「共時性の技術」 アフォーダンスとノスタルジー2011年10月13日 23:59

ユーザーインターフェイスのデザインをしていますと、どんな物事がユーザーの動作を誘うのか、ということがとても重要な事です。それはギブソンと言う先達の造語で「アフォーダンス」と呼ばれていて、「椅子は座る事をアフォードしている」といった使い方をする形態と人間の動作の関係を結びつける言葉です。

このアフォーダンス、人間共通の本然的なものとして理解されているのですが、私の拙い経験の範囲でも変化している事を実感出来ます。そのことはこちらでも何回か紹介させて頂きました。(下記過去記事をご参照下さい。)

話は飛びますが、ノスタルジー(郷愁)は、洞窟や夕陽のような人類という生物学的なフェーズのもの、里山にカラスといった国や文化といった人類学的なフェーズのもの、すり切れたジーンズなら個人的なフェーズのもの、と大きく三種類に分けた方がいました。
なお、商品として発想するなら第二と第三のフェーズの間が狙い目であることが「MINI」の成功からも伺えます。

アフォーダンスも恐らく、この3つのフェーズがあると言い切っていいでしょう。
つまり、普遍的なものからごく個人的な事まであると考えるのが自然で、その上でどのフェーズのアフォーダンスを用いるのが最適なのかを考えるべきなのでしょう。
例えば画面に点滅する■を提示された時、何かコマンドを入れたくなる人とそうでない人の差が大きいように、ですね。

アフォーダンスもノスタルジーも、人と対象との間の「共通基盤」です。共通基盤とは、コミュニケーションが成立するための背景理解で、「文脈(コンテキスト)」「ローカリゼーション」「ロボット」といった技術のホットな課題も、ここの問題と言えるものだそうです。

このことは、共通基盤は、対象が自然、システム、人、、とどのような相手であっても、もう一方の人間との共時性の大切さを示しています。当然と言えば当然ですね。
この共時性を技術として捉えようという試みも既に沢山行われていることでしょう。UIデザインをさせて頂くにあたり、この技術をもっと知らなくてはと思っています。

過去記事:UIが拓く
http://dmc.asablo.jp/blog/2010/07/13/
過去記事:素材の意味
http://dmc.asablo.jp/blog/2011/02/08/

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