「VWFNDR™ファインダー」みてきました2024年04月22日 18:05

デザインとカメラのどちらもお好きな皆さまこんばんは^^

カメラのUX、UI、プロダクトを包括的にデザインしたという「VWFNDR™ファインダー

VWFNDRファインダー

VWFNDRファインダー

VWFNDRファインダー
局面ディスプレイにはデモ映像が。
画面がフラットなワークモデルもありました。スムーズではなかったけれど、「こう使いたい!」をはっきりと提示しています。触れるってすごい伝達力。

VWFNDRファインダー
奥の一段あがった所にはモック画並べてあってイメージ映像が架かっています。

VWFNDRファインダー

たまたま東京に集まった多国籍のデザイナーとエンジニアが、今のスマホのカメラは面白くないよね、デジカメもいまいちだよね、とスマホの様に扱えるカメラを作って見よう、ということで作ったそう。
資金調達まではきけなかったけど、モデル作って基盤も起こしてプログラムも書いてきちんと提示してらっしゃる。

「スマホの様に扱えるカメラ」は各メーカー意識したり挑戦していたと思うけれど、スマホと棲み分けている現状はそれなりに理由があっての事と思います。それでも、自分たちの気付きを体験を含めた形(UX・UIを含むプロダクト)にする。アプローチもアウトプットも懐かしい感じもしつつとても新鮮。やっぱり「モノ」であることの力というものがある思います。デザインのど真ん中を行く。頼もしいです。

UX・UI・プロダクト2024年04月24日 16:23

デザインで飛躍を企む皆さまこんにちは^^

先日みてきた「VWFNDR™ファインダー」は、写真を撮る行為・経験を、UX・UI・プロダクトを包括的にデザインするものでした。客観的には「スマホの様に使えるデジカメ」なのでしょう。でもその呼び方では大事なところが抜け落ちる気がします。彼らの言う「カメラが写真を取るのではなく人が写真にする」「楽しさと魔法を取り戻す」は、当事者性を強く意識しないと出てこないナラティブな言葉です。

VWFNDRファインダー

デザイナーの「当事者としての気付き」を元に開発のプロセスを進めて行くというのは「デザイン思考」と呼ばれるメソッドで有名になりました。
まあ、「思考」をつけなくてもデザインそのものなんですけれど、「思考」とつけることで当事者性を帯びますものね。余談。

実はデザインでとても大事なのがこの「当事者性」です。当事者なんだから、UXだUIだプロダクトだとたてわけることよりも、出来上がったものが素晴らしいかどうか。ここだけが大切なのです。ですから、デザインは包括的に進めた方が良いものになりやすいんです。ピュアな話です。

ところが、ひとつひとつは専門性が高いため職業的に分業が進んで行くのも当然で、エンジニアもデザイナーも細分化されています。細分化された中で訓練を積まないと到達出来ない技量というのもあります。

あるものの発展段階では細分化個別深化が優性になり、成熟期に移行する段階で個別深化したものが包括されていく流れが生じる、というのが一般的です。
この道程に対して、一足飛びに包括的に全方位深化させるというスタイルがあります。これはApple、Teslaが示してきた事例ですね。これは意志と技術と資金と運、それら全てがそろわないと難しいと思います。やれたらかっこいいですけれどね。

ここで大事なこと。個別深化の段階でできた分業体制で成熟商品をデザインするのはダメなのか、ということ。もちろんダメではありません。そのための工夫が「当事者性の共有」です。デザイナーの当事者目線での包括的なチェックを活用することで、分業の良い所をいかしながら、より市場にフィットしたものにアップデートしていきましょう。

包括的なデザインのよしあし:分業でも完成度が上がる方法とは2024年04月26日 09:18

デザインで飛躍を企む皆さまこんにちは^^

先週末から「包括的なデザイン」について思う(思い出す)ことがいくつかあります。
「デザイン思考」「アジャイル」あたりはよく耳にしましたし、成果もあがっていましたね。私の理解では包括的に短期間で完成度(満足度)の高い問題解決を図る方法、です。
良い事づくめですね。であれば、もっと普及すると思いますが、そうでもなかったようです。光もあれば影もある、ということで一度整理して見ます。

メリット
一貫性の確保:
 ビジュアルやフィールの一貫性が保たれ、全体のデザインが調和する。一貫性はブランド認識を向上させる。
効率の向上:
 各段階ごとの調整や修正が減少するため、プロジェクトのタイムラインを短縮し、効率を向上させる。一貫したディレクションのもと、迅速な意思決定が可能になる。
完成度・満足度:
 完成形からつくられるため、視覚的な要素とインタラクティブな要素、ハードウェアとソフトウェア、製品とウェブサイトなどが同時につくられる。これは、ユーザーにとってより使いやすく、満足度が高い魅力的なプロダクトとなる。

デメリット
リソースの要求レベル:
 各分野に高いスキルを持った複数の専門家の協力が必要となり、プロジェクトのリソースに対する要求が増大する。
複雑さの増加:
 各要素が密接に連動しているため、一つの変更が他の部分に波及しやすく、プロジェクトの管理が複雑になる。これにより、調整とコミュニケーションの負担が増える。
柔軟性の制限:
 初期段階から具体的なスタイルを想定するため、後のフェーズでの変更が困難になりやすい。特にユーザーのフィードバックや市場の変化に迅速に対応する必要がある場合に制約となる。

ざっくりまとめますと、包括的に進めれば早く良いものが出来るが、コストがかかり柔軟な対応もしにくい、と言えそうです。

監督とプレイヤー
包括的なデザインには、チームスポーツにおける「監督」の明確なビジョンがある事も大切です。プレイヤーは監督のビジョン、スタイルを理解してプレイする、ということですね。短期間で成果を出すために、ビジョンを可視化して共有して行くプロセスが必須となります。これ、言うのは簡単だけど実効性をもってやるのってなかなか難しいことです。(どんな仕事でもそうだと言われそうです)

このビジョンが[共有はされているが明文化されていない]、という現場もあるかもしれません。それでもビジョン、モノづくりにおいてはコンセプトがまったくない、ということもないでしょう。(たとえその内容がチープなものだとしても)
役割やアクセス出来る情報によっては共有されたビジョン、コンセプトを推測するのは難しいかもしれません。そこで、情報にアクセス出来る人は可能な限り共有して第一に考える事。また、限られた情報しかなくても仮説を立てて見る事。これが分業であっても完成度を上げるコツです。困った時はどうぞビジョン、コンセプトを確認する行程を考慮してみてください。

シンプルというより、「ピュア」2024年04月29日 10:31

使いやすくて魅力的なデザインを企む皆さまこんにちは^^

以前、「シンプルなデザインにも攻めと守りの二通りある」というお話をしました。
守備的に多くの人の支持を得ようとするスタンスと、メッセージとを単純にして積極的に伝えて行こうとするスタンスです。
そして、攻めと守りを行き来しながら、多くの方に受け入れられる特徴のはっきり伝わる形を求めて行くのですね。

こうして出来上がった「シンプル」が、ありふれた「シンプル」と一線を画す個性を獲得します。この違いについては、現場でも何度も議論してきました。両者が違うことはたやすく共有出来ます。ただ、時間の経過と共にぼやける事もしばしば。言葉が同じだからかもしれません。

そこで、このつき詰めたシンプルを「ピュア」と呼ぶ事にしました。これはアルマーニ氏が使っていたワードから頂いたものです。

いま開発されてる製品を「ピュアなものにする」。より研ぎ澄まされた印象を共有出来たら嬉しいです。
ぜひ「ピュア」を目指してみてください。
dmc.
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
「デザインの言葉」 by Fumiaki Kono is licensed under a Creative Commons 表示 - 継承 3.0 非移植 License.