みなさま
こんにちは!
昨日、電線写真好きが高じたせいでしょうか、電柱を拾いました・・・本当です!
正しくは木製電柱の一端、1.2mほどが砂浜に打ち上げられておりました。中庭に柱を立てようと思っていたので、思わぬ収穫となりましたです。今は担いだ肩が痛いです(笑
さてさて、今週もダメマシンを見てまいりましょう。
今回はY.F.さんからご投稿頂きました、商業施設のトイレに設置されたベビーキープです。
Yさん、ありがとうございます!
投稿内容はこちら(抜粋・写真とも)
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【外出先トイレのベビーキープ】
人間の根幹に関わる皆が等しく使用する部屋の設計について、ぜひ全国規模でデザインを見直していただきたく、力一杯要望いたします。
その部屋とは外出先のトイレです。
子連れで外出する際、大変役に立つのがこちらの「ベビーキープ」と言われる椅子のような形をした器具です。
近年この器具の設置が進んだおかけで、幼子と二人連れでもトイレが利用でき、外出が安心になりました。
ただ、その設置位置が、大変問題です。
多くのベビーキープが扉のとなり、しかも容易にカギに手が届く場所に設置されています。
暇を持て余した幼児に遊んでくださいと言わんばかりの場所です。
言葉にするまでもないですが、親はその時かなり無防備な状態ですので、制止することもできず、ゆっくりと扉が開いていくのを情けない気持ちで見守るしかない状況です。
こんなことでは安心してトイレを利用できません。
腹立たしいのは、このベビーキープを設置したことで、このトイレがまるで「子育てに優しい配慮」をしているかのような顔をしていることです。
さらに、このような配置をなされて入りトイレが、比較的新しい施設でも散見されるのも如何なものかと思っています。
誰が何のためにどんな状況で使うのか、利用者のことを想像せずに、トイレという使用頻度の高い施設がデザインされ続けていることに悲しい思いをしています。
これは1年前の写真です。
写っているのは同一人物です。
悲惨なのは、ロックの仕組みです。
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>言葉にするまでもないですが、親はその時かなり無防備な状態ですので、
>制止することもできず、ゆっくりと扉が開いていくのを情けない気持ちで
>見守るしかない状況です。
お察ししてあまりあるご状況ですね。加療せずに放置してはなりません。早速見てみましょう。
Yさんが書かれてらっしゃいますが、好奇心旺盛な年代のお子さんの多くが手を伸ばしたくなるポジションです。「いじっちゃダメ!」と叫んでも、その声さえ愉快なお年ごろですものね。
さらにこちらは手かざしセンサータイプ。光と音はさらに好奇心を刺激します。
【診断】
ベビーキープの設置位置により回避できますので「誤設」と診断します。
また、他に設置できない「空間的制約のあるトイレ」の可能性も考慮して「空間失調」を併記しておきます。
【処方】
では処方です。
処方01:応急処置
応急処置ではありますが、表示だけでは対応できませんので、物理的にロックが外れない手段を講じましょう。
すでにクリニック宛にM.K.さんから二つの事例をご紹介頂いておりまして、そちらをご紹介させて頂きます。
Mさん、ありがとうございます!
1件目はこちら、東北道の羽生パーキングにて「感激のあまり」写真に収めたとのことです。いかに困ってらっしゃったか、そしてこの対策がいかに素晴らしいかが伝わる写真とコメントですね。
もともとのロックとは別の、子供の手の届かない位置にロックを増設し、注意書きを添えいます。
この方法は「子供のいたずらを容認している」ということ、「不要な人には特段の影響がない」という二点で大変素晴らしいですね。
しかしYさんの二枚目の写真のような「自動ドア」の場合はどうでしょう?後付けのロックが自動ドアの運用に支障をきたす可能性があります。
処方02:応急処置(別の方法)
処方01の方法がとれない場合、やむを得ませんが「子供のいたずらをガードする」対策をしましょう。
センサーの反応範囲を囲ったガードを設け、子供の手が触っても反応しないようにします。
これは利用者すべてにやや不便を強いる方法ですので、できるだけ避けたいところです。
この様に見てきますと「表示で対応するという方法が、いかに利用者を限定しているのか」がよくわかる事例ですね。UIデザインをよりよくするために「表示に頼らないデザイン」をぜひに、と願ってやみません。
処方03:治療
空間が許す限り、ベビーキープの設置位置を変更します。
Mさんの二件目の写真をご紹介します。
上河内サービスエリアにて。
ドアから遠いのでロックをいたずらされる心配ありません。
フラッシュボタンやトイレットペーパーが近くにありますが、保護者の手も届く範囲ですし、またもしいたずらされても影響が狭い範囲で収まりまから、保護者の負担は軽いと考えていいでしょう。
まとめです。
上図のような「縦レイアウト」ではベビーキープは必然的に入り口側になります。このとき、ドアのロック側では「ロックをいたずらされる」リスクを、ドアのヒンジ側では「ドアに体や指を挟まれる」リスクがあります。どちらを優先するかで考えますと、やはり「ロック側に設置」が順当なのでしょうね。
従いまして、ベビーキープの設置は、、
・縦レイアウト:ドアのロック側に設置して別途ロックを増設(処方01)
・縦レイアウト+自動ドア:ドアのロック側に設置してガードを設置(処方02)
・横レイアウト:奥側に設置(処方03)
本来私たちは、狭い空間や人の心理を活かすのが巧いと言われておりました。しかしこのような歯がゆさに遭遇する機会が増えているのはなぜなのでしょう。もしそれが、「余裕の無さ」が背景にあるのだとしたら、、。子供たちの「好奇心で手を出す姿」こそ失ってはいけないものなのかもしれませんね。
また余談ですが、トイレの自動ドアは縦レイアウトのような狭い空間には向いていないと言えるでしょう。これにつきましてはまた別の機会にと思っております。
ダメを憎んでマシンを憎まず。
ダメマシンクリニックからは以上です!
No.:29
対象:外出先トイレのベビーキープ
設置場所:横浜市近郊
報告者:Y.F. M.K.
報告日:2016.5.20
症例:誤設および空間失調
ダメ度:××(治療が望ましい)
応急処置:増設
治療方針:外科「再配置」
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