書体ハント@ミュンヘン その2-公共・交通- ― 2018年04月04日 10:10
引き続きましてミュンヘンの文字たち、今回は公共の表示や注意書きと交通機関周辺です。早速どうぞ。
「新市庁舎」の大きなドアの上に彫られた金文字は威厳があります。
ニュンヘンブルク城の案内板。そっけないほどにすっきりしたサンセリフ(ヒゲやハネのない書体)。
こちら街中の公園には小さめ白文字のビジネス風。子供の遊具が並ぶ公園でもサインはすっきり。
公園の端に設置された古着のリサイクルボックス。セリフ(ヒゲやハネ)のついた太文字。左のベージュのものは素材と色で細かく別れたリサイクルボックスで、これがずらりと並んでおりました。
電線を見かけない街ですから、横断歩道脇の箱は電源関係の設備でしょうか。管理番号と思われるパネルは、他で見てきたものの主張具合からしますと少し強く感じました。遠くから視認する必要があるのかもしれませんね。
工事現場の注意書き。タイトル部分の書体がユニークです。マーク、アイコン類は省略は中程度、デフォルメは強め、面と線の対比が激しいのが特徴的です。
「致命的な高電圧に注意」だそうです。致命的な割にさりげない、と感じるのは日本人の感覚なのでしょうね。
石畳に設置された30cm角くらいの鉄蓋です。Fernwärmeは「地域暖房」ですって。
反射素材を縫いつけた文字は太いサンセリフで、暗闇の中でも大変見やすいものです。
広場の政治集会を警察官がやや遠巻きに取り囲み、一人一人の顔がよく判るようにビデオを回していました。
地下鉄の駅名は細めのサンセリフ。大文字の「O」の縦長で丸いフォルムや、小文字の「y」「t」の先端が真っ直ぐ開いたままの字画が特徴的です。
同じ駅の案内板。おや、フォルムが微妙に違いますね。書き文字のタッチを残した太めのサンセリフで、小文字の「l」「y」の字画の先端が曲がっていますし「i」は縦線の上端にヒゲがついています。
これは新旧の書体が混ざってしまっているのでしょうか?京浜急行などでもみられましたが、段階的な掛け替えの最中なのかもしれません。
打刻器。信用乗車方式と呼ばれる改札のないシステムは、乗客が自分で切符に打刻します。駅の案内板と同じでした。こちらが新しい書体のようです。
トラム(路面電車)の行き先はLEDのドットマトリクス。「1」や「t」などに識別性への配慮を感じます。
トラムストップ(停留所)の案内板は液晶のドットマトリクス。解像度が低いので書き分けやすい大文字になっています。
やや古い型の車両のトラム内のドアボタン。縦長の極太文字を光らせた上にコントラストも高くないので潰れて見えます。新しい車両にはありませんでした。
市内の路名案内は街並みに似合うクラシカルなものでした。
こちらはノイシュバンシュタイン城に上る坂道のもの。視認性の良いしっかりしたサンセリフです。
こちらはオーバーアマガウ村の車両用の道路案内。小さめの文字でやや雑然とした印象です。
公共文字の主流はやはりサンセリフでしたが、統一された、もしくはデファクトスタンダード的な書体がないようです。それでもそれほどノイジーな印象はありませんでした。
これは日本人の私の書体への感性が鈍いからなのか、それともドイツ人はこれ(統一されていないこと)を嫌っているのか。機会があったら確かめてみましょう。
あともう1回続きます。
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