ダメマシンクリニック18【飛行機の肘掛けの操作部:配置不全】 ― 2016年03月04日 07:07
おはようございます!
先日「ブログ面白いですね!」とお声をかけて頂きました。
ありがとうございます!嬉しいですね、励みになります。
もしどこかでダメ出しされているマシンを見かけたら、ぜひご投稿くださいませ。お待ちしております。
さてダメマシンクリニック、次の症例はこちらです。
今回はM.H.さんの知人からご投稿頂きました、飛行機の肘掛けの操作部です。
Mさん、ありがとうございます!
投稿内容はこちら(抜粋・写真とも)
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【飛行機の肘掛けの操作部】
肘置きにこんなものをつけたら、知らず知らずボタンを押してまう。CAさんを呼んでしまう。触らないようにしなければならないなら、なんのための肘置きなのか?デザイン上の致命的欠陥だと思う。
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こちらのマシン、管理者からダメだしされてはおりませんが、Mさんの知人が実際に遭遇した状況から、加療が必要と判断します。
ダメマシン18【飛行機の肘掛けの操作部】
確認して見ますと、JALの普通席(エコノミー)でした。2015年にリニューアルしたものです。
JALのサイトから。
このエコノミーシートに肘を掛けている写真がありました。確かにちょっと窮屈そうですね。上のクラス(Jクラス)の写真では、操作部は肘掛けの側面にあります。これは昔ながらのレイアウトですね。
改めて見て見ましょう。
肘掛けをはね上げた状態でも使えるよう、同じ操作パネルが裏側にも取付けてあります。
そして、コールボタンだけ僅かながら段差を深くしてあります。この段差がどの程度誤作動(誤って押してしまうこと)を防いでいるのかは不明ですが、「肘掛けにボタンを配置することで誤作動を誘発する可能性」を認識している可能性が高いと言えるでしょう。
この段差が僅かなため、実際には誤動作を防止していたとしても、「押さないように注意しなければならない」という思いを抱かせてしまっています。肘掛けを使う時にリラックスできない、というのは少なからず矛盾を感じさせますね。
さて、ここからは推測の域を出ませんが、なぜ、この位置に設置しているのかを考察して見ます。
まず、Jクラスの写真から、共通の操作パネルを使用していることが確認出来ます。(ひとつ上の肘をかけている写真の、肘のすぐ下にあるバネルは違うモノのようにも見えますが、サイトにある他の写真を見ると全て共通のようでした。念のため。)
次に、エコノミーの肘掛けの側面にバネルを設置する場合、ジャックの位置との関係からかなり後方になってしまい、これはこれで使いにくそうですね。もしかしたら入るスペースそのものがとれないかもしれません。
これらのことから、たとえコスト面で不利になっても肘掛けの上下にパネルを設置する方法が採用されたと推察されます。
【診断】
利用者に緊張を強いる配置になっていますので「配置不全」と診断とます。
【処方】
では、処方です。
ここでは、現状と同じ条件を守りながら最善の策を講じます。
条件とは、、
・エコノミーとJクラスは同じパネルを使う。
・肘掛けの上下面に設置する。
・パネルのサイズや製造方法を大きく変えない。
の3点です。
処方01:治療
表示の問題ではないので応急処置は施しません。
メーカーにて以下の様にするのがよいでしょう。
・コールボタンの位置を肘先から遠ざける。
・段差を深くする。
誤操作の影響の大きい「コールボタン」のセット(「・」はコールのリセットボタンです)を、間違えて押してしまいそうな肘先から一番遠い前方に移動させます。
そして、コールボタンの段差を明示的に深くします。これは「誤操作してしまう」という不安を取り除くための処置でもあります。
パネルが肘掛けにあるかぎり、誤動作の不安は拭い切れませんが、自己完結しているオーディオ関連と比較すると、コールボタンの誤操作は他者を巻き込んでしまいます。てせすから、コールボタンの不安を優先して取り除くことが大切です。
また、この段差はJクラスのような側面配置でも有効な配慮といえますが、あまり押しにくくならないようバランスをとる必要があるでしょう。
なお、条件設定によって(例えばジャックと操作パネルを一体化するなど)は、肘掛けの側面に配置するデザインも可能でしょう。念のため申し添えておきます。
ダメを憎んでマシンを憎まず。
ダメマシンクリニックからは以上です!
No.: 10
対象:飛行機の肘掛けの操作パネル
設置場所:国内線の飛行機内(JALエコノミークラス)
報告者:M.H.さん
報告日:2016.3.4
症例:配置不全
ダメ度:××(メーカーで設計変更が必用)
応急処置:なし
治療方針:外科「配置変更」
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