告者:N.U.さん
報告日:2015.11.21
症例:優先順位障害
ダメ度:××××(マシンの意図の確認が困難)
応急処置:表示位置修正
治療方針:要精密検査
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個別にデザインを相談したい場合はご連絡下さい。最優先で対処させて頂きます。
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